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けぺ
けぺ
2本目のボルトも指でつまめるほどになった、その夜
きっと明日格子は外れ、無理に体をねじ込めば通れるほどの隙間ができるだろう
脱出は目に見えていた
ヨンイル
ギフン
夜、ヨンイルさんから話しかけることなんて1度たりともなかった
突然のことに心臓が跳ねる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイルさんはどんな顔をしているのだろう。背中越しに小さな呼吸が聞こえる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
おやすみ、と言い残してヨンイルさんは眠ってしまったようだ
いやに汗をかいている。体に回された腕が茨のように感じた
ヨンイル
いつものように言葉少なにヨンイルさんは出ていった。
鍵を入念に確認する音、遠ざかる足音
これも今日で最後なのだ
ギフン
ギフン
す、と息を吸って窓に向かう
格子は完全に外れ、人1人がやっと通れるほどの隙間があいている
元々細身だった自分はヨンイルさんに監禁されてからというもの、食欲不振で更に細くなった
この程度の隙間なら通れるはずだ
ギフン
出て行くあてもない。警察に駆け込む気もない。ただここから早く出ていきたかった
鉄格子の先の窓を開き、隙間に片足をかけた
片足は難なく通り、この調子で、と意気込んだその時
ガチャ
玄関の鍵の音がした
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
振り返るとそこにはスーツ姿のまま立ち尽くすヨンイルさんの姿があった
ギフン
その手にはスマホ……ペットカメラの映像が映っていた
ヨンイルさんはゆっくりと歩み寄り、溜息をつきながら開口した
ヨンイル
窓に手をかけ、強引に体が室内に引き戻される
ギフン
窓を閉めながらヨンイルさんは話し続ける
ヨンイル
ヨンイルさんに腕を掴まれ、椅子に座らせられる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの手にはどこからか取り出したロープが握られている
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの腕が後ろに回され、ロープが確実に体に巻き付けられていく
ギフン
ギフン
ヨンイル
口調は以前のように優しいのにヨンイルさんの目は冷徹だった
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんはロープの結び目を確認しつつ、強く結びあげた
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんが目線を合わせる
ここで初めて気付いた
対峙している男がヨンイルさんの目ではなく、知らない男の目だということに
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
指先で顎を持ち上げられ、強制的にヨンイルさんと目が合う
ヨンイル
ギフン
ギフン
思わず涙が溢れる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
頭を撫で、そのまま肩に手を置く。依然としてロープは固く結ばれている
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
無理な姿勢で縛られているために体の節々が痛い。ロープを外してくれと目で訴えてみる
ヨンイルさんはゆっくりと微笑みながら首を振った
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんは腰を上げ、キッチンへと向かった
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの手に持ったトレーには少量の食事が乗っていた
ヨンイル
ヨンイルさんは優しく微笑み、トレーを足元に置いた
しかし途端に眉をひそめて考え込む
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
その言葉を無視し、ヨンイルさんの手はフォークを握った
ヨンイル
ヨンイル
一口ずつ丁寧に口元に食事が運ばれる
ギフン
ゆっくりと口を開くと、そこにフォークが侵入してくる
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんの顔は終始独占欲が顔をのぞかせていて、この状況をまるで楽しんでいるようだった
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
空になった容器を片付けつつため息を漏らす
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
マイナスなイメージが影を落とす
その顔をじっと捉え、ヨンイルさんは満足そうに息を吐いた
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんの手が頬に触れる……その手は震えている
ヨンイル
ヨンイルさんの言葉が余韻を残して静寂に飲まれていく
壁時計の秒針の音と食器がほんの少し触れ合う音を破るようにヨンイルさんが口を開いた
ヨンイル
その声には張りつめた空気があった。ヨンイルさんの笑みはいつのまにか失われていた
ヨンイル
沈黙が体の表皮をじくじくとついばむ
ヨンイル
ヨンイルさんは答えを息を潜めて待っていた
ギフン
ヨンイル
声は落ち着いているものの微かに震えている
ヨンイル
ヨンイルさんは立ち上がり、ゆっくりと歩きながら背を向ける
そうして数秒深く思案した後、再び俺の前に戻り、膝を着いて目線を合わせた
ヨンイル
ヨンイル
哀しみが尾を引く声色に思わず目を逸らしたくなる衝動に駆られる
ギフン
ゲームのときのあの姿が浮かぶ
ギフン
ギフン
ヨンイル
口元は微かに震え、抑えていた感情が滲み出ている
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんは紡ごうとした言葉を飲み込んだ。その顔はどこか怯えている
ただ、純粋な疑問で、その答えはヨンイルさんの心を生かすも殺すもできる気がした
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんに縋るように抱き締められる
苦しげなその声に息が詰まった
ヨンイルさんは確かに酷いことをした。監禁して、自由を奪って…でも、それだけだ
ヨンイルさんは無理に触れようともせず、家の中だったらいいと外出時に手足を緊縛することもなかった
ヨンイルさんの道を正すなら、今だ
ギフン
ギフン
罪の意識をもって正し、そうしてこそ新たな輝かしい未来をみることができる
その発案に、ヨンイルさんは固まった
ヨンイル
ゆっくり反芻するように呟き、苦笑とも笑いともつかない掠れた声が漏れる
ヨンイル
表情は崩れていない。しかし、その声は段々と震え始める
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
けぺ
けぺ
けぺ