花宮さくら
どの映画も小説も、ヒロインは絶対的に誰よりも可愛い
花宮さくら
私の名前は花宮桜
花宮さくら
そう。ヒロインっていうのはわたしのことをいうの。
花宮さくら
高校2年生。17歳。吹奏楽部。フルートが弾ける
花宮さくら
この学校で1番の美人、マドンナ的存在
花宮さくら
今日も自分が可愛くて幸せ。
花宮さくら
憂鬱な勉強も、なにか嫌なことを言われても、鏡を見ればそんなこと全て忘れられる
花宮さくら
私の生きる上での行動全てのモチベは、自分が可愛いってこと。
花宮さくら
昨日もまた男の子から告白されてしまった
花宮さくら
承認要求が満たされるのと同時に、自分の自信になって今日の私に磨きがかかる
花宮さくら
今日も沢山のかわいいねを沢山の人から貰う
花宮さくら
私の生き甲斐は「可愛いね」と言われること
花宮さくら
自分のこと好きすぎ。自分に酔ってて気持ち悪い。ナルシスト
花宮さくら
きっと私の心の中を知った人はこう思うだろう。でも
花宮さくら
自分のことが好きでなにがいけないの?
花宮さくら
自分を美しいと信じること。それがなによりも女を美しくさせる
花宮さくら
それに、自分のことを可愛いと思わない美人を私は見たことが無いけれど
花宮さくら
まぁ要するに何が言いたいかって、私が1番この学校で可愛いってこ……と…
ゆかり
LINE?すいませんーLINEやって無いんですよねー
男
あはは面白いね。LINEやって無い人なんているんだ〜w
男
な、渚さんおはよう…!
ゆかり
おっはよ〜!(いや〜モテる女は辛いね〜!)
花宮さくら
……
花宮さくら
2年3組渚裕花璃。前はブスだったのに、化粧やらダイエットやらして可愛くなったらしい
花宮さくら
ブスが可愛くなって、初めて周りからチヤホヤされて、どんなに気持ちの良いことでしょうね?
花宮さくら
ブスはブスのままでよかったのにね
花宮さくら
ああいうブスがモブがいるから、私のかわいさ、ヒロインが輝くのに
花宮さくら
あ〜あの子なんか不幸にならないかな〜〜〜
花宮さくら
…私よりあの子が人気者になったらどうしよう
花宮さくら
誰よりも可愛くなりたい。誰よりも頭が良くなりたい。誰よりも人気者になりたい。
花宮さくら
私は承認欲求という名の海に溺れている
花宮さくら
もっと沢山の「可愛いね」が欲しい…
花宮さくら
もっと沢山の褒め言葉が欲しい…
花宮さくら
この私の承認要求は、いつまでたってもどんなにくれても満足しない。
花宮さくら
まるで、海の中にいるのに喉がいつまでも渇いて、水を欲しているように
花宮さくら
苦しい…
花宮さくら
なんでこんなに苦しまなきゃいけないの。
花宮さくら
可愛い子は皆んな排除しちゃえばいいんだ。
花宮さくら
それしかないでしょ。
花宮さくら
もう
夏川さつき
〜♪
花宮さくら
我ながら自分でも馬鹿だと思う。こんな事をしたら、私学校退学だし、少年院でも入れられる?
花宮さくら
でも、感情的になっちゃうことって皆んな誰にでもあるでしょ
花壇の花に水やりをしているさつきを、さくらが後ろからカッターで刺そうとする
夏川さつき
ぎゃっ?!
花宮さくら
え…(気づかれた…なんで気づかれた…?)
花宮さくら
あ…ごめんなさい…なんでもない…から…
夏川さつき
え?!今、私のこと刺そうとしてましたよね?!?!こわい!!怖すぎる!!
花宮さくら
えっ……と…背中に何か紐状のようなものが付いてたので切ってあげようと…
夏川さつき
そんなわけないでしょ…!!めっちゃ殺人鬼みたいな顔してたし…!!
花宮さくら
し、失礼ですね…!私はいつもそうゆう顔なんです。!///
夏川さつき
嘘だ!だって、今めっちゃ可愛い顔じゃ無いですか!
花宮さくら
…
花宮さくら
ふっ、可愛い??
