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ファルクへの殺害予告状。

机上にあるその紙を睨みつけたまま、 話し合いは続いていた。

ファルク

返り討ちって言っても、
何か策はあるの?

カズミ

いや、ない_だが、

カズミ

もしここで刺客を返り討ちにできれば、その"スライサー"って組織の情報を
得ることができるだろ?

ファルク

…もしかして「Sraver」(スレイバー)のこと言ってる?

カズミ

あぁ、そうそれ。

ファルク

(…私生活ではポンコツ
なのかな。)

ファルク

といっても、敵は強力だ。
もし幹部なんかが出てきたら、一筋縄じゃいかない。

カズミ

幹部か…

カズミ

そういえば、お前は
どこまで知ってるんだ?
スレンダーについて。

ファルク

う~んと…うん。

ファルク

とりあえず、俺の知ってる情報は全部言うよ。

ファルク

でもまぁ、さっきみたいな大まかな情報しか知らないけど。

カズミ

それでいい。

ファルク

奴らは確かに一次区域で
一番力を持っているが…

ファルク

その力を実際に振るっているのは二次区域の連中との
抗争で、だ。

カズミ

つまり、一次区域を支配
したりするつもりはない
ってことだな。

ファルク

あぁ…もっとも、生意気な連中は別だけど。

ファルク

…ていうか、そもそも君達はどういう経緯で奴らに
狙われたんだ?

カズミ

俺も詳しく知らないが、
白髪のガキに嵌められたんだ。

カズミ

"リリア"っていうヤツ。

ファルク

リリア…か。

ファルク

う~ん、聞いたことないね
そんな名前。

カズミ

そっか…

カズミ

てゆうか、俺の話はどう
でもいいんだよ!

カズミ

敵は今日中に来る…何か
備えていたほうがいい!

イズミ

敵…って何のこと?

ファルク

! イズミ!

玄関のドアが開き、イズミが現れる。

イズミ

お兄ちゃん達、
何の話してるの?

ファルク

あー…実はね…

カズミ

別に話さなくてもいいぞ。

イズミ

…何で?教えてよ。

ファルク

そうだよ、別に教えても
構わないんじゃないか?

カズミ

いや、教えちゃだめというわけじゃないんだが…

カズミ

知ってるだろ?俺等よりもさ。

イズミ

ファルク

はぁ…?どういうことだよ?

イズミ

そうだよお兄ちゃん、
どういうことか説明して
くれないと_

カズミ

イズミはな、俺のこと
"お兄ちゃん"なんて
言わないんだよ。

カズミ

それにお前は今玄関の方
から来たが、

カズミ

今イズミは二階にいる。
ニルと一緒にな。

ファルク

ってことは_

カズミ

お前だろ? 怪盗Y。

イズミ

「ふふっ。」

微かな笑い声とともに黒いマントが イズミの姿を隠す。

代わりにそこに姿を現したのは長髪の 別の女性だった。

ヨミハ

こんばんは。

ヨミハ

私の名前はヨミハ。
知っての通り怪盗です。

ヨミハ

さらに知ってのとおり_

ヨミハ

ファルク・ロムド、貴方の命を頂戴しに参りました。

ファルク

ギルシア…もう刺客を_!

カズミ

そういえば、
もう夜だったな?

ソファから立ち上がり、ヨミハと名乗る女の姿を観察する。

小さなシルクハットに黒いマント、 白い布手袋。 いかにも"怪盗"という立ち姿だ。

ヨミハ

さて、こっちから仕掛けてもいいかな?

彼女が不自然にその場に屈みこむ。

次の行動をなんとなく理解し、 戦闘態勢に入った。

…はずだった。

ヨミハ

よ_っと!

瞼を一瞬下ろした隙に、彼女の姿は そこにはなく、壁の梁に横向きで足を ついていた。

カズミ

_ッ

その姿さえも見えたのは一瞬だ。

次に見えたのは、真横。

カズミとファルクとの間。 机の上を通り過ぎてゆく何かが、 かろうじて認識できた。

(衝突する音)

ヨミハ

うぁ…いったぁ〜…

カズミ

…!?

ファルク

いっ_つの間に…!?

ヨミハ

うぅ…狭いとこじゃ
やっぱしやり辛いや。

なんだ、この速さは。

一目でわかる。 人間の動きではない。

だからこそ、動きが止まった今 見逃すわけがない。

その考えは二人同じのようだ。

ファルク

うぉおおおッ!!

