けぺ
けぺ
ヨンイル
ヨンイルさんの顔はどこか苦しそうに歪んでいた
ギフン
自分は全てを間違ったことを悟る
自分がヨンイルさんを壊してしまったこと、そしてヨンイルさんは今から恐らく強行に出るということ
全てを、誤った
ヨンイル
ヨンイルさんの手がひどく冷たい
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
その目はひどく冷たく、愛憎が渦巻いていた
顎を持ち上げられ、ヨンイルさんが顔を寄せる
ギフン
思わず顔を逸らして拒絶する
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
貪るような、ひとりよがりで獰猛なキスだった
ギフン
ヨンイルさんから逃れようと暴れると椅子の足がギィギィと悲鳴を上げる
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんの瞳は揺れ、手は震えている
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
それだけを吐き捨て、椅子の背もたれを掴む
ギフン
椅子ごと引きずられ、フローリングの床に黒く跡が残っていく
ギフン
振り向いてもヨンイルさんの顔は見えない。
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんは部屋の中央で止まった
光源は窓から差し込む光のみで、全体的に薄暗い
しかし掃除はされているのか、埃ひとつない
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイルさんが部屋の出入口に歩を進めていく
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイルさんはそこまで言っておもむろに口元を覆った
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
バタン、と音を立ててヨンイルさんは出ていった
ギフン
ギフン
静謐なこの部屋ではいやに自分の心音だけが顕著に聞こえる
もう道は閉ざされた。
ここでヨンイルさんの寵愛を受けながら堕落していくしかない
ギフン
電子機器にとられないくらいの小声で叫ぶ
握った拳に力が籠った
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
嫌な予感がした。ヨンイルさんは部屋から出ていき、何やら大きなものを持ってきたようだ
ヨンイル
それは普遍的なサイズのバケツだった
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
確かにトイレへと誘導されるときに不意をついて逃げようと目論んでいたが、これは酷い
まさかバケツに用を足す日がくるとは。
ギフン
ギフン
にこりと笑ってみせると、ヨンイルさんはばつが悪そうな顔をした
ヨンイル
トイレが終わり、食事のときも同様に徹底的にヨンイルさんに笑いかけた
ギフン
ギフン
ヨンイルさんは終始呆気にとられたような顔をしている
しかしその目は完全に管理していると信じていた
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんは顔には出さないものの見るからに動揺していた
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんの腕が体に回される
スーツから仄かに香る柔軟剤の匂いが鼻をくすぐった
ギフン
ギフン
ヨンイル
腕が離され、ヨンイルさんは不可解そうに何度も振り返りながら部屋から出ていった
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
独り言にしては大きな声で呟く
ヨンイルさんのことだから今も監視しているに違いない
こうして、数日に渡ってヨンイルさんに心を許したと「思い込ませた」
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
何度目か分からない食事のとき、ヨンイルさんが重い口を開いた
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
確かにこの部屋には最低限の暮らしができるほどの家具が揃えられ、逃亡ができないよう常に監視されている
しかし、監視しているのは実際のところヨンイルさん自身なのだ
根本を懐柔すればいい
一時は変わりように怪訝に思ったらしく、監視が強化されたが今は違う
ヨンイル
ヨンイル
そうしてロープがなくなり部屋の中なら自由に行動できるようになった
しかし、まだ逃亡に直結する行動はしない
ヨンイルさんの外出時にもただベッドに体を預けてヨンイルさんの帰りを待ってみたり、鼻歌を歌ってみたり、あたかも逃げるつもりはない素振りをしたりした
ヨンイル
ヨンイル
それだけ言い残して部屋を出ていく
ギフン
ヨンイルさんが先までいた付近の机上に、真新しい鍵があった
ギフン
ギフン
ガチャ、と鍵を開けてヨンイルさんが顔を覗かせる
一番に机上を確認するヨンイルさんに独り合点した
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
腕を強く掴まれる
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんは笑みを取り戻したが、その目は笑っていない
ヨンイル
腕を掴む手に一層力が篭もる
ヨンイル
ギフン
バスルームに入った途端、背後からカチャリと小さな施錠音がした
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
先に服を脱いだヨンイルさんが脱衣場とバスルームを繋ぐ扉を開ける
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイルさんにじっくりと見られながらゆっくりと服を脱ぐ
全ての服を脱ぎ終えると、ヨンイルさんに肩を抱かれた
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
手際よく頭が洗われ、体に差し掛かったとき、ヨンイルさんが開口した
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ギフン
体を洗い終え、湯船に入るよう促される
ヨンイルさんもほどなくして湯船に浸かった
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
風呂を上がり、脱衣場に向かう
ヨンイル
ヨンイルさんが戸棚から取り出したのは深緑のパジャマで、どこかあのゲームを想起させる
ギフン
ギフン
ドライヤーを探そうと目前の棚を開けた
ヨンイル
ヨンイル
バン!!!!
棚が乱暴に閉められる
ギフン
ギフン
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
先の棚にあったのは、ざっと見えたもので小型のナイフと手錠、どこかの鍵だった。
もしこのバスルームで脱出を企て失敗していたら……嫌な汗が背中を伝っていった
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ベッドから顔を上げると、寝巻きで立ち尽くすヨンイルさんがいた
ギフン
ギフン
ギフン
ヨンイルさんがベッドに潜り込む
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ギフン
朝、ヨンイルさんは仕事に向かう
しかし今日は部屋に鍵をかけなかった
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんはしばらく黙ったまま立ち尽くし、踵を返して出て行った
けぺ
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