主
三郎
主
三郎
主
三郎
そう言って手元にチョコレートケーキの乗った皿を引き寄せる。
主
主は”スルスル”とチョコレートを手元に引き戻す。
三郎
主
三郎が引き寄せようとした皿を、指先で押さえる。
主
主
三郎
主
”ギリギリ”と皿を引っ張る指に力を入れる。
主
主
三郎
主
主
三郎
三郎
三郎
主
主
主が低い声で言うと、
三郎はケーキの乗った皿から手を離して後退する。
その行動がコンマ一秒でも遅ければ、
脳天から巨大な串が三郎を貫いていたことだろう。
主
主が針を飛ばして言うと、
針は二匹の狼となって三郎に襲い掛かる。
三郎
三郎が札を飛ばすが、
それを”ヒラリ”と二匹は避ける。
札が貼りついたクッションが破裂音を上げて、
辺りに綿を飛び散らせた。
足元に噛みつこうと滑り込む狼を、
三郎は飛び上がって避けようとしたが、
その肩に針が刺さる。
三郎
主
三郎
三郎の体が空中で己の意思に反して
捻じれる。
三郎
しかし、
間に合わず
そのまま床に叩き付けられる。
いや、それだけでは済まない。
体の捻じれは止まらない。
関節や筋肉が”ギチギチ”と嫌な音を立てる。
三郎
”パチンッ”と刺さっていた針が弾けて消える。
が、
三郎
二匹の狼が三郎の首と腹に噛み付く。
三郎
真っ赤な炎に包まれる狼。
ニヤニヤと笑みを浮かべていた主の後ろから伸びる、
黒い影。
主
その細い両肩を掴んで、
影は主を床に叩き付ける。
主
黒い影が開けた口から
大きな杭が吐き出されるが、
”バチンッ”と音を立ててそれが主の目の前で止まる。
主
しかし、
黒い影に足を掴まれ、
あっさり逆さに吊られる。
主
三郎
主
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三郎
三郎は首と腹から血を垂らしながら、
呆れたように呟き椅子に座ると
フォークを手に取る。
視線を床に落とすと、
そこには手足を千切られた主が
頬を膨らませてこちらを睨んでいた。
三郎
そして、
ケーキを口に入れた瞬間、
主は”ニヤリ”と笑う。
三郎
手が震え、
フォークが滑り落ちると、
三郎
三郎は口から血を吐き出した。
主
いつの間にか元の姿に戻った主は、
床に転がって
喉元を押さえ
血を吐き出し続ける三郎を
冷ややかな目で見つめる。
主
主は嬉しそうに笑い、
ケーキを口に運んで
実に美味しそうな顔をする。
三郎
床を這いずりながら近づいてくる三郎に、
主は”し~らないっ”と言い放ってケーキを頬張る。
主
主
三郎
主
三郎
主
主はケーキを平らげると、
椅子から”ひょい”と飛び降りて冷蔵庫を開ける。
そこには、
高級そうな黒い箱が一つあった。
主
三郎
主
血を吐きながらも、
三郎は頷く。
主
主はスキップしながら三郎の元に戻ると、
三郎の頭を軽く二回叩いた。
すると、
ピタリと吐血が止む。
主
三郎
三郎
三郎
主
三郎
そして、
二人は楽しそうに笑いながら
チョコレートを仲良く食べたのだった。
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