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その日はとても良く晴れていた

けれど、その空を眺めるとどこか悲しくて

梶井基次郎

(マーサが来てからもうニ週間は経つ……)

梶井基次郎

(……ガラクタをくっつけただけみたいなロケットが出来上がりつつあるけれど)

梶井基次郎

(あんなのが本当に飛ぶのかな?)

梶井基次郎

(……失敗してしまえばいいのに)

梶井基次郎

(夏休みが終わるまでにマーサが飛び立てなかったら……)

梶井基次郎

(あの子を連れてどこか遠くに行ってしまおう)

梶井基次郎

(学校の嫌な連中も、父さんも誰も僕を探しやしないさ、きっと……)

マーサ

おーい!基次郎ー!

マーサ

なにもこんな日に当たるところで座ることはないだろう!

マーサ

む?やけにぼーっとしているな?

マーサ

……ま……まさか!これが地球人が酷暑の日に患うという熱中症!?

梶井基次郎

……あ……ごめんごめん

梶井基次郎

ちょっとこの宇宙について考えてた

マーサ

そうかそうか!お前が我が銀河帝国及び全宇宙に関心を向けてくれるとは!

マーサ

それはともかく、飲み物を買ってきたぞ!

マーサ

さぁ、飲むがいい!宇宙大元帥からの贈答品だぞ!

梶井基次郎

うん、ありがとう

梶井基次郎

レモネード……僕が好きなの知ってたの?

マーサ

いいや!あの機械の使い方がわからず適当に弄っていたら出てきたのだ!

梶井基次郎

(……何をしたのかは聞かないでおこう)

梶井基次郎

……ありがとうね。檸檬って酸っぱくて爽やかで、夏向きで……

梶井基次郎

なんか、君の髪の毛見てたら檸檬みたいに見えてきた

マーサ

む?そうか?

マーサ

我が御髪は月の色と衆人にも伝えられているが……そうかそうか、檸檬か!

梶井基次郎

ぱっきりした鮮やかなレモンエロウ……

梶井基次郎

君って檸檬みたい

マーサ

ははは!月にも例えられる我が髪を檸檬と呼ぶとは!

マーサ

黄色い球体……月と檸檬は似たものかもしれないな

梶井基次郎

そうかな……そうかも……

マーサ

私がそうだと言えばそうなのだ!

梶井基次郎

あはは……独裁者みたいなこと言うね

マーサ

むぅ、宇宙大元帥としてのプライドがこう言わせるのだから仕方なかろう!

梶井基次郎

あっははは……やっぱり君といると面白いや

尾崎紅葉

……ふぅむ、聞けば聞くほど私らには縁遠い世界の様な話じゃのう

尾崎紅葉

それで、そのマーサとやはは結局どうなったのじゃ?

梶井基次郎

死にました

尾崎紅葉

な……

梶井基次郎

その子はもう何処にも居ませんよ

梶井基次郎

だってあの日、彼女は宇宙船に乗って何処かへ行ってしまいましたから

梶井基次郎

あの日飛ばしたロケットは何処にも落ちてこなかった

梶井基次郎

その代わり、彼女も僕のもとには戻ってこなかった

梶井基次郎

僕はずっと待っていたのに!

梶井基次郎

あの子がこの不条理な世界を破壊し僕を救済してくれると信じていたのに!

梶井基次郎

マーサは現れなかった!

梶井基次郎

然るに此れは彼女が不可逆なる死を迎え最早この世の何処にも存在しないことと等価たり得るのですよ!

尾崎紅葉

……成程、一理ある

尾崎紅葉

我等は最早光の側に帰ることもできぬヨコハマの闇の住民じゃ

尾崎紅葉

希望なぞ其れそのものが毒じゃ

尾崎紅葉

……私がそうであったように

梶井基次郎

そうでしょう?

梶井基次郎

……はぁ、昔のことを話すと何だか妙な気分になりますねぇ

梶井基次郎

そうだ!気晴らしにぱーっと楽しい楽しい科学実験でもやりましょう!

梶井基次郎

紅葉さんもどうです?

尾崎紅葉

いいや、私は遠慮しよう

尾崎紅葉

私の和装と白衣は合わぬからのう

梶井基次郎

つれないなぁ

梶井基次郎

ま、いいや!そうと決まれば早速実験計画を立てないと!
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