主人
主人
四郎
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
主人
その家は近所で幽霊屋敷と言われていた。
十年前に持ち主が病死してからずっと放置されており、
建物はボロボロ、
庭の草木は生えたい放題。
ボロボロの見た目から幽霊屋敷と揶揄されているわけではない。
正真正銘、幽霊が出るのだ。
目撃者は多数。
動画配信サイトの生配信者がやってきて
ライブ映像に幽霊が映り込んだことから有名になり、
連日人が訪れる始末。
近所の人が警察に通報し、
パトロールを強化したことで訪れる人は減ったが、
幽霊がいなくなったわけではない。
今でも明かりを持って屋敷の中を彷徨う老婆の姿が時々見られるのだ。
神崎
神崎
そう悪態を吐くのは不動産会社社員の神崎。
四郎とその主人の数少ない理解者であり、今回の依頼人である。
四郎
神崎
神崎
神崎
神崎
四郎
四郎
神崎
四郎
神崎
神崎
四郎
神崎
神崎
神崎
四郎
神崎
四郎
神崎
神崎
四郎
神崎
四郎
神崎
神崎
四郎
神崎
神崎
神崎
四郎
神崎
神崎
四郎
神崎
神崎
四郎
神崎
神崎
神崎
神崎
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
四郎
主人
主人
主人
四郎
四郎
四郎
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
四郎
四郎
主人
主人
四郎
家の中にあるあらゆる物が埃を被っている。
マスクと眼鏡をかけているから平気だが、
少し歩いただけで埃が舞う。
歩くたびに床板が痛そうに軋んでいた。
部屋はいくつもあった。
だが、そのどれもが使用されていないようで家具の一つも置かれていない部屋ばかりだった。
四郎
長い廊下の先、
軋む木製の扉を開くとそこは「猪垣 蓮双」の作業場のようだった。
埃を被った筆が壁に並び、
何も書かれていない紙が筒状に丸められて部屋の隅に置かれていた。
四郎
四郎は筆の側に置かれた硯(すずり)や墨(すみ)を見つける。
そして、壁に掛けられた額縁を見つけてギョッとした。
四郎
四郎
そこには鬼と化した女性を模した般若が、
荒々しい筆遣いで描かれていた。
四郎
ふと、何かを感じて振り返ると
四郎
扉の隙間からこちらを見つめる老婆の姿があった。
四郎
四郎
しかし、老婆の姿はゆっくりと扉から離れ消えてしまった。
主人
四郎
主人
四郎
主人
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
四郎
言われるがまま二階に上がり、角部屋を目指す。
階段を上がる前、台所の方へ消える老婆の姿を見た。
腰の曲がった、
白髪の長い老婆だった。
二階の角部屋の扉を開けると、
そこには必要最低限の家具が置かれていた。
ベッド、タンス、机、椅子。
そして、クローゼット。
主人が「クローゼットの中」だというので四郎は迷わず開ける。
すると、そこに縦長の木箱が落ちていた。
四郎
四郎は箱を拾い上げ、部屋の真ん中まで持ってくると
そっと蓋をあけた。
四郎
撒かれている紐をほどき、
掛け軸を伸ばす。
四郎
そこに、あの老婆がいた。
腰が曲がり、足元まで垂れた白髪。
襤褸(ぼろ)をまとい、
手に燭台を持っている。
蝋燭の炎は大きく、簡単には消えそうになかった。
四郎
老婆は顔を左側に向け、どこか寂しそうな顔をしていた。
四郎
そう、この掛け軸は一対になっている。
老婆が描かれた掛け軸と何かが描かれた掛け軸二つ揃って、
一つの作品となるはずなのだ。
四郎
掛け軸を丸めて、振り返ったそこに
老婆がいた。
四郎
ほぼゼロ距離である。
老婆は白濁した双眸(そうぼう)で四郎をじっと見つめ、
それから深いため息をついて姿を消した。
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
四郎
四郎
主人
主人
四郎
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
四郎
四郎
主人
四郎
四郎
主人
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
主人が案内だと言ったモノは、
黒いスライムのような物体だった。
細い二本の腕で人懐っこく手を振り、
ズルズルと床を這いながら先導する。
