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朔矢
朔矢の言葉に一瞬、耳を疑った
逃げようと力を込めたが、腰の奥に響く鈍痛が、その意志を簡単に殺した
……いやだ……動け、動け……!
頭の中で叫んでも、体は言うことをきかない。恐怖が先に、筋肉を縛りつけていた
朔矢
朔矢の声は冗談のように軽い
けれど、触れる手には一切の遊びがなかった
麗央
朔矢
朔矢
笑いながら、朔矢は麗央の頬に触れる
優しく、なぞるような仕草だった。まるで恋人にでも触れるみたいに
朔矢
朔矢
指先が、涙の軌跡を辿って唇の端に触れる
けれどその手は、どこか冷たかった
まるで、感情のない人形が動いているかのように
朔矢
朔矢
朔矢の声は笑っているのに、言葉はどこまでも冷酷だった
耳元で囁く声に、身体の芯が凍る
どこまでが冗談で、どこからが本気か
境界線が崩れていく
目を閉じた瞬間、硬くて熱いものが肌を触れた
……やだ……無理、やだ……っ
ごくん、と喉が鳴った
冷や汗が首筋を伝い、肩ががたがたと揺れた
朔矢
その言葉と同時に、硬いものが押し込まれてきた
ズプププ
麗央
鋭い痛みが、腰を裂けるように突きつけてきた
麗央
麗央
怖い……怖い……
息を吐いた。涙が一筋、こぼれる
朔矢
朔矢
パチュッパチュ
麗央
朔矢
朔矢
笑いながら他人事のようにそう言う
パンパン
麗央
必死に声を抑える
パンパン
だが、朔矢は容赦ない
ズン
麗央
朔矢
朔矢
その言葉がひどく突き刺さる。こんな辛いならいっそのこと飛んだほうがいい
朔矢
パンパン
麗央
声を出してしまう自分に腹が立つ
だが、相変わらず朔矢は嬉しそうだ
ズチュン
麗央
ビュルル
麗央
朔矢
ズン
麗央
イッたばっかなのに容赦なく突いてくる
麗央
麗央
ズチュン
麗央
ビュル
朔矢
その笑顔の裏にある冷酷さが、空気を一瞬で変えた
朔矢
意味が分からなかった
苦しいって何…?
やだ、やだ、怖い
そんなことを考えていた次の瞬間……
ギュ
ググ(首絞め
麗央
――空気が、入ってこなかった
ただそれだけのことが、こんなにも恐ろしいなんて、思わなかった
喉の奥がぎゅっと絞られ、肺が悲鳴をあげる
口は開いているのに、声が出ない。酸素が足りない。世界が、遠のいていく
……くるしい……
何が、どこに、どうされたのか。もう考える余裕すらなかった
ただ、目の前が滲んで、視界の端から黒が染み込んでくる
麗央
声にならない。出したいのに、出ない
麗央
お願い、止めて。こんなの、もう――
目の奥が熱い。涙が勝手ににじむ
朔矢
朔矢の声は甘く、震えるように喜びを含んでいた
まるで美味い酒でも飲んだ後のような、くすぐるトーンで
朔矢
朔矢
麗央の指が、必死に宙をかく
それすらも、朔矢の目には“玩具の動き”でしかない
朔矢
朔矢
喉の奥が熱い
けれど、それ以上に、心の中が冷えきっていた
朔矢
押しつける手に、一瞬だけ力がこもる
呼吸が奪われたその瞬間、朔矢はふっと目を細め、満足げに笑った
朔矢
麗央
謝ったって、懇願したって、止まらない
力が抜けて、指先が冷たくなって―
ああ、もうダメだ……俺、終わる
そう思った瞬間、ふっと、何かがゆるんだ
喉に空気が戻ってくる
でも、それが嬉しいんじゃなかった
息を吸うたびに、肺が痛くて、涙がとまんなくて……
麗央
嗚咽が混じる。情けない声
惨めだ。こんな自分、見られたくなかったのに。なのに、笑ってるんだ。あいつ、笑ってた
怖い
でも、壊れたくない
どうか、お願いだ――誰か……
……いや、誰にも頼るな
俺を守れるのは、俺だけだ。そうだろ?
そうやって生きてきた。ずっと……一人で
だから泣くな。泣くな……泣くんじゃねぇ、俺
でも、涙はもう、止まってくれなかった
だいふく
だいふく
だいふく
コメント
6件
神様すぎる
続きが見たい!
自分を守れるのは自分だけって… 名言過ぎんだろ! 毎日楽しみに待ってます!