花宮さくら
可愛いはあなたみたいな純粋な子を言うんでしょうね。
花宮さくら
私は見た目はかわいくても、中身が腐ってるので
夏川さつき
(急に何この人…?なんで怒ってる…?)
夏川さつき
…その、中身が腐ってるって、私の事刺そうとしたこととかですか…?
花宮さくら
…そうよ
夏川さつき
やっぱり、刺そうとしてたんだ…!!(ガクガクブルブル
花宮さくら
なに?先生でも呼ぶ?(はぁ…わたし何やってんだろ…なんかもうどうでもいいや…)
夏川さつき
呼ばないよ。平気だよ
花宮さくら
??
花宮さくら
なんで呼ばないの?
夏川さつき
誰かから聞いたことがある…絶対的な悪者はいないって…
夏川さつき
みんななにか過去に悲しいことがあったり、みんなそれぞれ自分の正義の為に戦ってるって
夏川さつき
きっと、花宮さんも苦しいことあったんだよね
花宮さくら
(あれ…なんか涙が出てきそう。この子めっちゃ優しい…私こんな子殺そうとして…)
花宮さくら
…私の名前知ってるんだね
夏川さつき
当たり前じゃん!花宮さん知らない人とかいる?
花宮さくら
…
花宮さくら
このこと皆んなに言うの?
夏川さつき
言わないよ。
花宮さくら
へぇーどうして?
夏川さつき
言ってほしくないでしょ?
花宮さくら
まぁ
夏川さつき
まさか、花宮さんがこんな人だったとは思わなかったな〜!
花宮さくら
絶対皆んなに言うじゃん…!!
夏川さつき
言わないよ〜
夏川さつき
私だけが、花宮さんの本性知れて、嬉しいってことだよ!
夏川さつき
花宮さんいつも、みんなの人気者で、笑ってて、キラキラしてて、なんにも悩みなんか無さそうで…
夏川さつき
それが私の事殺そうとしてた。
夏川さつき
人の本性ってわからないもんなんだね
花宮さくら
…
夏川さつき
だから、花宮さん私にできることがあったら、なんでも言ってよ
夏川さつき
助けになりたいな
花宮さくら
なによそれ…
花宮さくら
こんな哀れな人を救って自分優しいな〜って気持ちよくなりたいんでしょ…!!
花宮さくら
大した偽善者ね!
花宮さくら
(わかる…私がそうだから…)
いつも色んな人から、桜ちゃんは優しくて可愛いよねって言われるけど、その裏ではいつもこんな事を心の中で思って人に優しくしてる
花宮さくら
(私何言ってるんだろう…もういいや、本性バレたんだから、こうなったらとことんさらけ出してやる…)
夏川さつき
うーんそれもちょっとあるけど、
夏川さつき
私がいつも思ってるのはこうゆうことができるようになった自分が嬉しいなって
花宮さくら
へぇ…(たしかに…私もそうゆう気持ちで人に優しくしてたかも…)
花宮さくら
ごめん、私なんかと一緒にして。飛んだ勘違いだった。実は私、自分の事あなたと同じぐらい可愛いと思ってた。
花宮さくら
でも、全然違ったみたい。あなたより全然ブスだった。見た目も。性格も。
夏川さつき
…?
夏川さつき
そんなことないよ。花宮さんの方が可愛いよ…って言いたいところだけど、私たち2人とも可愛いんじゃないかな。同じぐらい
夏川さつき
2人とも違った可愛さがあるんじゃないかな…それぞ!その人その人なりの。
夏川さつき
花宮さんは花宮さんにしかない可愛さが。私には私にしかない可愛さが
花宮さくら
ふーん。(純粋で優しくて可愛い。到底叶いそうにない…)
夏川さつき
だから、可愛い花宮さんと友達になれたら、私どんなに嬉しいだろう…
夏川さつき
いつも、サッカー部の応援の合奏綺麗なフルートだなって思ってたんだよ。
花宮さくら
そう…なんだ。
花宮さくら
…しょうがないわね!!
花宮さくら
友達になってあげるわ…!!仕方ないから!(褒め言葉に私は弱い…)
夏川さつき
なんで偉そうなの〜
正直私より可愛くて純粋でムカつくけど、一緒にいると自分まで心が綺麗になる気がして一緒にいたいって思ってしまった