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第1話 - あ

2023年10月08日

#恋愛

結城　真矢

ナツメ

ユズちゃん、酷いわよ

ナツメ

途中まではＬＩＮＥ交換するくらい仲良くなれたと思ってたのに、

ナツメ

私の年齢聞いた途端に、お茶ぶっかけて追い出すなんて…

ナツメ

レンもお陰で私に謝り通しだったんだからね！

ユズ

はぁ～？お兄ちゃんより５つも年上のババァが

ユズ

図々しくもお兄ちゃんの婚約者名乗ってるのが悪いんじゃない！

ユズ

私もね、本当は嫌だけど大人になって、

ユズ

大好きなお兄ちゃんの結婚を認めてあげようとしてたのよ！

ユズ

年の近い義姉だったら仲良くなりたいなとも思ってたのに、

ユズ

それがなんであんたみたいなババァなのよ！！

ユズ

どういう手段でお兄ちゃんを誑かしたわけ！？

ナツメ

誑かしたって…確かに私はレンより年上だけど、

ナツメ

そんなの関係なしに私達は愛し合ってるのよ

ユズ

そんなの認めない！男は若い女が好きなはず！お兄ちゃんはきっと騙されてるのよ！

ユズ

お兄ちゃんは優しくて気が弱いから、

ユズ

結婚焦ってる年上ババアのアタックを断れなかっただけなのよ！

ナツメ

そんなことないわ

ナツメ

レンから私に告白もプロポーズもしてくれたんだもの

ユズ

何よ何よババァの分際で調子に乗って！！

ユズ

お兄ちゃんの相手はそれ相応の女でないとダメなのよ！あんたみたいな劣化ババァなんか論外！

ユズ

お父さんやお母さんにも怒られたけど、私は絶対に認めないんだから！！

～数日後～

ユズ

ちょっとババァ、懲りずに今日も挨拶に来るって本当！？

ナツメ

そうよ～。レンは無理しなくていいって言ってくれてるけど、

ナツメ

私はいずれ、ユズちゃんとも仲良くなって認めてほしいって思ってるからね

ユズ

誰があんたなんかと仲良くなるか！

ユズ

そっちがその気なら、私だって対抗策を用意してるんだからね！！

ナツメ

対抗策？

ユズ

ふふ～ん

ユズ

実は、お兄ちゃんのことが好きな私の親友のヒマワリに、

ユズ

お兄ちゃんが悪い女に騙されてるから助けてほしい、

ユズ

代わりに恋仲になってほしいってお願いしたの！

ユズ

この子ならすっごく良い子だし、中学時代からずーっと健気に一途に

ユズ

お兄ちゃんのことを想い続けてる子なのよ！！

ユズ

私の親友だし、お兄ちゃんの相手として認めてあげられるよ！

ナツメ

ちょっと何考えてるのよ！

ナツメ

そんなことしても、レンの気持ちは変えられないよ？

ナツメ

だって、私のことを一途に愛してくれてるんだから

ユズ

ババァが調子に乗んな！！

ユズ

若い女の体でちょーっと誘惑しちゃえば、男なんてイチコロなんだからｗ

ユズ

ババァはその様子を見て惨めに敗北を噛みしめてろｗｗ

ユズ

じゃ、お兄ちゃんを待ってるよーんｗｗ

～数時間後～

レン

お前、なんてことしやがるんだ！！

ユズ

なんであんなに怒るのよ、お兄ちゃん！！ヒマワリ泣いてたよ！！

レン

怒るのも当然だ！

レン

あいつは…学生時代、俺をしつこくストーカーしてたんだ！！

レン

四六時中付きまとわれて、服や下着を盗まれて、変なことされて…

レン

もう頭がおかしくなりそうだったよ！！

ユズ

そうなの！？そんな話聞いてないんだけど！！

レン

お前の親友だから言いたくなかったんだ

レン

だが最終的には、被害状況をぼかしてではあるが

レン

家に連れてこないように言って、お前もそれを受け入れたはずだよな！？

ユズ

あれ、そうだっけ…

ユズ

でも昔のことだし、ストーカーだってそれくらいお兄ちゃんのことを

ユズ

想ってのことだし、許して受け入れてくれたっていいじゃん！

レン

許してはいたよ

レン

思い切って友達と一緒に、嫌いだときっぱり拒絶したところ、

レン

ストーカーもやめて反省してくれたようだったしな

ユズ

だったら…

レン

それでも、生理的な嫌悪感は消えないんだ

レン