背中に「案内役₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾」の文字が。
本来であればこれは人には見えないモノ。
触れられないモノ。
一般人が干渉出来ないモノ。
呪術とはそういうモノだと主人は四郎に説明した。
だが、四郎はそれらを見ることができ、
触れることができ、干渉することができた。
その特異体質ゆえ、主人ー引きこもりの呪術師の下についているのだ。
案内役はズルズルと階段を下りる。
台所を抜け、勝手口から外に出る。
ズルズルと壁沿いに動き、
ピタリと止まると細い指で目の前の扉を指差した。
見た目は、小屋である。
いや、窓はないから倉庫か何かだろうか。
案内役が細い指を鍵穴に突き刺し、
ピッキングをする要領で鍵を開けた。
四郎
扉を開けた先にあったのは、地下へと下りる階段。
案内役はズルズルと階段を下りていくが、四郎は足を止めた。
四郎
下へ行けば行くほど黒いモヤに阻まれる。
四郎
四郎をゆっくりと包み込む薄墨色の膜。
そこに浮かぶ「防壁|ω・`)))」の文字。
このふざけた絵文字は主人の呪術である証拠だ。
それがあれば大抵のモノは防げるので、四郎は階段をゆっくりと降りる。
階段を降りきると扉があり、少し開いていた。
扉を押し開き中に懐中電灯の明かりを向けると、
案内役が狭い部屋の中を右往左往していた。
四郎
四郎
四郎
四郎
床に置かれた三つの木箱のうち、一つを案内役はペチペチと叩いた。
近づいてみると三つとも大量のお札が張り付けてあり、
異様な雰囲気を醸し出していた。
四郎
数枚のお札を剥がし、木箱の蓋を開ける。
箱の中から噴き出す黒いモヤと冷気。
そして、「シャーッ!」という声と共に目の前に現れたのは
天井に頭が届きそうなほど大きな白猫だった。
目は血のように真っ赤で、鋭い牙を見せて威嚇する。
素早い猫パンチが炸裂するが、それは薄墨色の膜に触れるとバチンッという音と共に弾かれ白猫は悲鳴を上げた。
老婆の声
四郎
老婆の声がどこからともなく聞こえると、
巨大な白猫はシュルシュルと小さくなって消えた。
みぃちゃんの声
老婆の声
老婆の声
老婆の声
四郎
四郎
それを手にして木箱の蓋を閉めると、
四郎は来た道を戻る。
案内役は遅れて四郎についてきた。
母屋(おもや)に戻り、広い居間で四郎は二つの長方形の箱を机の上に置く。
四郎
二階の角部屋で見つけた箱の中には、老婆の姿が描かれた掛け軸が。
地下で見つけた箱の中には、白猫が蝶々と戯れる姿が描かれていた。
四郎
と、案内役が猫の描かれた掛け軸に近づく。
四郎
細い腕を伸ばし、紙の中の猫の首根っこを掴む…ような仕草をする。
ズルッ…と引っ張り出される白い猫。
みぃちゃんの声
引きずり出されたのは実際の猫ではない。
水墨で描かれた二次元の猫。
それがまるで生きているかのように手足をばたつかせる。
そして、その猫を老婆が描かれた絵に近づけると
猫は紙の中に、絵の中に吸い込まれるようにして入っていった。
老婆の声
老婆の声
みぃちゃんの声
老婆の声
みぃちゃんの声
老婆の声
老婆の声
老婆の声
みぃちゃんの声
老婆の声
みぃちゃんの声
老婆の声
老婆の声
みぃちゃんの声
白猫は老婆の足元にすり寄ると、
絵の中の老婆が嬉しそうに微笑んだ。
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
四郎
主人
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
主人
四郎
四郎
主人
四郎
主人
四郎
四郎
主人
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
四郎
四郎
四郎
四郎
主人
主人
四郎
主人
主人
主人
主人
主人
四郎
四郎はこぼしそうになったため息を飲み込む。
そして、視線を案内役に向けるとそれは大きな口を開けて
二本の掛け軸を口の中にねじ込んでいた。
おそらく、それらは主人の元に送られるのだろう。
送られた掛け軸は、主人の知り合いの手によって燃やされ
絵の中に閉じ込められていた御霊は昇華するはずだ。
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
四郎
二本の掛け軸を無事飲み込んだ案内役は、
楽しそうに両手を振って、
ドロリと溶けて、
消えた。
コメント
4件
意図せずシリーズモノっぽくなってしまった(:3_ヽ)_
チャット風小説アプリで主人と四郎くんのやり取りが書きたかったのです。