命

僕の名前はころん

6人兄弟の4男だ

見ての通り、兄たちは僕と他の兄弟とで接し方が違う。

でも、僕は中学生になるんだ。

だから、我慢しなきゃ

平和な家族。楽しい家族。

僕がいなければもっと楽しい家族。

二人が行ったあと、僕はこの時間が好きじゃない

学校での僕は、空気だ。

もう、いつからか覚えていない

いつから、僕の机はこんなにボロボロなんだっけ

いつから、教科書が見れなくなったんだっけ

誰か、助けて

ぼーっとしてたら一日が終わる

思い足取りで小学校へ向かう

この時間は1番楽だ。

この時間は癒される

帰ったら料理を作って

この曲は、僕が小さい頃に幼稚園で習った曲だ

この曲を家で歌った時、みんなが沢山褒めてくれた

ななにぃも、莉犬にぃも、今は冷たいさとにぃも

だから、また褒めてもらえると思ってずっと歌ってる

この家は、親がいないから

ななにぃと、莉犬にぃで稼いでる。

でも、言いたい

本当は、僕のお金だよ、それ

僕が働いてるんだよ、

僕が何をしたって言うの

何かしたなら言ってよ

なんでも、治すから

コンコン

嘘を言った。

勝手に信じてるだけ

何も根拠なんてないのに

昨日はるぅとくんが僕のこと頼ってくれた

少しは兄ちゃんたちに言って僕の印象変えてくれないかな

早速褒められる？

よく見ればるぅとくんの手には新しいおもちゃが握られていた

あ、ぁ、おもちゃか結局

あれから、誰も僕に話しかけなくなって

僕は完全に孤立した

けどまだ、朝ごはんはある、、

それでも、行くしか無かったのか

ずっと僕に文句を言いながら

兄たちは出かけて行った。

もちろんさとにぃからは、3万円取られた

あれから、なんだかんだ和解した

そんな時だった

ぐらっと体ごと横に揺れる

その揺れは数秒で収まった。

また、揺れだ

今度は大きい

そう思いたかった。

でも、揺れは止むどころか大きくなる

そして、いよいよ家が崩壊した

僕は2人を抱いて家から逃げた

るぅとくんの上には既に瓦礫が降っていた

痛い熱い、

熱い？

その時僕の顔は笑っていた

精一杯笑っていた

怖がらせちゃいけないから

僕の足は真っ赤だった。

けど、痛くなかった

あたりは燃えて、今も炎がある

久しぶりになーくんの暖かい声だった

でも、この2人を電車が動くまで

配ってる人は信じてくれなかった

3人いるって言ってるのに、

でも、いっぱい食べられたら困るもんね

精一杯、笑顔を作った

2人はぱくぱくと食べてくれた

そうして、何とか夜になった

朝はものすごく寒かった

少し、散歩してた

僕は公衆電話に急いだ

怖い、怖い

泣くな、泣くな

心配かけんじゃねえころん

任されたじゃん、なーくんに

ずっと歌っててくれたころにぃは

いつの間にか声が聞こえなくなってて

その冷たさは、小4の俺でもわかったのだ

ころにぃがいつもと違う

ころにぃの足はよく見ると

真っ赤で、他の部分は青くなってて

向こうで聴こえるのは兄ちゃんたちが絶望してる声。

ころにぃは、酷く縮こまって

今にも死にそうなくらい青ざめていた

ころにぃの所を行き来する隊員さん達で

ころにぃがどれだけ危ないかが分かっていた

俺は自然と服を強く握りしめていた

そして俺たちは、近くのホテルに泊まることになった。

本当は、病院に行きたいが

距離が遠く、行くことは明日にした。

しばらくあった沈黙を俺が破ると

るぅとが言った。

さとにぃからの意外な言葉に詰まる

次の日

ころんは白いベットの上で横たわっていた

生きてるということの確認がやっと出来た。