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放課後。
夕陽がオレンジ色に差し込む教室で、小野笑奈(おのえな)は、静かに机の上の教科書を閉じた。
笑奈
誰にも特に絡まれず、恋愛にも興味なんてない。
クラスメイトが「推しカプ」だの「彼氏が〜」だの言ってる中、笑奈の関心はもっぱら———
スマホの中のBIGBANGと、家で待つ愛猫の動画🐈。
家に帰ると、キッチンから漂ういい匂いと一緒に、母・栞乃(しおの)の声が聞こえた。
栞乃(母)
笑奈
エプロン姿の母は、いつもよりテンションが高い。
リビングには、新聞を読みながら頷く父・柊佑(ひゆう)の姿もあった。
柊佑(父)
笑奈
笑奈が半信半疑でソファに腰を下ろすと、母が両手をパンッと叩いて、満面の笑みを浮かべた。
栞乃(母)
笑奈
沈黙。
時計の秒針の音だけがやけに響く。
笑奈
栞乃(母)
栞乃(母)
栞乃(母)
笑奈
声が裏返る笑奈。
ピンポーン。
母が嬉しそうに駆けていく。
そして———ドアが開いた。
朔
1人目、淡いベージュのベレー帽をかぶった少年。
柔らかい笑みと落ち着いた声。
まるで少女漫画から出てきたような雰囲気。
朔
笑奈
朔
にっこり笑う朔。
その爽やかスマイルに、笑奈は思わず固まる。
2人目。
明るい金髪、キラッキラの笑顔でピースサインを決める少年。
尊
笑奈
笑奈の即ツッコミに、尊はケラケラ笑う。
犬みたいなやつだ。絶対うるさいタイプだ。
3人目。
無言でイヤホンをつけ、ゲーム機を片手にリビングへと入ってくる黒髪の少年。
和
一瞬だけ目を合わせて、すぐに視線を逸らした。
冷たく見えるその横顔に、笑奈の眉がピクリと動く。
笑奈
朔
朔がさらりと言う。
リビングに並んだ6人。
父は穏やかに新聞をたたみ、母はお茶を入れている。
その平和な光景に、笑奈だけが頭を抱えた。
笑奈
栞乃(母)
笑奈
こうして———
クール女子・小野笑奈の平穏な日々は、音を立てて崩れ去ったのであった。