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鏡春千夜

ここら辺だ、怪しい部屋を探せ

マイキー

分かった

北側のエリアに着くと、蘭達は手当たり次第に部屋を開け探し始めた。

(あと少し…あと少しで、助けられる)

(無事でいて、夢ちゃん)

ガチャッ

ここにもいないか…

(…………いや、この部屋…)

("使ってた"な…)

部屋に入った瞬間、蘭は咄嗟にそう感じた。

(ホコリ一つない、清掃済みの室内)

(新品のマットレスに対して、使い古した布団と枕)

(極めつけは…)

(暗め茶色の、長い髪…)

蘭は枕についた一本の髪の毛を拾い上げると、眉間にシワを寄せ顔を顰めた。

マイキー

蘭どうした、何かあったか?

…ここだ、夢ちゃんが閉じ込められてた部屋

鏡春千夜

本当か…!?

ああ、間違いない

だが見たところ、居場所の手がかりは無さそうだ

マイキー

振り出しか…

一向に変わらない状況に、蘭達は頭を悩ませた。

??? 「困ってるみてぇだな」

蘭達

!?

鏡蘭

夢ちゃんの居場所、教えてやろうか?

突如背後から声が聞こえ振り返ると、入口に寄りかかるようにして鏡蘭が立っていた。

てめ…ッッ!!

鏡蘭

おいおい、落ち着けよ

鏡蘭

全く…目が合って早々銃向けるとか、物騒すぎるだろ

マイキー

黙れ、お前が言えた立場じゃないだろ

鏡蘭

まあ、確かにそうだな

鏡蘭はクスッと軽く笑うと、ゆっくりと3人の元へ歩いて行った。

鏡蘭

お前らが来ることは分かってた

鏡蘭

だから敢えて、警備を手薄にしてみた

鏡蘭

良かったな、廊下…好き放題走り回れて

鏡春千夜

チッ…全部手の内ってことか…

鏡蘭

その通〜り!

鏡春千夜がそう言うと、鏡蘭はバカにしたような声でそう返した。

鏡蘭

で?どうする?

鏡蘭

素直に俺に教えてもらうか?それとも、地道に探していくか?

鏡春千夜

誰がテメェなんかの言葉信じるか

鏡春千夜

どうせ教えるとか言っておいて、罠にはめる気だろ

マイキー

同感だな

鏡蘭

そうか、残念だな

鏡蘭

じゃあ、お前はどうだ?

すると鏡蘭は蘭に視線を向け、そう聞いた。

俺は…

鏡蘭

………………お前、知ってるよな?

鏡蘭

俺らが夢ちゃんに、薬を投与してること

……ッ…

鏡蘭の言葉に、蘭は思わず身体をビクつかせた。

鏡蘭

夢ちゃんがここを逃げ出したのが朝9時、俺らが捕まえたのが12時

鏡蘭

12時から現在深夜3時過ぎ、俺らはずっと夢ちゃんに薬を投与していた

鏡蘭

約15時間もの間、幻覚薬と記憶喪失の薬を投与され続けたら

鏡蘭

人は一体、どうなると思う?

……ッ…!

鏡春千夜

罠だ、耳を貸すな!

マイキー

そうだ蘭、こんなやつの言うことなんて…

鏡蘭

聞いた話じゃ、夢ちゃん2回も記憶喪失になってるんだろ?

鏡蘭

3回目ともなると、さすがに壊れちまうんじゃねーの?

鏡蘭

ちなみに薬を投与してからたった1時間で

鏡蘭

夢ちゃんは花笠樹、芦根剣、自分の名前を忘れかけていた

鏡蘭

お前らのことについては分からないが、もしかしたら…

ガッ…!!

鏡蘭が何か言いかけたその時、蘭は突然鏡蘭の両肩を掴んだ。

………ッ…教えろ、教えてくれ

夢ちゃんは、どこにいるんだ…ッ…

鏡蘭

……着いてこい

鏡蘭は不敵な笑みを浮かべると、蘭達にそう言った。

鏡蘭

ここだ

……………

しばらく鏡蘭に従いついていくと、蘭達はひとつの部屋にたどり着いた。

ガチャッ…

鏡蘭

夢ちゃん、入るよー

………………

鏡蘭

ほらベッドのところ、行きたきゃいけよ

鏡蘭にそう言われ、蘭は恐る恐るベッドに歩みを進めた。

夢ちゃ…

…ッッ…?!?!

