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感動する
初コメ、フォロー失礼します!(*- -)(*_ _)ペコリ
感動しすぎて涙が止まりませんでした😭✨
次の日
俺は一秒でも長く
ころんと一緒にいたいため
今日も恋人の家に来ている。
他愛もない話をしている中
急にころんが
眉を八の字にして
俺を見つめてくる。
ころん
さとみ
ころん
さとみ
さとみ
思わず
下唇を強く噛み締める。
あれから何度も
お義父さんたちのことを
説得しようと
試みていたが
何度言ったって
二人は頷いてくれなかった。
結局俺は
悔しい気持ちを抱えたまま
諦めるしか無かったのだ。
ころん
ころん
さとみ
無理やり
口の端を上げて
作り笑いを浮べる。
今の俺には
もう笑う力すら
残っていなかったのだ。
あれから数日後
今日は逆に
ころんが俺の家に
来てくれるらしい。
俺は急いで掃除を済ませる。
ころんに今から会える
そう考えると
無意識に顔がニヤける。
掃除が終わり
俺は二つのコップに
温かいお茶を注ぎ
ころんを待つことにした。
さとみ
そう呟きながら
部屋をウロウロする。
だが、何分待っても
何時間待っても
ころんが来ることは無かった。
俺は不審に思い
アイツの家に行くことにした。
しばらく走っていると
ころんの家の
玄関が見えてきた。
俺は荒い息を
落ち着かせるために
数回深呼吸をする。
そして
勇気をだして
チャイムを強く押す。
すると
数分ほどで
ドアが優しめに開く。
そこには
いかにも寝起きという感じの
俺の恋人が
ちょこんと立っていた。
さとみ
ころん
俺が説教を
かまそうと思い
口を開くと
ころんが変なことを言い出した。
俺は一瞬
顔をしかめるが
ころんは認知症だということを
早急に思い出し
不審がられないように
優しく話し掛ける。
さとみ
ころん
さとみ
衝撃な言葉に
俺は目を丸くする。
いつもなら
さとみだと言えば
すぐに思い出してくれた。
だが、今は
さとみと言っても
相変わらず
首を傾げている。
俺はころんの肩を
強く掴み
問いかける。
さとみ
さとみ
ころん
ころん
ころん
さとみ
何度言っても
思い出す気配のない
俺の恋人は
一体どうしたのだろうか…
そんな考えが頭を巡る。
さとみ
さとみ
ころん
ころん
ころん
ころん
さとみ
これ以外の言葉が
頭に浮かばなかった。
ころんは…
俺の事本当に忘れたのか…
思い出してないのか。
そう思うと
不思議と涙が出てくる。
俺は必死に
目を擦り
眉を寄せている
ころんを見る。
さとみ
ころん
さとみ
ころん
さとみ
もし、今
ころんが俺の事を
思い出してくれたら
許すことにする。
だが、それでも
思い出さなかったら
ころんの目の前から
姿を消そう。
そう決心する。
ころん
ころん
さとみ
俺は最後に
そよ風になびいている
ころんの髪の毛を
軽くポンポンと
撫でる。
さとみ
ころん
さとみ
ころん
ころんが頷いたのを
横目で確認し
俺はころんに背を向け
ゆっくりと歩む。
涙の跡が
風に吹かれて
うっすらと
俺の頬に残るのだった。
家に帰ると
冷えたお茶が
テーブルの真ん中に
置かれている。
まぁ俺が置いたんだけど。
二つのコップのうちの
一つを持ち
しばらく見つめ
口にする。
冷えたお茶は
まるで俺の心を
表してくれているかのように
冷酷だった。
俺はそのまま
お茶を一気に飲み干す。
カラカラだった喉を
お茶が優しく潤してくれる。
安堵したのもつかの間
気付くと俺の目からは
ぽたぽたと涙が
流れていたのだった。