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しばらくバイクを走らせ、2人は廃工場のような場所にたどり着いた。

???

降りて

はい…!

フルフェイスの人物にそう言われ、夢はバイクから降りた。

夢が降りるとフルフェイスの人物は、スタンドを立てバイクを止めた。

(そういえば、乗ってる時必死で気が付かなかったけど)

(この人、女性…かな?)

フルフェイスの人物は、黒いライダースーツとヒールブーツを身につけており

胸元には魅力的な谷間、腰からお尻にかけて綺麗なウェーブのある体つきだった。

(めっちゃナイスバディじゃん、峰○二子みたい…)

あ、あの…助けてくれて、ありがとうございます

???

…いいのよ、命令されたことだし

???

それに貴女は、

するとその人物は言葉と重ねるように、ヘルメットを取り夢の方を向いた。

鏡樹

私の、大切な人だもの

……ッッ…!?

夢は思わず、ヒュッと息を飲んだ。

目の前に現れたのは、死んだはずの親友だった。

う…そッ……でしょ…”…

いーちゃん、なの…ッ…?

鏡樹

それ以外に誰がいるのよ

鏡樹はそう言うと少し呆れた顔をしつつ、顔にほほ笑みを浮かべた。

…ッ…”……!

ガバッ…!!

すると夢は鏡樹の元に駆け寄り、思いっきり抱きついた。

いーちゃん”…ッ…いーちゃん…!!

ごめん、守れなくてッ”………ごめん…、!!

鏡樹

急にどうしたのよ、全く…

鏡樹

……ッ…”……謝るのは、私の方よ…

鏡樹

…私こそ、ごめんなさい……ッ”…

2人は互いに抱きしめ合いながら、瞳に涙を浮かべた。

数分後…

鏡樹

そう、そんなことがあったのね…

うん…だから私、今でも後悔してるんだ

もっと早く、気づけてたらって…

鏡樹

そんな顔しないで、もう過ぎたことでしょ

鏡樹

それに世界は違うけど、また会えたじゃない

そうだよね、ごめん鏡いーちゃん

鏡樹

…いーちゃん

え?

鏡樹

鏡いーちゃんじゃなくて、いーちゃんって呼んで欲しいなって

分かった、そうする

鏡樹

ありがとう、夢

鏡樹

…………私も、すごく後悔してるわ

鏡樹

夢の話を聞いて、同じような行動をとってればって

でも、それじゃ…

鏡樹

分かってる、もちろんそうすれば私は死ぬけど

鏡樹

今の私からすれば、そっちの世界の方が十分よかった

鏡樹

迷う必要なんかなかった、すぐに決断すべきだった

鏡樹

"2人"を、救えたはずなのに…

………え、待って

2人ってどういうこと?

鏡樹の言葉に、夢は思わず質問した。

鏡樹

あの抗争での死者はアジトにいた曉牙の社員約600名中526名、ボスである小暮俊水

鏡樹

芦根亜夢、そして…

鏡樹

花笠ツツジよ

……ッ…!?

うそ、ツツジちゃんが…!?

鏡樹

抗争が勃発したのは、貴女の手当を終えてからすぐのことだった

バァンッ!!

鏡樹

!?

鏡樹

銃声…まさか、襲撃…?

曉牙社員A

大変だー!!

すると遠くから、肩を負傷した曉牙社員Aが走ってきた。

鏡樹

ちょっと何、どうしたのよ!?

曉牙社員A

梵天だ、梵天が攻めてきた…!!

鏡樹

梵天…

鏡樹

(なるほど夢を助けに来たのね、特定が速いこと…)

鏡樹

人数は?武器は何を持ってるの?

曉牙社員A

一人だ、拳銃片手に襲ってきた…!

鏡樹

一人って、冗談でしょ…

鏡樹

(ここには少なくとも600人以上の社員がいるのよ)

鏡樹

(ひとりで来るなんで、無謀にも程がある)

曉牙社員A

そいつが目的も言わずに、どんどん人殺しまくってんだよ!!

鏡樹

……ッ…分かったわ、何とかするから

鏡樹

貴方は怪我の止血と、まだ気づいてない社員に伝言をお願い

曉牙社員A

わ、わかった…!

