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ルティ
ルティは、静かにそう告げた。
視線が、交わる。
ルティは、こちらの顔色を見ていた。
ルティ
冗談のように言ってくれるが、この内容は、それほど軽いものではない。
ただ、根拠はないが、信じられる。
記憶もないが、感覚で分かる。
それは、嘘ではない。
ただ、何かがおかしい。
それが事実だとすれば、何か、違和感がある。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
そう言って、ルティは笑ってみせる。
ただ、その表情は、どこか寂しげだった。
ルティ
ルティ
そこで小休止は、終わりとなった。
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探索を続ける。
息が合ってきたのだろう。効率が上がってきた。
魔物を避け、探索は続く。
そして、ある場所で、ルティはその足を止めた。
ルティ
地図を見て、首を傾げている。
道が、地図と異なっているらしい。
そしてその道の先に、何かの気配があった。
???
???
怪しげな人影が、暗がりの中で何かを唱えている。
???
???
???
聞こえてくるワードは、不穏なものばかり。
ルティ
黙っている必要がないと判断したらしく、ルティは小声で囁く。
ルティ
ルティ
状況から考えて、あの人影が怪しいということに争う余地はないだろう。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
シメるだのオトシマエだのというのは、一般人のセリフではない気がするが
指摘するのは野暮だろう。
???
???
声に気付かれたらしい。
人影が、こちらを振り返る。
ルティ
ルティ
無遠慮に、ルティが啖呵を切る。
???
???
笑ったのだろうか。
人影の声の質は、話し方は、どこか妙だった。
???
???
???
一転して、怒気を滲ませる。
この人物は、情緒が安定していない。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティは微笑み、魔法陣を描く。
ルティ
そして、紅の火球が顕現した。
大樽一つ分はありそうな巨大な魔法。
直撃すれば大火傷は必至。
そしてそれは一片の躊躇いもなく、人影に襲いかかった。
というかルティ、実は魔法を使えたらしい。
炎に包まれて人影が燃え、装束が焼け落ちる。
???
???
そこには、露出した骨と爛れた死肉が覗く、ヒトならざるものの姿があった。
ルティ
相手はアンデットの禁呪使い。
知能と理性を持つアンデッドはリッチと呼ばれるが、これはそれに近い存在だろう。
油断できないものになる。
???
禁呪使いが詠唱し、紫炎を纏った頭蓋骨が1つ、禁呪使いを守るように浮遊した。
ルティ
〈鑑定〉で正体を掴み、ルティは皮肉の言葉を口にする。
ウィル・オ・ウィスプ。それは鬼火であり、火を扱うもの。
剣を抜き、距離を詰めてみるが
ウィル・オ・ウィスプ
それは一定の距離に近付くと怪しい輝きを放ち、青い炎の防壁を展開する。
後ろに跳び、距離を取るが
???
???
禁呪使いが安全圏から、毒の魔弾を撃ち込んでくる。
回避できない弾幕ではないが、この布陣、性格の悪さがよく出ている。
ルティ
背後から、ルティの声。
ルティ
細かな説明はなく、そう告げられた。
ルティを信じるか、否か。
今ある選択肢はそれだけだった。
剣の感覚を確かめ、正面を見据え、足を踏み出す。
ルティ
背後で、ルティの詠唱が聞こえる。
ルティの初撃のファイアボルトは、禁呪使いには効かなかった。
そして、意思を持つ炎とも言えるウィル・オ・ウィスプに対しても、ダメージを与えることは難しいだろう。
だが、“ここ”のウィル・オ・ウィスプが思った通りのものなら
ダメージ以外の効果を期待できる。
真っ直ぐに、禁呪使いに向かう。
ルティの放った火球は、ウィル・オ・ウィスプを飲み込んだ。
距離が詰まり、先の一線を踏み越える。
ルティの炎に包まれたウィル・オ・ウィスプは反応せず
先のような炎の壁は生成されなかった。
???
禁呪使いが驚きを露わにする。
ここのウィル・オ・ウィスプの特性は、思った通りのものだった
熱によって周囲の環境を測る。
即ち、高温の熱源で周囲を囲ってしまえば、視覚を失ったも同然になる。
???
禁呪使いは慌てて無数の魔弾を紡ぐが、その狙いは荒かった。
身を伏せて回避。
屈めた背の上を、それらが通過した。
距離が詰まり、振り上げた切っ先が禁呪使いの腕を断ち
次いで振り下ろした刃が、その胴に深々と食い込む。
僅かに遅れて、斬り飛ばした腕が床に落ちた。
???
???
こちらを睨み、禁呪使いは言葉を紡ぐ。
???
???
そして、禁呪使いの動きが、止まった。
ウィル・オ・ウィスプが力を失い、纏う頭蓋が水路に転がり落ちる。
ルティ
警戒しながら、ルティは尋ねる。
返すのは、肯定。
目の前にあるそれは、ただの骸となっていた。
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ルティ
ルティ
禁呪使いの骸を調べ終えて、ルティが呟く。
周囲には切り刻まれた様々な骸が、無数に転がっていた。
禁呪使いが魔物の発生の原因と考えて、間違いないだろう。
研究というのはおそらく、死者の蘇生に関する何か。
禁呪使いの遺体から読み解けることは、それくらいだった。
ルティ
ルティはそれに、言葉をかける。
その言葉にあるのは、少しの同情と、小さな優しさだろうか。
ルティ
ルティ
ルティ
立ち上がり、ルティはこちらに視線を向ける。
ルティ
断る理由はない。
あのフレッシュゴーレムを放置するのが好ましくないことは明らかだ。
ただ、禁呪使いが言っていた言葉も気になるが……。
余計なことは事が落ち着くまで、考えない方がいい気がした。