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しの
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夜が嫌い
_な、はずだった。
なのに
私はまた、この場所に立っている
誰に言い訳しているのか分からない
任務の巡回。そう、ただの見回り
背後から、あの声
心臓がばかみたいに跳ねる
振り返らない
振り返ったら負けな気がするから。
絶対ばかにしてる
今日は怪我もしていない
でも、ゆあんは自然に隣を歩き出す
即答。
ゆあんは少しだけ目を細める
思わず眉を寄せる
その瞬間だった
近くで物音、吸血鬼の気配
私はすぐに剣を構える
その声は、ふざけていなかった
闇から飛び出した下級吸血鬼
私は素早く間合に入り、剣を突き立てる
一撃。おわり。
でも、背後にもう一体
低い声。
次の瞬間、影が動いた
吸血鬼が吹き飛ばされる
ゆあんの動き……早い。
人間の動きじゃない
疑いの目を向けると、ゆあんは肩をすくめる
その言葉が、胸に落ちる
間髪入れずに返ってきた
…ずるい。
そっぽを向く
でも頬が熱い
しばらく無言で歩く
夜風が心地いい
ふと聞く
一瞬の沈黙
冗談のはずなのに、妙に重い
ゆあんが立ち止まる
子供みたいなやりとり
なのに楽しいのが腹立たしい
彼が一歩近づく
距離が近い
吐息が触れそう
そんな言葉
胸の奥、触れられたくない場所に届く
私はとっさに胸ぐらを掴む
声が震えているのがわかる
悔しい。
ゆあんは抵抗しない
ただ静かに見つめる
その瞳が、一瞬だけ赤く揺れた
鼓動がうるさい
吸血鬼。
疑いは濃くなる
なのに。
ゆあんは柔らかく笑った
夜明けが近づく
空が淡く白くなる
ゆあんが呟く
背を向ける彼の影が、少しだけ長く伸びる
_夜しか会えない人。
それでもあの人ならいいと思ってしまった自分が、少し怖い
まだ知らない
ずっと追って入る”王家の吸血鬼”が
すぐ近くにいることを。