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『まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい』 📢×🌸 ほのぼの 地雷さん🔙 通報🆖
注意⚠️ 今回すちさんが二役出しています。。 ぴったりな方がすちさんしかいらっしゃらなかったので、、 すみません🙇♀️ (絡みは0です) 嫌であれば🔙お願いします
生まれて初めての、本気の恋だった。
いつもあの人のことばかり考えちゃって あの人の事なら何時間でも眺めたって飽きなかった
本当に、本当に、好きだったのだ。
でもあっけなく失恋した
勇気を振り絞って、震えながら告白したのに、 迷いなく振られた
あまりにもあっけなかった
あっけなくて、あっけなさすぎて、 思わず笑っちゃうくらいに笑
でも、心では泣いていた。
今でも、心では泣いている。
笑いながら、泣いている。
そして笑うのが苦しくなった時は、 この秘密の場所に逃げてきて、涙が枯れるまで泣くんだ笑
LAN
木村先生…進路担当
部屋の真ん中に置かれたテーブルセットに 進路担当の先生が腰掛けていた
ここにくるのは何回目だろう。 進路希望票に曖昧な事しか書けない俺は度々呼び出されていた 今日もいつものように威圧感に後ろめたさを感じる、 それはやっぱり自分にやましいところがあるから なのかもしれない
木村先生…進路担当
木村先生…進路担当
1ヶ月なんかでやりたいことなんて見つかるわけないだろ と思ったが黙っておいた。 見つかってない人なんてこの学校では少数派なのだ。
木村先生…進路担当
LAN
木村先生…進路担当
この話は何回も聞いた ほんと耳タコだ でもどうしてみんな何年も先のことを考えられんだろう 俺は一年先のことさえ全く思い浮かべられないのに。 大学で学んでいる姿も、会社で忙しく働いている姿も 全く想像できない 何なら俺にできるんだろうか ぐるぐる考えているうちに先生が話し終わりかけていた
木村先生…進路担当
LAN
思わず顔を上げた すぐに結論を出さなくてもいいと言ってもらえると思った でも、厳しい顔つきのままだった、。
木村先生…進路担当
LAN
木村先生…進路担当
LAN
木村先生…進路担当
本気、か… 本気で考えてるつもりなんだけどな、 それとも、俺の本気なんかみんなと比べたら 本気なんかじゃないんだろうか。
木村先生…進路担当
LAN
木村先生…進路担当
木村先生…進路担当
チャラチャラなんかしてない、そう思ったけど 俺が言えないんだろう。 昔からよく言われていた 何もしてないのに髪がピンクがかっているとことか、 自顔が派手なせいか耳飾りをつけているだけで チャラチャラしていると思われてしまう 友達もみんな耳飾り、つけているのに
木村先生…進路担当
LAN
いくら考えたって無理なものは無理 そう思いつつも返事をして、頭を下げた。
進路室を出て、ドアを閉めた瞬間、 どっと疲れがきた。
目を閉じて俯き心が静まるのを待つ
⁇?
