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楽器の音だった

 

幽也は手を滑らせアスファルトへ転がり落ちた

幽也

痛…

 

幽也が見上げるとそこには明るい髪色をした人が立っていた

 

そいつは八重歯をにいっと光らせ

???

何してるんだい?少年

 

と言い放った

幽也

は?

 

幽也は訳が分からないといった様子だったが八重歯の人は満足そうに笑っていた

 

しかし幽也は落ち着きを取り戻したようだ。

幽也

そ、そちらこそ何を…?

 

大分ぎこちない笑顔だった

???

ふふ…敬語はいいよ

幽也

あー分かりました…

 

幽也は

 

「一刻も早く立ち去りたい」

 

その気持ちでいっぱいだった

幽也

では俺はここで…

???

自殺

 

幽也の体は勝手に振り返っていた

???

―――する人多いんだよねぇ

幽也

そ、そうですか

???

よくここにいると来るんだよね。
声かけるとそそくさ逃げてっちゃうんだけど。なんで自殺するんだろ。

 

ペラペラと喋り出した

???

そりゃ生きてりゃ辛いこともあるけどさ?逃げてるようにしか見えないんだよな〜

幽也〘 心の中 〙

これは挑発されてるのだろうか

 

そそくさと出ていくつもりだったが耳はその言葉をよく聞いていた

 

完全に足を止めると

 

そいつはまたにいっと笑みを浮かべ、一言放った

???

君も?

 

幽也の中の何かが切れた、漫画や小説でありがちだが「これ」が「それ」なのだろう

 

そいつの胸ぐらを掴み押し倒した

幽也〘 心の中 〙

……何故だろう

幽也〘 心の中 〙

今上に乗ってるのは俺なのに

幽也〘 心の中 〙

明らかに俺が負けている

 

そいつの目線には同情というか…哀れみというか…軽蔑というか…自嘲というか…

 

そういった感情が含まれていた

 

ゆうやは自分でも計り知れない悔しさを感じた

幽也

……っ

 

幽也の目から涙がこぼれ落ちた

???

……あーごめん
泣かせるつもりじゃ無かったんだけど……

 

2人の間に長い沈黙が訪れる

幽也

……名前

???

え?

幽也

名前、なんて言うんですか

???

あぁ…

???

……雨だよ

 

『雨』は少し悩んだように見えた

そっちは?

幽也

幽也です

ふーん

幽也

あの…本名ですか?

いや違うけど

幽也

そう…ですか…

 

そして2人の間に再び長い沈黙が訪れた

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