そう言うと曉牙社員Aは、廊下の奥へと走り去って行った。

鏡樹

(敵は1人…かなりの実力者のようだけど、600人相手じゃどうせいつかは死ぬ)

鏡樹

(でも念の為、ツツジを安全な場所へ…)

鏡樹はそう思い、急いでツツジの元へ向かった。

鏡樹

…………ッ…

しかし走っている途中で、鏡樹はひとつの部屋の前で立ち止まった。

鏡樹は周りを確認すると、こっそりと中へ入った。

ガチャッ

鏡夢

………………

中には手当後も気絶したままの鏡夢がいた。

鏡樹

(大丈夫、縄を解くだけ)

鏡樹

(一応よ、一応…)

鏡樹は慎重に縄を解き、鏡夢を椅子から下ろし床に寝かせた。

鏡樹

……これ以上は、何もしないわ

鏡樹

あとは勝手にしなさい

鏡夢

…………………

鏡樹はそう言うと鏡夢に背を向け、ドアノブに手を置いた。

鏡夢

……ッ…あり、が……と…

鏡樹

……!

鏡夢

い……ちゃ、……たすけ、くれ……て…ッ…

鏡樹

………ッ助けてなんか、ない…

鏡樹

貴女なんか、どうでもいい…ッ!

鏡夢

うん、ッ…ありが、と……”…

鏡夢

だい、す…き…

鏡樹

……ッ…

鏡樹

(大好きなんて、意味分かんない…)

鏡樹

(どうでもいい、この子が死のうとなんだろうと)

鏡樹

(ツツジさえ無事なら、どうでもいい…)

鏡樹

(どうでも…)

鏡樹

…よく、ない……

鏡夢

…い、ちゃん、?

鏡樹

どうでも、よくない…”…

すると鏡樹は突然、目に涙を浮かべ夢にそう言った。

鏡夢

ど、した…の…ッ…?

鏡樹

夢…逃げましょう、私と…ツツジと、3人で…!

鏡夢

そ、れじゃ……いーちゃん、ころッ…される…

鏡樹

それでもいいッ…貴女を、置いて行きたくない…”…!

鏡樹

死んで欲しくない…生きていて欲しいッ…

鏡樹

これからも、一緒にいたい…ッ”!

鏡夢

…ッッ……!

鏡夢

わ、たし…も……ッ…いっしょに、いたい”…!

鏡樹

私に捕まって、夢

鏡夢

うん”…ッ…!

鏡樹はそう言うと鏡夢を片腕で抱え、もう片方の手で銃を拾い部屋を出て行った。

鏡樹

夢、今からツツジのところに行く

鏡樹

私は貴女を抱えることと、前を見ることで精一杯だから

鏡樹

もし後ろに誰か来てるのが見えたら教えて

鏡夢

わ、かった…

鏡樹は鏡夢にそう伝えると、死体の転がる血濡れの廊下を進んだ。

鏡樹

(なんて死体の数なの、ひとりでここまでなんて…)

鏡樹

(まだ息がある奴もいるってことは、犯人が近くにいる…)

鏡樹

(夢は殺されないにしても、ツツジを助け出す前に殺されるのは困る)

鏡樹

(なるべく静かに、周りを警戒していかないと…)

鏡樹

(よし、ここね)

そしてしばらく走り、2人はやっとの思いで鏡ツツジのいる部屋にたどり着いた。

ガチャッ

鏡樹

ツツジ!!

鏡ツツジ

お、お姉ちゃん…!?

部屋の扉を開けると、鏡ツツジが驚いた様子で駆け寄ってきた。

鏡ツツジ

どうしたの、そんなに慌てて?

鏡ツツジ

というかその子、すごい怪我して…

鏡樹

大丈夫よ一応意識はある、必ず助けるわ

鏡樹

ツツジ、話を聞いて

鏡樹

アジトが襲撃されてる、早く逃げるわよ

鏡樹

ここに来るまでに100人は殺されてた

鏡樹

敵は1人だけど、見つかる前に安全な場所まで行きましょう

鏡ツツジ

分かった…!

