放課後、2人きりの屋上。
増田
で?好きなやつって誰なの?
○○
うっ……
いきなり痛い質問。
その理由は一つしかない。
その人は今、目の前にいるんだから。
○○
な、ないしょ
増田
…恋愛相談乗ってほしい
って言ったのはどっちだよ
って言ったのはどっちだよ
貴久は、ふっと呆れたように笑って 片手に持っていたペットボトルの水を飲んだ。
幼馴染の貴久。
好きになっちゃいけないような気がしててでもどこかで、いつかは 好きになるんだろうって思ってた。
好きな人に恋愛相談なんて 幼馴染じゃなきゃできてない。
良くも悪くも立ちはだかる壁。
増田
そいつの連絡先とかはある?
○○
一応…
いや、当たり前。
増田
んーじゃあ、とりあえず
メシ誘ってみるところからじゃ
ない?
メシ誘ってみるところからじゃ
ない?
昨日、 学校の帰りに一緒にカフェ寄ったんですけど…
○○
でも…
増田
LINEでも電話でもいいから。
まぁLINEのほうがいいからさ
まぁLINEのほうがいいからさ
仮に私が前者でチャットを送っても 後者でコールを鳴らしても、
目の前にいる貴久のスマホが 震えるのに変わりはない。
○○
じゃあ、帰ってからしてみる
うんうん、と頷く彼。
増田
告白の練習は?
にやにやとからかうように笑うから
○○
完璧だもん
思わず張り合った。
増田
じゃあ、
俺のことそいつだと思って、ん。
言ってみ?
俺のことそいつだと思って、ん。
言ってみ?
思ってもいなかった展開。
練習どころじゃない。
リハーサルなんか越して、 私からしてみればそれはもう本番なわけで。
○○
あ…えっと……その、
増田
ほら、たった2文字
穴があきそうなほど見つめられて 身体の芯のところから 体温がぐんぐんあがっていくのがわかる。
何も言えない私に貴久は…
増田
…早く言わないと
俺から言っちゃうよ?
俺から言っちゃうよ?
この想いはどこかで弾けて 知らぬ間に届いていたらしい。
“好き”が奪われるまであと_________