慌てて顔を上げ、気合を入れた こんな姿見られるわけにはいかない
教室に向かって歩くも、頭の中は先生の言葉でいっぱいだった
やりたい事を見つけて、進路を決める。 子供の頃から言われた。当たり前のことだ
当たり前のことなはずなのに、俺にはどうしてもできない
幼稚園くらいの頃には『けいさつかん』とか 『お医者さん』とか、無邪気に夢を見ていたのに、 いつの間に俺は夢見る力を失ってしまったんだろう。 昔はきらきらと輝いて見えた未来が、今はすっかり濁ってしまって、考えるだけで俺の気を重くする憂鬱な存在になってしまった。
そもそもやりたいことって『見つける』ことなんだろうか もし俺が次の面談までに調べて何かやりたい事を 決めたとしてもそれはこじつけだ 俺の本当にやりたいことではないのだろう
考えれば考えるほど良くない方向に進んでいる気がして またため息をもらした。
重い足取りで教室まで行くと、こさめと暇72が出迎えてくれた
こさめ
LAN
こさめ
LAN
こさめ
2人のところへ行くとこさめが抱きついてきた こさめはスキンシップが好きなのだ
LAN
こさめ
暇72
なつが微笑みながら頷いてくれた
LAN
明るくて可愛いこさめとかっこいいなつ 2人は高校に入って初めて出来た友達だ
入学式の日、クラスが発表されてすぐに 元々仲良かった2人から話しかけられた
その時からすでに制服の着こなしや髪型など他の子よりもきまっていた
その日のうちにLINEを交換して次の日には三人で遊びに行った
そのあとしばらくして幼馴染が加わって4人で行動していた 今は、微妙だけど、
LAN
こさめ
こさめがスマホを見せてくれた そこに映ったいたのは見たこともない芸人だった
LAN
こさめ
暇72
LAN
こさめ
LAN
…
LAN
暇72
LAN
そう言ったけど その芸人はお世辞にも上品とは言えず、 好きになれそうになかった、
でも流行ってるなら知っておかなきゃいけないし 新しいのが出たらみなきゃ 話題からおいてかれてしまう
こさめ
別に喉は渇いてないけど人付き合いだから行かないなんて言えないし、 言ってはいけない
LAN
自販機に向かう途中、何気なく視線を落とした先に スクバを肩にかけて歩くすらりとした背中を見つけた
瞬間、どきっと心臓が跳ねる
すち先輩だ、と心の中で呟いた
数えきれないほど見てきたその横顔と後ろ姿 俺はいつだってどこだってその後ろ姿を探してしまうし 見つけた瞬間に胸が高鳴ってしまう
先輩は廊下の角を曲がっていった その先にあるのは生徒玄関だ、
自販機に行くには、後を追わなければいけない、
気が重くなったけど、こさめたちがどんどん行ってしまって 行くしかなかった。
やっぱり先輩はいた。
横顔を見ないように目を逸らした
1秒でも早くこの場所を去りたくて、 俯いて早足に歩く。
こさめ
咄嗟に視線を追ってしまう
こさめ
せっかく見ないようにしてたのに見てしまった、はっきりと。
その瞬間に激しく後悔した。
先輩は1人じゃなかった 隣に小柄な男の子がいた
暇72
なつが、低い声で呟いた
何も言えなくなった
仲睦まじい様子で微笑み合いながら話す2人
彼女、、みことは俺の小学校からの親友。
そして先輩、すち先輩は俺の好きな人、
2人は少し前から付き合っている。
LAN
その場しのぎの嘘が飛び出した
でも俺が戻ろうとする前にこさめが腕を掴んで歩き出す
こさめ
俺は何も言えず、引きずられるようにして歩いた
こさめ
こさめが通りすがりのみことに声をかける
少し前まではみこちゃんて呼んでたのにいつのまにか呼び捨てになっていた
肩を震わせてみことが振り向いた
目が合う。
みことは気まずそうに顔を歪め、俯いてしまった
慌てて言った
LAN
みことが泣きそうな目で俺を見た そんな目で見て欲しくなくて声を明るく作って言った
LAN
すち先輩
どきっとしたのを悟られないようにみことに向かって言う
LAN