鏡樹がそう言うと、鏡ツツジは真剣な面持ちで頷いた。

鏡樹

その後ツツジを連れて、出口へ向かったの

鏡樹

敵は1人だったから、そこまで苦戦することなく進むことが出来た

鏡樹

でも出口まであと一歩のところで、事件は起こった…

鏡樹

ツツジ、あと少しよ

鏡樹

まだ走れそう?

鏡ツツジ

うん、大丈夫!

鏡樹

(よし…このまま行けば、2人とも助けられる)

鏡樹

(あと少し…!)

バァンッ!!

その時、突然背後から聞こえた発砲音。

同時に鏡ツツジの姿が消え下を見ると、彼女は胸から血を流し床に倒れていた。

鏡樹

……つつ、じ…?

???

抗争に紛れて、仲良く3人で逃走とは…

鏡小暮

いい度胸じゃないか

銃弾の放たれた方には、鏡樹達に銃口を向けながら嘲笑する小暮の姿があった。

鏡樹

小暮……お前…

鏡小暮

勘違いしないでくれよ、私は君を狙ったんだ

鏡小暮

裏切り者である君をね

鏡小暮

だかどうやら少し、射程がズレたらしい

鏡小暮

だが返って良かったんじゃないか?

鏡小暮

逃げるための足手纏いが減って

鏡樹

………ッッ…!!

その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが切れた

流れるように発せられた嘘、愛する妹に対する侮辱

ツツジと夢以外、今まで会ってきた人間に一切の感情を持たなかった私

ただこの時初めて感じた、眩暈がするほど一気に押し寄せてきた憤怒と殺意

鏡樹

死ねよ

バァンッ!!

そう言った瞬間、鏡樹は鏡小暮に向かって引き金を引いた。

用心棒A

…ッ……!!

しかし銃弾が放たれた瞬間、横の部屋から用心棒Aが現れ鏡小暮を庇った。

鏡樹

………………

鏡小暮

よくやった、あとは君たちに任せるよ

鏡小暮がそう言って去っていくと、奥からぞろぞろと用心棒と社員達がやってきた。

用心棒A

行くぞテメェら”──!!!!

全員

うお──!!!!

用心棒Aの掛け声と共に、彼らは一斉に鏡樹に向かって行った。

その後のことは、よく覚えていない

気がつけば目の前には、血の海ができていた

何度も撃たれ殴られた

でも、もう…痛くはなかった

そんなもの、もうどうでもよかった

そう思えるほどに、私の中で強まっていくものがあった

遠のく意識の中、最後に芽生えたのは

胸が張り裂けるほどの悲しみだけだった

鏡樹

次に目を覚ましたら、私は病院のベッドにいた

鏡樹

抗争が終わったあと、警察や救急隊が中に入って現場の処理をしたらしいわ

鏡樹

生きていたのは、私だけだった

鏡樹

その後和田が私の元に訪ねてきて、夢の訃報を教えてくれた

鏡樹

梵天から自分宛てに連絡が来たそうよ

鏡樹

死体は持ち帰ったから、現場にはなくニュースの死亡者欄にもなかった

鏡樹

今現在でも世間では、こっちの夢は行方不明扱いのままよ

そう、なんだ…

鏡樹

ツツジは死んでいた…

鏡樹

あの時もっと冷静になれていれば、助かったかも知れないのに

鏡樹

だけど…今思い返しても、そんなこと出来ないと思った

鏡樹

目の前で妹を殺されて、その殺した張本人がその場にいる

鏡樹

耐えられるわけが無い

鏡樹

抑えきれないものが込み上がってくる、あの感覚は今でも鮮明に覚えてる

鏡樹

あいつを…小暮俊水を、この手で殺したかった

鏡樹

もし生きていたら…今度こそ逃がしはしない

鏡樹

全身の骨を折って、身体を引き裂いて、原型が見えなくなるまで痛ぶる

鏡樹

地獄なんて行かせるものか、生と死の狭間で一生分の苦痛を味わわせてやるわ

鏡樹はそう言うと、握った手に血を滲ませた。

………いーちゃん

鏡樹

あっ…ご、ごめん夢、ついムキになって…

ありがとう

鏡樹

え…

話してくれて、ありがとう

辛かったはずなのに、思い出したくなかったはずなのに

ありがとう、ごめんね

そう言うと夢は、血の滲んだ鏡樹の手を優しく解いた。

それに鏡の私のことも、助けてくれてありがとう

結末は考えたくも無いものだったかもしれない

でもいーちゃんが生きていてくれて、本当によかった

鏡樹

……ッ…もう、何回泣かせるつもりよ

鏡樹

私も…2人が生きていてくれて、本当によかった

2人は瞳に涙を溜めながら、ニコッと笑みを浮かべた。

ザッ…

鏡樹

…!

