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放課後。窓際の席に座って本を開いた琉來は、もう気配でわかっていた。
廊下の足音、少し弾んだリズム、近づくたびに軽くなる気配。そして。
凛.
その声に、やっぱりな、と思う。声の主は、やっぱり凛だった。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛は悪びれもせず、にこっと笑って机の横に腰を下ろす。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
凛は楽しそうに笑う。その声に、琉來の肩が少しだけゆるんだのを、本人は気づいていない。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛の目がやわらかくなる。
凛.
琉來.
凛.
琉來は照れたのか、そっと視線を窓の外に向けた。沈黙が落ちたが、それは居心地の悪いものではなかった。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛は急に、でも迷いなく顔を近づけてきた。
凛.
琉來.
凛.
琉來は思わず目を見開いた。そのまま固まってしまうけど、凛は焦らない。
凛.
琉來.
凛.
凛は、琉來の言葉の途切れをそのまま受け取った。そしてそっと、琉來の頬に唇を落とした。
ほんの一瞬、優しく。けれど、はっきりとした温度だった。
凛.
琉來.
凛.
琉來.
凛.
琉來は、なにも言わずにうつむいた。でも、その耳が赤くなっていたのを、凛はちゃんと見ていた。
凛.
琉來.
凛.
笑いながら、凛は教室のざわめきに溶けていった。
でも、その背中が見えなくなったあとも、琉來の鼓動はしばらく落ち着かなかった。