倒れ込んでいる隙にファルクが 彼女に飛びかかる。

ヨミハ

!

ヨミハ

わ、わぁ!!

焦る素振りを見せるも、 床を転がり難なく躱し体を起こす。

攻撃を避けて安全と思い込んだ瞬間。

もう一度、大きな隙ができる。

転んでいるファルクを踏み台にし 脚を大きく振り上げる。

ヨミハ

な…!?

まだ体のバランスが戻っていない。 避けるのは無理だ。

カズミ

は_

ファルク

えっ_

ヨミハ

ヨミハ

厄介ですね、中々。

突如、彼女が空中に飛び上がる。

彼女は空中でスケートでもしている かのように美しい弧を描いていた。

そしてそのまま、4mは離れている場所に悠々と着地した。

ファルク

おいおい、嘘でしょ…?

カズミ

はは…まるで猿だな。

ヨミハ

私、戦闘は不向きなんですけど、瞬発力には結構自信があるんです。

ヨミハ

ですから、貴方達の相手を一人でするのは怖いので_

ヨミハ

_もうそろそろ終わりに
しましょうか。

そう告げると、左手の手袋をおもむろに外し始める。

ファルク

…動くな。

ヨミハ

ッ!……

ファルクが彼女に拳銃を構えている。 恐らく手袋を外そうと意識を外した隙を 狙ったのだろう。

ファルク

流石に、拳銃より早く
動ける人間は居ないよな?

カズミ

…だといいけどな。

ヨミハ

彼女は流石に観念したのか、 俯いてその場でじっとしている。

ファルク

撃たれたくなかったら、
手を挙げてその場に座れ…

ファルク

それと手袋は付けろ、不審な事もすんなよ?

ファルク

俺は拳銃は下手だが、
この距離なら当たるぜ。

カズミ

ヨミハ

ヨミハ

_ふふっ

ファルク

おい、早くしろ。
さもないと本当に_

ヨミハ

そんな事しなくても、
撃てないでしょ?それ。

カズミ

ッ!_

カズミ

(クソ…!!)

ヨミハ

貴方の能力は知ってるよ。

ヨミハ

【詐欺】。 触れた物体の姿を誤認させる能力…

ヨミハ

ふふ、知らないと思った?

ファルク

…クソッ

拳銃が空間ごと捻じ曲がり、 コンセントのカバーがそこに現れた。

転んだ時に無理やり外したのだろう。 何にせよ、バレては不味い。

ヨミハ

それじゃ、覚悟はいい?

不敵な笑みを浮かべ、 ファルクを見つめる。

カズミ

(…何だ、あれ?)

その時、彼女の手にぼんやりとした光を放っている何かが見えた。

ヨミハ

…ごめんね。

その意味深な言葉と同時に、真っ直ぐ 突っ込んでくる。 狙いは当然、ファルクだ。

焦りか集中か、その場面が スローモーションのように見える。

彼女の左手の光が輝きを増してゆく。

カズミ

ファルクすまん!!

咄嗟の判断で、 ファルクを真横に蹴り飛ばす。

ファルク

ごはッ!!!

ヨミハ

な!?

ファルクはなんとか助けられた。

だが、このままでは…

後悔する暇もなく、 彼女の左手が俺の肩に触れる。

その瞬間、その光はそれ以上に 輝きを増し、俺と彼女を飲み込んだ。

ファルク

カズ…ミ?

「はぁ…はっ_はぁ…!」

二階、イズミの部屋。

狭い密室の中に、 息の切れた声と重厚な足音が響く。

イズミ

あんた…誰ッ!?

ガルファ

ガルファ

俺ァ"ガルファ"。

ガルファ

出来損ない共の尻拭いだ。

ガルファ

なるべく抵抗をしないで
いてくれた方が、たっぷり楽しめる_ッヒヒ!

ニル

お姉ちゃん…大丈夫…?

イズミ

大丈夫。

イズミ

安心して…
ニルは私が必ず守るから!

Profile.6 ロストタウン 一次区域

失われた街、ロストタウンは主に 三つに区画分けされている。

一次区域、二次区域、三次特区。 現在カズミらが在住しているのは 一次区域である。

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