それなのにあれはなんだ！？体を擦り付けて、

レン

『ユズちゃんに聞きました！私の気持ちをやっと受け入れてくれるんですね！先輩！！』

レン

とかなんとか言ってきたんだぞ！

レン

お前…あいつに何を吹き込んだ？

ユズ

えーっと、ちょっと『お兄ちゃんも本当はヒマワリが好きなんだよ。今でもそうだよ』

ユズ

『寝言でヒマワリ好きだって言ってた』

ユズ

『今は金目当てのブスなババアに無理矢理捕まってるの。助けてあげて』

ユズ

とか言ったかな…

レン

つまり、あいつはお前に騙されていたってことか…

ユズ

騙したなんて人聞き悪い！！

ユズ

二人が上手くいく手助けをしてあげたかっただけなのに！

レン

何が手助けだ

レン

俺はそんなの望んでない！！

ユズ

だって、あんなババァよりは絶対にいいって！

レン

それはお前が決めることじゃない

レン

俺はナツメを、心から愛してるんだ！！

レン

こないだはナツメにお茶をかけて、今回は人を騙してけしかけて、

レン

もうお前にはついていけない。絶縁するよ

ユズ

絶縁ってそんな…嘘だよね！？

ユズ

私達兄妹なんだよ！可愛い妹と、本気で絶縁したりなんかしないよね！？

レン

本気だ。結婚式にも来ないでくれ

レン

いいだろ。お前は嫌いなナツメの花嫁姿なんか見たくないだろうしな

ユズ

酷い！妹よりそのババアを選ぶんだ！

ユズ

お願い考え直してよ！

ユズ

お兄ちゃんは騙されてるだけなんだよ！

レン

騙したのはお前だろ！

レン

俺だけじゃない。母さんも父さんも同じ気持ちだ

レン

お前はもういい歳した大人なのに、実家に甘えて働きもしない

レン

いつまでも妹気分で子供気分。だからこんなことしても許されると思ってる

レン

これまでお前を甘やかしすぎたと、

レン

お前を家から追い出すってさ

ユズ

そんな！！パパとママまで！？

レン

二人ともナツメのことを気に入ってるしな。前から話してたんだ

レン

じゃあな、もう兄でも妹でもないからそのつもりで

レン

これ以上ナツメを傷つけるようなら、許さないからな

～一時間後～

ユズ

どうしようナツメさぁああああん！！

ユズ

お兄ちゃん怒って、絶縁を言い渡してきたの！！

ユズ

パパもママも、私を追い出すんだって！！

ユズ

それだけじゃないの！！親友のヒマワリにも絶交されちゃったの！！

ユズ

『よくも適当なことを言って、とっくに諦めていた先輩に対して希望を持たせたわね！』

ユズ

『ナツメさんが気に入らないからって私を利用するなんて最低！』

ユズ

『他の友達にもこのこと広めるから！』って…

ナツメ

あらあら、あの子あんなにレンにくっついて誘惑してたのに、

ナツメ

私の顔を見た途端、慌てて土下座してたもんねぇ

ナツメ

あの子ね、私が講師をしている空手教室の生徒の一人なのよ

ナツメ

だから私のこと尊敬してくれてたし、空手の強さを恐れてもいたからね

ナツメ

それに後で彼女から聞いたんだけど、

ナツメ

親友って言う割にユズちゃん、ヒマワリちゃんと

ナツメ

何年も遊んでないし、連絡もとってなかったらしいじゃない？

ユズ

だって、友達と遊ばなくたって、

ユズ

家にいれば好きなことできるもん！

ユズ

それなのにその家を追い出されそうなの。どうしよぉぉ！！

ナツメ

いっぺん、追い出された方がいいと思うわ

ナツメ

ユズちゃん自身の為にも

ユズ

そんなぁ！

ユズ

ねぇ、結婚認めてあげるからお兄ちゃんを説得してよ！

ユズ

お兄ちゃん、結婚式にも私を呼ばないって言ってるんだよ！

ナツメ

よかったじゃない。どうせババアの私の花嫁姿なんか見たくないでしょ

ユズ

でも、ご祝儀は欲しいでしょ！

ユズ

5000円も包んであげるよ！いらないの！？

ナツメ

5000円ね…

ナツメ

ユズちゃんはもう少し、社会に出て常識を学んだ方がいいと思うわ

ナツメ

そもそも、人にいきなりお茶をぶっかける時点で、常識がなってないけどね

ユズ

何よ偉そうに！！

ユズ

ねぇそれより助けてよ！！

