ノベルの方慣れてないのでこちらで失礼します
句読点区切り
少年の日の思い出の主人公 ⬇ ヘッセ
エーミール視点でお送りします
ダイジョウブカナ??
ドウゾ!!
つい昨日から僕は実家に帰省していた。
四階にある小さく狭い僕の部屋、
棚の中から僕はあるものを探す。
昔、
必死の思いで集めた蝶だ。
こんな姿になってしまった蝶を見ると、
僕が少年だったあの日を思い出す。
僕が八つか九つのとき、
隣の家に住んでいる子供が僕に蝶を見せに来た。
その子供は僕のお父様の生徒らしく、
僕に青いコムラサキを見せた。
とても珍しく、
大体二十ペニヒほどの値がついただろう。
しかし、
彼の展翅は非常に悪く、
右の触覚が曲がっているし、
左の触覚は伸びている。
それに、
足も二本欠けていた。
こんなに酷い展翅は初めて見たかもしれない。
そこで僕は、
彼のために素直に欠点を言ってやった。
だが、
僕はありのままのことを言っただけなのに、
それから彼は僕に二度と蝶を見せることはなかった。
その日から二年ほど経った頃だろうか、
大きな少年になった僕はクジャクヤママユをさなぎからかえした。
この事は、
すぐに噂話として広まっていった。
僕は少し早めに食事を終え、
部屋にある展翅板にのせたクジャクヤママユを見に四階へ上がる。
こんなのでは駄目だ、
もっと珍しく、
美しい蝶を集めたい。
そんな衝動に駆られて僕は鍵を開けたまま部屋を飛び出した。
それから何時間か経って、
僕は部屋に戻る。
集めたたった数匹の蝶を展翅板にのせようと机を見た。
そこには、
僕のかえした美しいクジャクヤママユはいなかった。
いや、
正確に言ってしまうとそこにクジャクヤママユはあったのだ。
しかし、
その姿は醜く、
悲惨なものだった。
誰かがクジャクヤママユを台無しにしてしまった。
悪いやつがやったのか、
あるいは猫がやったのかわからない、
わかる訳がない。
僕の鼓動が早くなる。
早く元の姿に戻してやらなければ、
あの怖いほど美しい姿に。
僕はにかわを取り出して必死に繕った。
繕って、
繕って。
僕は諦めた。
そんな時、誰かが僕を訪ねてきた。
それは隣に住んでいるヘッセだった。
僕はヘッセを玄関まで迎えに行く。
そしてすぐ、
僕は彼にクジャクヤママユの事を話した。
すると、
蝶を見せてくれと頼んできた。
僕たちは四階の僕の部屋に入り、
ろうそくをつけた。
机の上には、
ついさっきまで努力していた跡があった。
そこで、
それは僕がやったのだ、
とヘッセは説明しだした。
蝶を見に僕の部屋に勝手に入ったこと、
何時間もかけてようやく僕の家に謝りに来たこと。
最初から最後まで、
全部。
僕は彼のことを信じていた。
だが彼は、
僕を裏切ったのだ。
僕はどうしてもそれが許せなかったせいか、
激したり、
彼を怒鳴りつけたりなどはなく、
低く「ちぇっ。」と舌を鳴らした。
それからしばらくヘッセを見つめてから、
「そうか、そうか、つまり君はそういうやつなんだな。」と言った。
彼は僕に、
僕のおもちゃをみんなやると言ってきた。
僕は、
軽蔑的に彼を見つめていた。
すると、
自分の蝶の収集を全部やると彼は言った。
しかし僕は、
「結構だよ。僕は、君の集めたやつはもう知っている。そのうえ、今日また、君がどんな風に取り扱っているか、ということを見ることができたさ。」と言う。
僕はずっと、
何も言わずにヘッセを見つめていた。
それからすぐに彼は立ち去って行った。
僕は狭く小さな明かりの灯った部屋に独りで立っていた。
この後彼が何をしたか、
何を話したかは僕は何も知らない。
僕が言ったことは果たして合っていたのだろうか。
今思うと間違っていたのではないかと思うが、
幼き日の僕は別の回答をしただろう。
あの時、
僕はただ立ち尽くして、
まるで世界の掟を代表でもするかのように、
正義を盾にしていただけなのだから。
コメント
2件
ええええええ好き!?!!!!🥹💘文才ありすぎませんか!?!?!🫶🏻これは教科書に載せていいですよ?!🫠