LAN
笑いながらみことの肩に手を添えると泣きそうな顔で微笑んだ
みこと
LAN
手を振り、見ないようにして離れた
こさめ
こさめ
寒さに肩をすくめながら困った笑いを浮かべた
暇72
なつも呆れたように肩をすくめる
LAN
LAN
こさめ
LAN
こさめ
こさめ
こさめ
LAN
適当な相槌を打って作り笑いを浮かべた
暇72
なつが後ろを指さしたので振り向くと ずいぶん後ろに階段から降りてくる先輩とみことの姿が目に入った
付かず離れずの慎ましい距離感ででも嬉しそうに微笑み合い ながら、ゆっくりと歩いていく2人の背中
こさめ
不満げにこさめが言った
こさめ
いらいらしたように続けるとまるで聞こえたかのように みことが振り返った
とたんに先輩と距離を置き早足で進んでいった
目を逸らして足元を睨む
こんなんじゃだめだ 顔を上げてこさめに笑いかけながら言った
LAN
こさめ
こさめ
LAN
LAN
こさめ
どきりとした
思わず足を止め、慌てて作り笑いをする
LAN
明るく言って、驚いてる2人から離れた
早足で廊下を歩く
ずきずきと胸が痛んだ
みことが悪く言われるのは、悲しい
みことは俺にとって大事な友達だし、 本当に優しくて可愛い事は俺が一番分かってる
確かに控えめでおとなしいから、地味とか陰キャとか 言われがちだけどほんとは、、。
教室に戻って荷物を取り、来た道を戻る
廊下に窓から見下ろすとグラウンドにはたくさんの 部活生がいて走ったりボールを追いかけたりしている
そこには、走っている先輩の姿もあった
前では当たり前のようにそれも眺めていたけど 今はなるべく視界に入れないようにして目を逸らす
グラウンドから目を背けても体育館からボールの音や掛け声が、音楽室からは楽器の音や歌が聞こえてくる
図書室で一生懸命に勉強している子もいるし、理科室では研究をしている人もいる
一生懸命にやりたい事をしている人たちを横目に 校門に向かって歩く。
でも、家でやりたいことがあるわけではない
どうせ帰ったって母さんに小言を言われるだけだ
LAN
ゆっくりと歩いて教室を通りかかった時に、 美術室が目に入った
思わず中を覗き込む
やっぱり、みことがいた。
一生懸命に筆をキャンパスに走らせていた
その横顔を見るだけで、絵を描くのがどれだけ 好きか伝わってくる
LAN
先輩もみことも本当に好きで部活を頑張っているのだと、
私が入る隙間もないのだろう、
やりたい事を見つけろって言っていたけどそれって本当に意味があるんだろうかと思ってしまう
彼らが夢中になっているものは 見つけたんじゃなくて生まれつきあったんだと思う
無理やり探してこじつけるのではなく 自然に好きになっていったのだろう
誰かに言われたわけでもなく 気づいたらやめられない そういうものなんだろう
そんな俺はやりたいと自分から思ったことなんてまったく なかったのだ
彼らが夢中になっているものは 見つけたんじゃなくて生まれつきあったんだと思う
無理やり探してこじつけるのではなく 自然に好きになっていったのだろう
誰かに言われたわけでもなく 気づいたらやめられない そういうものなんだろう
そんな事を思ってみことを見ていたら その先に先輩が見えた
先輩はみことを見ていた でもみことは絵に熱中していて気づいてない
しばらくして先輩が走り始めた
今度はみことが先輩を見ている
でももちろん先輩はそれに気づいていない
そんな彼らを見ていたら俺が選ばれなかったのも当然だと はっきりわかってしまった
陸上に一生懸命な先輩と 絵に一生懸命なみこと
性格は正反対に見えるけど本当はよく似ている
だからみことは先輩を好きになったし 先輩はみことを選んだ、のだろう、
2人にはこれからも幸せでいてほしい ずっと上手くいってほしい
きっと上手くいく
そんな思いが胸をいっぱいにした
強がってるわけでも、嘘ついてるわけでもない
みことは大切な友達だから幸せになってほしいと思ってる