鏡樹

夢、立って

え?どうしたの?

鏡樹

足音がする、多分やつらね…

じ、じゃあ鏡和田っち達は…

鏡樹

いえ違うわ、脇道で貴女を追ってきていた奴らとは足音が違う

鏡樹

恐らく今来てるのは、違う追手よ

鏡樹

バイクに乗って、ヘルメットを被って

…うん!

ドォンッ!!

しばらくして正面の大きな扉が開かれ、数人の男たちが入ってきた。

鏡樹

来たわね、梵天…

鏡武臣

よう、久しぶりだな花笠樹

鏡武臣

何ヶ月ぶりだろうな、お前の顔を見るのは…

鏡樹

あら…こんなところまで、わざわざ雑談をしに来たのかしら?

鏡武臣

なぁに、ちょっとした挨拶だよ

鏡武臣

さてと、それじゃ本題に入ろう

鏡武臣

後ろに乗せている少女を渡してもらおうか

鏡樹

嫌だと言ったら?

鏡武臣

お前を殺して、連れていくまでだ

鏡樹

物騒だこと、でも手荒なのは嫌いじゃないわ

鏡樹

そっちがその気なら…

鏡樹

こっちも、少し手荒に行かせてもらうわ

バァンッ!!

そう言うと鏡樹は、鏡武臣達の頭上に向かって銃を撃った。

放った銃弾はワイヤーを切り、天井に吊るされていた無数の鉄骨が一気に落下してきた。

全員

!?

ドカァァァンッ!!!!

鏡武臣達は四方に転がり、落下してくる鉄骨から逃れた。

梵天社員5

……ぶねぇ、死ぬところだった…

梵天社員6

くそっ、あの野郎…!

鏡武臣

…ッ…お前ら、早く立て!!

ブウゥゥゥゥンッ!!

鏡武臣がそう言った瞬間、エンジン音が鳴り2人を乗せたバイクが走り出した。

鏡樹

夢、しっかり掴まってなさいよ!

うん…!

鏡樹はそう言うと、鉄骨でできたジャンプ台に乗った。

バイクは武臣達を飛び越え、高所にあった窓目掛けて飛び上がった。

ガシャァァァンッ!!!!

そして2人を乗せたバイクは窓を突き破り、地面に着地した。

鏡樹

よし、上手くいったわよ夢!!

いーちゃん凄いけど、怪我してない…!?

鏡樹

大丈夫よこれくらい、夢は一応ヘルメットしてたけど怪我は?

ないよ、大丈夫

鏡樹

オーケー、それならいいわ

鏡樹

夢、これからもっと飛ばすから、振り落とされないでよ

鏡樹

奴らはすぐに追ってくる、見つかるのは前提と思ってなさい

分かった、追手が来てたらすぐに教える

鏡樹

頼んだわよ

鏡樹

(落ち着け花笠樹、今回の任務だけは失敗できない)

鏡樹

(あいつの部下として、命を預けられた身として)

鏡樹

(そして、親友として)

鏡樹

(絶対に夢を守ってみせる)

鏡樹

(覚悟しなさい梵天、必ず貴方たちから逃げ切ってやる)

鏡樹

(始まるわよ)

鏡樹

(今世紀最大の逃走劇が…!)

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

81

ユーザー

なんで月銀澪さんはこんなに感動する作品が出せるんですか😭

ユーザー

へ!?初コメ失礼!月銀澪さん‼️大好きです!続き待ってます!(大ファンです!!!サインください!(?))

ユーザー

面白い!! 続きまってます!!!

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