父親
タバコ1つもまともに買えねぇのかテメェは!
桜采
ご…ッごめんなさい…グスッ…
母親
はぁ…ダルっ、早くクラブ行こーよ
父親
そうだな。おい、お前は留守番だからな
母親
勝手に外に出たら分かるよね?
桜采
うんッ…うんッ…泣
父親
行くぞ
母親
あ!待ってよー!
バタン
桜采
…痛い…ポロポロ
さっき殴られた所が ズキズキする
それに、昨日から 何も食べていない
桜采
(何か無いかな…)
冷蔵庫を開けると お酒がいっぱい
ぼくが食べられそうなものは 何も無い
桜采
(ゴミ箱を漁ったら何かあるかな…?)
そんな淡い期待を胸にこっそり外に出る
桜采
(ここの路地裏は、どうかな…)
月明かりがぼくの影を作る
でも、おかしい…
もう一つ影が出来ている
体が震える。こわい、
だれ…?
詩悠
あれっ?君は…
優しい声、落ち着く声、 聞き覚えがある
桜采
あ…
なんの意味も無い音が口から 漏れる
桜采
…お兄さん…
数ヶ月前
詩悠
こんばんはニコ
唯一優しい声で 話しかけてくれた
桜采
…こ、こんばんわ…
消え入るような声でも 聞き取ってくれた
詩悠
何か欲しいものがあるの?
桜采
…たばこ…10番が…欲しい、です…
あの時はお母さんに言われて コンビニに来た
でも、たばこなんて買えない
この人にも そう言われると思った
詩悠
そっか。本当は君みたいな子に煙草なんて売っちゃいけないけど、内緒ね!
そう言ってたばこを 渡してくれた
そのおかげで、 お仕置されずに済んだ。
安心できる人
詩悠
こんばんは
桜采
ペコ…
詩悠
何してるの?こんな夜に危ないよ?
桜采
…えっと、、その…
グルル…
詩悠
お腹空いてるの?
桜采
あ…ぅ…
詩悠
ご飯食べないとね。良ければ僕のお家来ない?
桜采
でも…朝までには、帰らないと…
詩悠
ご両親はお仕事かな?
桜采
よく、、分からないけど…くらぶ?っていう所に行くんです、
詩悠
…へぇ、そっか
詩悠
なら大丈夫!行こっか
可哀想な子
俺が君を街で見つけた時、 どれだけ興奮したか分かる?
君と話したいが為に コンビニで アルバイトしたんだよ
ヤクザの若頭である俺が アルバイトしてるなんてって、
仲間たちは死ぬ程驚いてた
でも、可愛い可愛い君と お話出来るなら 何もいらなかった
もう離さない。 俺が守ってあげるから