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ワーもう分けわかんないやー!エーット
真っ赤に染まった両手が
脳裏にこびりついている
あの夢は一体何なのだろうか
誰かの記憶…?
俺のだっりして…
なわけないか
はぁ
もう……
寝たくねえ
if
いふさんは俺の顔を覗き込んで
そんな提案をする
…帰ったほうが良いのか?
俺は悩んだ
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さっきから抱きついて離れない
紫色の背後霊に相談してみると
いるま
そんな答えが返ってきた
いや余計に悩むのだが?!
これ以上他人に迷惑をかけるわけにはいかない
だがしかし
できれば今日中に
調べ物を終わらせてしまいたい
それに
家で何もしないでいるよりは
ここで作業をしていたほうが
気は紛れる
暇72
いふさんは俺の目をじっと見つめる
「早く帰って休め」
彼のオーラがそう語っていた
夢を見ないで済むのならそうしたんだけど
しばらくして
彼は深い溜息をつく
俺に決定を覆す気は無いと悟ったようだ
if
いふさんは承諾の意を見せる
納得は……していないようだが
ありがと、いふさん
俺はいるまに手を引かれて立ち上がり
椅子に座りなおした
資料のページをめくる
眠った分の遅れを取り戻さねば
いるまは俺が座ったのを確認すると
俺の真向かいにある彼の席へいそいそと戻り
資料やノート、筆記具一式をまとめて
俺の左隣に置いた
それがさも当たり前であるかのように
いるまは俺の隣の席に腰を下ろす
彼なりの気遣いだろう
もしまた俺が倒れたとき
すぐに支えられるように、と
なんだかんだ優しいやつだ
暇72
俺はいるまにしか聞こえない声で
そう呟く
いるま
そっけない返事だ
でも俺は知っている
こういうときは大抵__
彼の方に目をやると
耳がほんのり赤くなっているのがわかった
相変わらずだなw、かわい
やべ、調べ物調べ物
いるまのテレ顔を拝むのは今度にしよう
俺は手元の資料に向き直る
ん、あれ?
正面を向いた拍子に
何か青いものが見えた気がした…
顔を上げると
さっきまでいるまが座っていた向かいの席に
いふさんが座っている
館長室に戻ったんじゃなかったのか
いふさんは少し分厚めの書籍を持っていて
ページを頻繁にめくっては戻り
めくっては戻り、を繰り返していた
俺達のように 文章を読んでいるわけではなさそうだ
俺の視線に気がつくと
にやりと笑う
if
暇72
if
if
いふさんはそう言いながら
手に持っている本を俺に見せてくれた
if
if
if
if
暇72
俺は首を傾(かし)げた
文字が消えてる、破けてるってことはつまり
情報そのものが消えているようなものだ
元々記載されていた内容を知らずに
どうして修復ができようか
同じものが2冊あったりするのかな
展示用と保存用、みたいな
if
if
ん?どゆこと?
話が噛み合っていない気がする
暇72
俺がそう尋ねると
いふさんは不思議そうに俺を見て
if
そんな言葉を平然と口にした
予想外の回答に
思わず思考が停止する
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記憶してる?
いやいやまさか……
まじ?
暇72
俺は戸惑いつつも、会話を続ける
暇72
暇72
if
いや、返事軽っ!!
何万冊あると思ってんだよ……
全部記憶してるとか
バケモンじゃねえか
十分他人に自慢できるレベルの能力値だ
俺なんか見開き1ページを覚えるのにも
一苦労だってのに…
けれどもいふさんは
自分の凄さをひけらかそうとはしていない
そういうところも
この人が人々から尊敬される所以だろう
それくらいの技量がなければ
副館長はやっていけないのかもしれない
まあ、単にいふさんが
自分の異常さを分かっていないだけだ という説もある
ほら、その証拠にいふさんは
「俺なんか変なこと言った?」
とでも言いたげな表情で こちらの様子を窺(うかが)っていた
if
首を傾げていたいふさんが ふと声を上げる
こちら側に右手を伸ばしてきた
俺に何かついているのだろうか
昼飯の食べカスついてる、とか?
え、恥っず
だがそんなものは
どうやらいらぬ心配だったようで……
いふさんの腕は俺ではなく
俺の隣に座っているいるまの方へと 伸ばされていた
俺は安堵しつつ
その伸ばされた腕の先にある
いるまの資料を覗き込む
いるま
作業に集中しきっていたいるまは
少し驚いた様子で顔を上げた
if
いふさんがそう呟く
いふさんは書物の右下に記載されている 少し長めの解説文を指差した
俺たちは勿論 何のことか分からないので
ただ顔を見合わせることしかできない
いふさんはこう続けた
if
確かによく見ると
それは他の文とは違った字体で書かれていた
文字の線が細かく かっちりとした印象を与える
いるま
いるま
いるまは数ページ遡って“ほら”と見せる
if
だがいふさんはそれをすぐさま否定
if
if
if
いや、確かに言ってたけど
字体まで覚えてんのかこの人
if
if
いふさんの表情が一気に暗くなる
暇72
if
if
if
if
if
if
if
室内が緊張した空気に包まれた
if
if
いふさんは何かに気付いたらしく
その資料をいるまから取り上げる
その瞬間
突如としてその資料から
紅い炎が舞い上がった
暇72
いるま
炎は火柱となっていふさんを包み込む
咄嗟の出来事だったにも関わらず
いるまは即座に水魔法を放った
中級魔法だ
この規模の魔法を無詠唱で発動させるとは
大した腕前である
それはあっという間に火柱を覆った
このまま相殺してくれ
いるま
いるまから苦しそうな声が上がる
同時に火柱を覆っていた水が音を立てて消えた
どうやら威力が足りなかったようだ
いるまは汗だくになり
肩で息をしている
火柱は弱まるどころか勢いを増していた
彼は再び魔法を繰り出す
だが先の魔法ほどの威力はない
当然、更に強力になった火柱に敵うはずもなく
またもや掻き消されてしまった
どうしよう
このままではいふさんが___
混乱した頭の中で
俺はあることを思いつく
俺が…俺が……、
魔法を使えば……?