でも、
でも、心の底からそう思っているかと聞かれたら、
きっとそうじゃない
まだ諦められてない
こさめの言う通りだ 俺の方が先に好きになったのに そう思ってしまう。
俺はどうしてもやっぱ先輩が好きだ
入学式のとき、助けてくれた時から ずっと好きでずっと見ていた
みことと先輩が付き合っても 気がついたら目で追ってる自分がいる
本当に嫌になる
先輩もみことも優しくて良い人だし お互いが大好きなのが伝わってくる
本当に良いカップルだ
悪いとこなんて一つもない
ただ、俺が先輩を諦められれば、 全てうまくいくのだ
どうして、大切な友達と同じ人を好きになっちゃったんだろう
せっかく結ばれたのにみことは先輩と会う時いつもバレないように見られないように細心の注意を払っているのがわかる
それでも同じ学校の中で会わないなんてあり得るわけがない
一緒にいるところを俺に見られたみことの顔はこっちまで 申し訳なくなるぐらい申し訳なさそうな顔をしてくる
なんでも吹っ切れたからって言ってるけど、 分かっているんだろう きっと
俺がまだ諦められてない事を
みことは友達の好きな人と平気で付き合えるような人じゃない
苦しみながら付き合って でも先輩のことが大好きで、別れたくなくて、
きっと一番苦しいのは俺なんかじゃなく みことなのだろう。
学校から離れると 身体が緩んでいく気がした
こさめとなつといるのは楽しい
けどやっぱりみことの話が絡んでくると どんな顔をしていいのかわかんなくなる
ため息を吐くと、白い霧が立ち上った
今日は寒さが厳しい いつの間にか、もう冬だ
寒いから早く電車に乗りたいけど、 家に帰ったら母さんに小言を言われるだろう
そう考えると足が鉛のように重かった
地下鉄に揺られること、30分 最寄駅に着いて落ち着かない心を静める為に 秘密の場所へ足を向けた
家に向かう道を途中で左に曲がる
その先にあるのは、今は使われてない公園だ
幼かった頃はみんなが集まる場所だったけど、 事故があったみたいで今は誰も訪れる人はいない
ここは俺だけの場所
顔を見られたり声を聞かれたりなんてしない
公園の真ん中にある桜の木
春になるとピンクの花をいっぱいに咲かせるけど 今は全ての葉が落ちた姿をしている
その根元に腰を下ろし、太い幹に背をもたれて、 俺は目を閉じた
瞼の裏に、さまざまな光景が浮かんでくる
先輩の明るい声、優しい笑顔
俺を振った時の申し訳なさそうな顔
みことの苦しげな横顔
並んで歩く2人の背中、
、
苦しい。
何がこんなに苦しいのかわかんない
でも、苦しい。
先輩に振られたことが悲しいのか?
みことが先輩と付き合ったのが羨ましいのか?
2人が仲良くしてるのが妬ましいのか、
わからない、全部かもしれないし違う気もする
自分が何をしたいのか、どうすれば楽になれるのか わからない
とにかく苦しくて辛くて、耐えきれない嗚咽と 止めどない涙が、次々に込み上げてくる。
声をあげて子供のように泣いた
どんなに辛い時も声を上げて泣けば 涙が枯れた頃にはすっきりしてる
そうすれば明日も頑張って学校に行くことができる
空を仰いで、空に声を投げつけるように、 ただ、ただただひたすら泣く
ーーー
その時だった
俺の嗚咽と鳴き声の合間に、微かな音が聞こえた
驚いて、息が止まる
はっきりと聞こえた
これは歌だ。
柔らかく密やかに慎ましく 空間を満たす優しい、優しい歌
そっと柔らかく肌を濡らす霧雨のような
穏やかに降り注ぐ春の木漏れ日のような
頭上の桜が満開に咲き誇って、無数の花びらが風に踊って、 桜吹雪に包まれているような
そんな幻想を抱かせる、そっと囁くような微かな歌声
今までに味わったことない不思議な感覚に 涙はすっかり枯れてしまった
ゆっくりと瞬きをして、声の聞こえてきた方へ顔を上げた
冬の初めの柔らかい光に目を細める
それと同時に、パキッと枝のなる音がして男の子が降ってきた