杏子
殺し屋さん、本当に今週末弟を殺してくれるのよね?
殺し屋(R)
おう、それが俺の仕事だからな
杏子
助かるわ。あいつ、お父様の遺産を全て奪い取って…許さない!
殺し屋(R)
成程ねぇ…まっ、「結果」は出すから楽しみにしときな
杏子
よろしくね、殺し屋さん
殺し屋(R)
なぁ、その「殺し屋さん」ってのやめてくんねぇか?そうだな…Rとでも読んでくれればいい
杏子
分かったわ、Rね
殺し屋(R)
じゃあ今週末、ここで落ち合おう
殺し屋(R)
よし、そろそろだな
大翔
お、おいっ!だれだ!
殺し屋(R)
俺はR…とでも言えばいいか
殺し屋(R)
単なる殺し屋だ
大翔
殺し屋!?
殺し屋(R)
あんたの近しい者から依頼されてな…あんたを今日のうちに○す
大翔
お、おい待て!それ…誰だかわかるぞ。姉さんだろ?
大翔
それにお前も分かる。お前、同級生の瑠伊だろ?
殺し屋(R)
くっ…あぁ、そうだよ。よく分かったな、大翔久しぶりだな
大翔
ああ、それよりも何故お前がこんな事やってる?高校の時は大人しくて読書が生き甲斐みたいな奴だっただろ?
殺し屋(R)
もうあの頃の俺はいないんだよ!
大翔
もしかして…母さんの事か?高校の時から病弱だったって話してたもんな。うちの父さんも亡くなったばかりで
殺し屋(R)
知ってるよ。その為に依頼されたんだからな。
大翔
そういう事か。姉さんは就活に失敗して金に困ってたんだ。それでも最低限生活できるように仕送りしてるんだがな
殺し屋(R)
ん…まてよ?依頼人は全く遺産を貰ってないって…
大翔
「仕送り」って名目でちゃんと半分渡してる!しかも親父の会社も俺が引き継いでるわけだし
大翔
必要なら俺が斡旋して会社に入ってもらってもいいのに…全然働こうとしないんだよ
殺し屋(R)
あの姉、もしかしてそういう理由で依頼してきていたのか?
大翔
そうだろうな。悪いのは俺じゃないって分かってもらえたか?
大翔
ああ、それから…お前も金に困ってるからこんなことやってるんだったらもうやめろ。好きなだけ渡すし返さなくていい。
大翔
その感じだと1人も殺してないんだろ?だったら母さんとまだやり直せるじゃないか。
殺し屋(R)
でもお前はどうするんだ?姉には殺して欲しいくらい憎まれてんだろ?
大翔
もうそろそろ記者会見しようと思ってたんだがな…新しく俺の会社アメリカ支社をつくったんだ
殺し屋(R)
ってことは…
大翔
俺はアメリカに移り住むからまあ大丈夫だろ。
大翔
お前は俺の血でもとってあいつに渡せばいい。それで終わりだ。
殺し屋(R)
分かった。ありがとう。
杏子
R、ちゃんと殺ってくれた?
殺し屋(R)
…ああ。これがその証拠だ!
杏子
何よこれ…血が固まったみたいで気持ち悪いわね
杏子
くさっ!この香水の匂い…確かに弟の物ね、良くやったわ
殺し屋(R)
ケッ…ありがとうございます。それでは俺はこれで。
殺し屋(R)
(血じゃなくて弟の判断基準匂いかよ)
杏子
後で報酬は振り込んどくわ
殺し屋(R)
要らない。お前の弟から貰ったからな。あぁ、それと…
杏子
弟から!?
殺し屋(R)
は た ら け よ ク ズ !!!
杏子
何よーーーーーっ!
この後、俺は大翔と合流してアメリカに渡った。金を貰うのは俺の正義がどうしても許さなかった。
殺し屋をやめて(実際1人も殺してはいないが…)アメリカ支社で幹部として働かせてもらって…
今は完全に病気が治った母さんとアメリカで暮らしている。ただ一つ思うところがあって…
殺し屋(R)
大翔の家で遊んだこともあったのに姉は俺を覚えていないのか?
殺し屋(R)
俺の存在、空気かよ…