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過去編スゴすぎる…!! 続きも楽しみにしてます( *´꒳`* )
続き待ってます!( *´﹀`* )
らんが、桜桃が帰って
また一人…俺は残される
子供の声一つしない空間
冷たい北風だけが頬に絡まる
俺は1人が
いや、孤独が嫌いだ
もちろん、好きな人などいないだろうが
俺の場合は少し違う
過去を
辛く苦しかった頃を
思い出してしまうから
もし…神様がいたとして
何でも一つ願いを叶えてくれる
そんな夢の様な話があれば
昔の俺なら
一切の躊躇もなく
【殺して欲しい】
そう願ったであろう
───評価などされた事がなかった
誰からも…何に対しても
【孤独】
得意なことも、他人より優れているものも
誇れるものも、何もない
桜桃と初めて出会った時
努力の積み重ねでこの界隈に入れた
そう彼奴は、言っていた
───嘘つき。
周りの大人は
「努力」は必ず結びつくといった。
やけどな…?
努力なんてものは「才能」があって
初めて成り立つようなもの
桜桃は才能があった上で努力が出来る人だったから叶えられた夢。
本人は気づかない、無自覚な才能。
羨ましかったなぁ
桜桃は桜桃で
英語が出来ないことに悩んでいたせいで
俺が「天才」のようにみえていたようだけど
俺は帰国子女。
現地で暮らす為に必要だったから勉強しただけ
誰だって、才能なんてなくても
長い間過ごせば多少は話せるようになる
俺は日本で生まれ、6歳から17歳までずっと海外で過ごしてきた
理由は…まぁ…虐待かな
俺の母親は俺を産んだタイミングで亡くなった
もともと体が弱く持病を持っていた
父親は
酒、女、暴力
一言で表すならば「クズ」一択
幼少期に付けられた
背中にある深い傷も
殴られたせいで殆ど視力が失われ
まるで悲しみを表すかの様に青色になった目も
全て全てあいつのせい。
ちなみに、メンバーにも言ってへんよ。
服なんかライブで着替える時くらいしか脱がへんし
結成当初から目についてもカラコンだという設定にしているから
5歳の秋頃
珍しく機嫌の良かった父親に連れられて外に出た
俺はニコニコと彼奴に話かけていた
そうしろと、躾られていたから。
従わないと殴られるから。
近所の人にとって彼奴は
片親でもしっかり子育てをしているいいお父さん
だったんやろうな
暗い路地裏を通りかかったとき
黒で全身を覆った怪しい男が現れた。
そして
彼奴を…父親を切りつけた
”ビチャッ”
真っ赤な血が一面に広がると同時に
苦しそうな喚き声が聞こえてきた
だけど数十秒後には
腹から血を出しながら倒れ
二度と起き上がることは無かった
彼奴が死んだのを確認してから
今度は幼き俺の方に刃物を持った男は近ずいてきた
”ギラリ”
銀色の刃先が俺に向く
死を覚悟した
ひんやりとした物が首筋にあたる
す…ッ…と目を閉じる
その時、ピカリと俺と通り魔は
明るいライトに照らされた
警察だった。
その後の事はあまり覚えていない
彼奴の周りにはもうハエのような物が周りに飛び回っていて
通り魔は連続殺人鬼だったらしい。 すぐに警察につれていかれた。
俺は海外に住んでいる母親の妹、叔母さんにあたる人とそのパートナーに育てられることになった。
叔母さんたちは優しく接してくれた
殴る、蹴るなどの暴力は勿論してこなかったし
毎日温かい夕飯を作ってくれた
やけどな…?
【三つ子の魂百まで】っていうことわざもある通り
小さい頃に叩き込まれた躾は忘れられなかった。
これをやらなきゃ殴られる
これが出来なきゃ怒られる
また、あの暗い地下牢のような所に閉じ込められる。
優しかった叔母さん達にまでビクビクして過ごしていた。
勉強も運動も
出来て当然。出来ない奴など人間では無い
そんな風に躾られていたからか
いつしか俺は何でも出来る「エリート」のように扱われた。
100点、1位、生徒会
次第に叔母さん達からの期待も大きくなっていった
そしてある日
「声優になって欲しい」
と、そう言われた
「風雅のお母さんはね、声優だったのよ」
「姉さんの声は聞き惚れるくらい綺麗だったの」
「スターって言えるようになるまでに亡くなっちゃったけど」
「本当に凄い人だった」
「だからね、風雅」
「私、息子である貴方にもきっと才能があると思うの。」
「姉さんの妹である私が言うんだもの。間違えないわ」
「だから…挑戦してみない?」
と。
俺は勿論OKをだした
今まで育ててくれた叔母さんの願い
聞かないわけがない
それに…
それは叔母さんだけでは無い。
本当の母親からの願いだとも知っていたから。
母さんは自分が長くない事を分かっていたのであろう
誕生日に開けるように、大量の手紙を残してくれた。
風雅。1歳のお誕生日おめでとう この手紙を見ているっていう事は貴方と直接会う事は出来なかったのね。 だけどね、悲しくはないわ。 だって、これを貴方がみているっていう事はちゃんと生きていてくれてるってこと。 母親としてこんなに嬉しい事はないの。 この手紙はパパに読んでもらっているのかな?仲良く過ごしてね。大好きよ