夢の姿を見て、蘭は言葉を失った。

青白い顔と肌、シャツ一枚越しに見える痩せた身体、アキレス腱に刻まれた切り傷。

しばらく体が硬直した、唇だけが小刻みに震えているのを感じた。

マイキー

夢…ッ…!

鏡春千夜

くそっ…

……ッ………ん、…

夢ちゃん…!

夢の声が聞こえ、身体の硬直が解かれた。

………だ、れ?

え…

しかし夢の口から発せられた言葉は、蘭の中で感じたことのある絶望を蘇らせた。

鏡蘭

夢ちゃん、起きちゃった?

鏡蘭

ごめんねこんな時間に、眠いよね

鏡蘭はそう言うと、ベッドに座り込み夢にそっと触れた。

…だい、じょう、ぶ…

らん、ちゃん……このひと、だれ…?

鏡蘭

んー、まあ…ちょっとした知り合いだよ

鏡蘭

夢ちゃんを心配して、来てくれたんだ

そう、なんだ…

マイキー

(どういうことだ、なんで夢は鏡の蘭のことを…)

マイキー

マイキー

harutoxn0128…!

鏡蘭

大正解

鏡蘭

夢ちゃんに投与したのは、記憶喪失の薬だけじゃない

鏡蘭

記憶が消えても、お前らの姿を見たら思い出すかもしれない

鏡蘭

だから幻覚薬を使って、お前らの姿を全く別の姿に見せてるんだよ

鏡春千夜

テメェ…ッ!!

鏡蘭の言葉に怒りが込み上がり、鏡春千夜は鏡蘭に銃口を向けた。

スッ…

鏡春千夜

…ッ…!

しかし鏡蘭の額に向けられた銃に、ひとつのか弱い手がそっと触れてきた。

だめ…だよ、らんちゃん……けが、しちゃう…

鏡春千夜

夢…

鏡蘭

言ったろ、違う姿に見えてるって

鏡蘭

夢ちゃんはお前らを"敵"と判断したんだよ

…ッッ…!!

ガッ…!!

鏡蘭がそう言った瞬間、へたり込んでいた蘭が彼の胸ぐらをつかみ床に押付けた。

鏡蘭

いってーな、何すんだよ

黙れ…ッ”ッ”!!

蘭は掠れた涙ぐんだ声でそう言い、鏡蘭に拳を振るった。

ら、ちゃん……

…!

しかし夢の声が聞こえ、蘭は思わず振るった拳を止めた。

らん、ちゃ……い、たい…?

らん、ちゃん……

夢ちゃん…

ドゴッ!!

ぐっ…!!

夢に気を取られた蘭、その隙を狙って鏡蘭が拳を振るった。

鏡春千夜

蘭…!

マイキー

大丈夫か…!?

鏡蘭

ありがとう夢ちゃん、心配してくれたんだね

ら、ちゃん……だい、じょ、ぶ…?

鏡蘭

うん、平気

そう言うと鏡蘭は嬉しそうに、夢の頭を撫でた。

鏡蘭

…さてと、再会はすんだろ

鏡蘭

そろそろ侵入者には出ていってもらう

鏡蘭

頼んだよ…"マイキー"

鏡春千夜

…ッ!!

鏡蘭がそう言った瞬間、鏡春千夜は背後に気配を感じた。

ドッ!!

鏡春千夜

ア゙ガッッ…!!

鏡春千夜は咄嗟に振り返るが、鏡マイキーの姿を目視することなく蹴り倒された。

マイキー

…ッ…!

マイキー

遅せぇよ

ドガッ!!

マイキー

カハッ…!!

マイキーは反射的に蹴りを入れた。 しかし軽々とかわされ、鏡マイキーの蹴りが入り、後ろの本棚に打ち付けられた。

一瞬浮遊感に包まれるが、すぐに背中に激痛が走るのを感じた。

マイキー…!鏡三途…!

マイキー

あとはお前だけだな、蘭

鏡蘭

残念だったな、あともう少し早く来てたら

鏡蘭

まだ、間に合ったかもしれねぇのに…

鏡蘭はそう言うと再びニヤッと口角を上げ、蘭に拳を振るった。

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

37

ユーザー

ヤバい蘭ちゃんってことは分かってんのに鏡蘭見ると勝手に殺気が…

ユーザー

夢ちゃんが、そんな姿に…元々痩せてるんでしょ?!(別話情報)それからシャツのしたからでも分かる細さって…もうダメだよ!やっぱり鏡の世界と本当の世界の人達は姿が同じなだけで、性格は違うんだね、

ユーザー

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