ユズ

お兄ちゃんを説得して！

ユズ

ナツメさんの言葉なら、きっとお兄ちゃんも聞いてくれるはずだから！

ナツメ

なんで私がそんなことしなきゃならないのよ

ユズ

へ？

ユズ

だって、ナツメさん私と仲良くなりたいって言ってたじゃん！

ユズ

言う事聞いてくれたら、私、ナツメさんと仲良くしてあげるから！

ユズ

だからお願い！！

ナツメ

はぁ…

ナツメ

ユズちゃん、目上の人への話し方が本当になってないよね

ナツメ

こんな時でも上から目線…

ナツメ

それ以前に、私一言も謝られてないよ？

ナツメ

お茶ぶっかけて散々ババァ呼ばわりしたこと、どう思ってるの？

ユズ

何よ何よ！！

ユズ

お兄ちゃんやパパやママを味方につけたと思って調子に乗って！！

ユズ

年上面して偉そうに説教してんじゃないわよこのババァ！！

ナツメ

はぁ…やっぱりユズちゃん、全然反省してないみたいね

ナツメ

そんなんじゃ和解なんてする気にならない

ナツメ

じゃあね

ユズ

待って！ねぇ謝る！お茶かけてごめんなさい！沢山謝ってあげるから！

ユズ

お姉ちゃんって呼んであげてもいいよ！だから許してよ！ねぇ！！

～数日後～

ユズ

■不在着信■

ユズ

ねぇナツメさん！助けてよ！！

ナツメ

ユズちゃん？何があったの？

ユズ

私ね、パパとママが結婚式に出かけるって言ってたのを聞いて、

ユズ

後をつけてきたのよ！

ユズ

そしたら式場の警備の人に止められて、

ユズ

新郎の妹だって言ったのに『新郎に妹さんはいません』って言われて、

ユズ

絶縁したからってそこまでするんだってカッとなって、強行突破して式場に入ったら、

ユズ

知らない人の結婚式で大騒ぎになったのよ！！

ナツメ

あぁ、お義父さんとお義母さんの知り合いの方の結婚式らしいわね

ナツメ

私とレンの結婚式はまだ先よ

ユズ

どうしよぉ！新郎と新婦は勝手に修羅場になるし、

ユズ

パパとママにはさんざん怒られてもうお前とは絶縁だって言われるし、

ユズ

結婚式を邪魔する気なんかなかった、お兄ちゃんと仲直りしたいだけだって言われても

ユズ

妨害する気だったんだろうって言われて信じてもらえないの！！

ユズ

白い派手目のワンピース着てるからってあんまりだよ！

ナツメ

結婚式で、白い派手目のワンピースで乗り込もうとしたの！？

ナツメ

それは、妨害する気だって思われても仕方ないわよ

ユズ

なんでよ！私がどんな服着ようと自由でしょ！

ナツメ

TPOってものがあるのよ

ナツメ

大方、妹だと嘘ついて新郎を略奪しようとしたとか疑われてるんでしょうね

ナツメ

ユズちゃん、本当に常識がなってないのね…

ユズ

何よ！それより助けてよ！

ユズ

結婚式を台無しにした費用を請求されてるの！！

ユズ

まだ就職先決まってないのに払えないよ！！

ナツメ

知りません。大人なんだから自分のしたことは自分で責任取ってね

ナツメ

それじゃあ、もうブロックするわ

～後日談～

ナツメ

その後、ユズちゃんは慰謝料を請求されたうえ、

ナツメ

両親に助けを求めるも絶縁されてしまいました

ナツメ

レンに助けを求めるも、こちらも同様

ナツメ

数少ない友達にもこれまでの所業がヒマワリちゃんによって伝わり、

ナツメ

彼女を助けようとする人は誰もいませんでした

ナツメ

慰謝料の金額は大したことなかったものの、

ナツメ

働いていないユズちゃんには大きな痛手

ナツメ

今は慣れないバイト先で、常識知らずぶりや言葉遣い、ミスを厳しく叱責され、

ナツメ

もうやめたいと泣き言を言いながらも、慰謝料、生活費のために

ナツメ

必死で働いているそうです

ナツメ

私達は念のため、式の警備を強固にすることにし、

ナツメ

妨害が入ることもなく、無事に結婚式を挙げることができました

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結城　真矢

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