ふうが。6さいのおたんじょうびおめでとう。 ことしで小がく生になったのかな? ふゆうまれだから、おそくなっちゃったけど、入がくおめでとう りっぱにそだってくれたふうがをおそらの上からずっとおかあさんはみているからね。
風雅。16歳になったのね もう高校生?それなら進路とか決まっているのかしら あっ…誕生日なのにそんな話って思ってるでしょ!! 今日くらいしかないの。仕方ないじゃない。 貴方に夢があるなら無理にとは言わない。だけどもしまだ迷っているんだったら「声優」の道に進んで欲しい。 お母さんの夢はね、「声で人を元気付けること」 風雅ならきっと叶えてくれる そう勝手に信じてるね。
母さんの手紙は叔母さんから毎年父親宛に送っていたらしい
もちろん読んでもらえることなんてなかったけど
叔母さんが何かあった時の為にコピーをしてくれていたから5才までの手紙もみえた
大切な人の願い
絶対に叶えたかった
だけど
恐らく周りは幼少期から演技に特価した強者ばかりだろう
叔母さん達にも手伝ってもらいながら
調べて調べて
2ヶ月後
ようやく1つの事務所をみつけた
得意ジャンルは英語
海外向けのドラマではないため
「日本人に分かりやすい英語」が求められる
事務所は帰国子女の俺をみて即採用
期待していると言ってくれた
幸い叔母さんは日本人のため日常生活も日本語で話していた
叔母さんと義理の叔父さんとで話す言語を使い分けていた俺は
特に日本での生活に戻っても困ることはなかった
だけど…その事務所で何年もやっていると問題も出てきた
海外モノの人気が落ち 恋愛モノの人気が急上昇した
今まで俺に夢中だった監督もファンも
殆どの人が「女声」を武器に活動する様になった桜桃に興味をしめしだした
このままじゃいけない
叔母さんたちの願いを…叶えないと
俺は何度も何度も
監督に桜桃の様になるにはどうしたら良いのかを聞きに行った
初めは自分で考えろと怒られたが
余りのしつこさに呆れて教えてくれた
別にプライドなどない
使えるものは全て使う
バカにされても後から巻き返せばいいだけ
アドバイスと何時間にも及ぶ練習
何とか「女声」も出来るようになった
俺が担当していたのは海外モノだけではない
日本のアニメも
出来ないと言われていた女声の上達のおかげで
「不可能を可能に変える声優」
として世の人に知られるようになったからだ。
幸せだった
この時までは
ある日の正午ごろ
事務所に行く準備をしていると
いきなり叔母さんから電話がかかってきた
いつも連絡が来るのは休日のため珍しいと思いつつ通話を開始する
その瞬間
”ブォォォォ。。。”
という何かが燃え上がるような音が聞こえた
「叔母さん!?どうしたん!!ッ」
何か最悪なことが起こっている気がして
必死に叫んだ
「ごめん…ね…」
「風雅は…生き…てね」
そうか細い声が聞こえた瞬間
通話は切れてしまった
俺は理解が出来なかった
何かの悪夢だと 思いたかった
そう、思い続けた結果が
何かのドッキリだと自分に言い聞かせること
そんな事あるはずがないのに。
俺は事務所に向かった
呼吸が荒かった
滝のような冷や汗が出た
お化けのような顔色をしていたのだろう
道行く人に何度も声を掛けられた
何とか事務所につき
名簿に名前を記入する
ガタガタな字
桜桃にみられた
一瞬ギョッとした様な顔をされたが何事も無かったように桜桃は自分の仕事を始めてしまった
「いってくる」
それだけ言って現場に向かった
満員電車
いつもは平気だがあの時ばかりは気分が悪くなった
それでも現場までは何とかしなければ…と思っていた
だけど次の瞬間、一気にその考えは吹っ飛んだ
叔父さんからメールが届いたから
Your aunt died. It's an arson incident. When I got home from work, my house and wife were all gone. There's also a letter for you. I'm sorry, but I have no hope of living anymore. I'm going to my boyfriend. You live. wish you good luc
俺は身体中の力が抜けて倒れ込んでしまった
なぜって…?
お前の叔母さんが死んだ。 放火事件だ。 仕事から帰ってきたら家も妻も全てなくなっていた お前への手紙もだ。 悪いが俺はもう生きていく希望がない。 彼奴の所へ行くよ お前は生きてくれ。幸運を願う
という内容だったからだよ
その後は
何故か来ていた桜桃に連れられて事務所に帰った
次の日には引退を迫られたが対して傷つかなかった
母さんも叔母さんも
形見である手紙さえ奪われた
別に俺の意思で声優になった訳では無い
大切な人はいつもいつも残酷な言葉を俺に残す
「生きて」…と。
俺が守らずおえないのを知っていて
自殺がダメなら誰か俺を殺してくれ
神なんか信じてないけど
本当にいるのだったら
お願いだから俺を…解放させてくれ