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レーナ

近付くなッ!それ以上近付いたらッ…!

店内には1人の少女の声が響き渡る。

目の前には銃口を向けた警察官、 周りには痛みに顔を歪ませる男ら。

大きく息を吸い警察を睨みつける。

今、自分にある精神を 全て剥き出しにするように。

だが…"ソレ"は本当に 剥き出しになってしまった。

レーナ

…ッ!?なんで…ダメッ!今すぐ戻って、!!

狼のような姿をした幽霊のようになにかうっすら光を帯びている"ソレ"が現れる。

"ソレ"が現れたら… もう後戻りはできない。

"ソレ"は尻もちをつき怯んでいた男の腕を数cm自身の鋭い爪で切り裂いた。

レーナ

あぁ…!!

警察

何を言っている…何も居ないぞッ!

い、!痛てぇ!!なんだぁこれ!!

引っ掻き傷がッ!!

引っ掻き傷に唾を吐きかけると "ソレ"は消えた。

警察

まさか…お前ッ!麻薬をやってるな!?

警察

抵抗してみろッ!撃つぞ!!

警官は銃を握り直し引き金に指を置く。

レーナ

やってない…麻薬なんてやってない!

レーナ

それに…あたしじゃあない!!

レーナ

やったのは別の人物ッ!

私は大きく手を広げ目の前の 警官に1歩近付く…

警察

こっちは撃つと警告したッ!

レーナは死を覚悟し…反射的に顔を隠す。

店には射撃音とともにびちゃっという生々しい音が響いた。

銃口からは白い煙が出ていた。

警察

ッ!!?

レーナ

違う…違うッ!!

レーナ

ッ!

レーナの手からはうっすらと 半透明の糸が見えた。

レーナは糸を目で辿る…さっき"ソレ"が男に着けた引っ掻き傷と繋がっていた。

レーナは一瞬にして理解した。自分が手で顔を隠したと同時に糸が引っ張られ男は盾になったと…

警察

コイツを取り抑えろッ!!どうなったっていい!!とにかく押さえつけるんだァァァッ!!

この物語は、1度手を出したらもう後戻りできない【麻薬】をきっかけに1人の少女とギャング達の数奇な冒険譚である。

イタリアの1番下にあるシチリア島。

そしてその中にある都市【パレルモ】

ちょっとした豪邸に住み、 街で美人と評判の娘がいた。

名は【レーナ・アウローラ】

お弁当は持った??

レーナ

うん!持ったよ!!

なら大丈夫ね、行ってらっしゃいのキスよ。

母の声はいつもふわふわしてて 聞くと安心する。母のからのキスはとても優しい、嫌なことがあっても忘れてしまうくらい。

レーナ

行ってきます!!まま!

私は大きく手を振る。 母は微笑みながら手を振る。

毎日学校に行き、みんなと共に学ぶ。 お昼をみんなで食べ、放課後みんなで遊ぶ。家に帰ったら家族と団欒し毎日幸せな日々を送っていた。

そう…"あの日"までは。

日曜日の昼…

準備は出来た??

レーナ

うん!できたよ!!

私は母が作ってくれた淡いピンクのワンピースを身にまとい、お姫様のようにくるりと回った。

よく似合ってるじゃあないか。今日は待ちに待ったピクニックだもんな!

レーナ

私、楽しみ!!

冬の午後は朝より少し暖かかった。

やっぱり母さんの手料理は美味いな〜!なぁ、レーナ?

レーナ

うん!私ママの手料理大好き!!

本当?嬉しいわ〜!

レーナ

ママ!私反対側の公園で遊んできてもいい?

えぇ、良いわよ。怪我しないようにね?

時間になったら父さんが迎えに行ってやるからな

レーナ

わぁーい!行ってきマース!

父と母の顔を見たのはこれが最後だった

数時間後…

レーナ

パパ…遅いなぁ…

15時半だと言うのに空はオレンジ色へと染まっていた。

レーナ

戻ろっと…

公園は反対側だったため戻るのに10分弱はかかった。

戻る途中何台か救急車やパトカーが私を通り越して行った。

レーナ

騒がしいなぁ…どうしたんだろ、

レーナ

(あれ…あそこって…ママとパパご飯食べた場所…?)

レーナは少し小走りでその場へ向かった

遠くからでもわかった。

レーナ

…パパ…ママ?

血を流して倒れている両親だった。

理解ができなかった。だが数秒後には頭に一瞬にして整理が着いた。

レーナ

パパッ!?ママッ!!!?

警察

お嬢ちゃん!危ないから近づかないでッ!

レーナ

違う!あれは!!ママとパパなの!!

警察

聴こえるか?こちら現場付近、10歳程の娘と名乗る少女を確保。どうぞ

無線)了解、今から向かいます。

警察

お嬢ちゃん、お名前は?

レーナ

レーナッ!レーナ・アウローラ!

警察

パパとママの名前は?

レーナ

ソフィア・アウローラとダイク・アウローラ!!

警察

間違いない…被害者2名と完全一致…

警察

こちら現場付近。少女の身元特定。正真正銘被害者2名の娘のようだ。どうぞ

無線)ここの近くに祖父母の家があるらしい。そこへ一旦返そう。どうぞ

警察

了解した。

警察

お嬢ちゃん、落ち着いて聞いてね。パパとママはこれから病院に行かなくちゃあ行けなくてね…

警察

これからおばあちゃんとおじいちゃんの家にお兄さんが送ってあげるから…ね?

レーナ

パパとママは無事なの?!

警察

うん、大丈夫だよ。

レーナは警察の手により 祖父母の家へ送られた。

数日後… ソフィア・アウローラ ダイク・アウローラ はこの世を去った。

一匹狼とギャング

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