テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

けぺ

監禁②の続きです!

けぺ

⚠️監禁表現

ヨンイル

全部終わらせるといったら、俺を止めるか?

ヨンイルさんの顔はどこか苦しそうに歪んでいた

ギフン

……ぁ……

自分は全てを間違ったことを悟る

自分がヨンイルさんを壊してしまったこと、そしてヨンイルさんは今から恐らく強行に出るということ

全てを、誤った

ヨンイル

ギフン……

ヨンイルさんの手がひどく冷たい

ヨンイル

正しさなんてどうでもいい

ヨンイル

俺は、お前さえいればそれでいい。

ギフン

……ひっ、…!

その目はひどく冷たく、愛憎が渦巻いていた

顎を持ち上げられ、ヨンイルさんが顔を寄せる

ギフン

……っ!嫌……!!

思わず顔を逸らして拒絶する

ヨンイル

…嫌、か…

ヨンイル

いいな。お前が俺の行動ひとつでそんなに心乱されるなんて

ヨンイル

むしろ、その言葉ひとつで俺は何倍もお前が欲しくなる

ギフン

……っ!?

貪るような、ひとりよがりで獰猛なキスだった

ギフン

……っ、う "────ッ!

ヨンイルさんから逃れようと暴れると椅子の足がギィギィと悲鳴を上げる

ギフン

っぷは、

ギフン

…ヨンイル……さん…!

ヨンイル

ギフン、俺を見ろ…!

ヨンイルさんの瞳は揺れ、手は震えている

ヨンイル

お前に拒絶されることがこんなにも怖い…

ヨンイル

俺をこんなにして、どうするんだ?

ギフン

…ッおねがいします、…もう、……!

ヨンイル

「もう」、なんだ?

ヨンイル

続けてみろ。

ヨンイル

続けてみろ、ギフン!

ギフン

……、よ、……ヨンイルさんはそんなことする人じゃ、!

ヨンイル

「そんなことする人じゃない」?

ヨンイル

お前がみていた俺はなんだ?どんな奴だった?

ヨンイル

穏やかだったか?さぞ優しかっただろうな?守ってくれるような…暖かい目をしていたか?

ヨンイル

…俺を壊したのは、ギフン…お前だ

それだけを吐き捨て、椅子の背もたれを掴む

ギフン

!?

椅子ごと引きずられ、フローリングの床に黒く跡が残っていく

ギフン

…、…なにして、っ!

振り向いてもヨンイルさんの顔は見えない。

ヨンイル

お前の自由なんてもう要らない

ヨンイル

俺だけ見ていればいい。

ヨンイルさんは部屋の中央で止まった

光源は窓から差し込む光のみで、全体的に薄暗い

しかし掃除はされているのか、埃ひとつない

ヨンイル

……本当は使うはずもなかった

ヨンイル

この部屋は使いたくなかった……!

ギフン

…は、どういう……

ヨンイルさんが部屋の出入口に歩を進めていく

ヨンイル

ギフン…この部屋から絶対に出るな。

ヨンイル

大丈夫だ。食事も排泄も着替えも全て俺が管理してやる

ヨンイル

……もし逃げようとしてみろ。そのときはお前を、……

ヨンイルさんはそこまで言っておもむろに口元を覆った

ヨンイル

……まあ、逃亡は不可能だと思え。

ヨンイル

この部屋にはもちろん、家中にカメラを設置するしこの部屋も後々ロックする

ヨンイル

……

ヨンイル

お前が「愛してる」っていうまで……ここから出さない

ギフン

…………………は?

ギフン

まっ、……!

バタン、と音を立ててヨンイルさんは出ていった

ギフン

……

ギフン

静謐なこの部屋ではいやに自分の心音だけが顕著に聞こえる

もう道は閉ざされた。

ここでヨンイルさんの寵愛を受けながら堕落していくしかない

ギフン

……わけないだろ……!

電子機器にとられないくらいの小声で叫ぶ

握った拳に力が籠った

ギフン

(まだ道はある……!)

ヨンイル

…ギフン、おはよう

ギフン

………ぅ、

ヨンイル

……椅子じゃ満足に眠れないよな、近々ベッドを買うから待ってくれ

ギフン

……

ヨンイル

…朝食だ。食べさせてやる

ギフン

……、…… といれ…

ヨンイル

ああ、待ってろ

ギフン

(待ってろって…)

嫌な予感がした。ヨンイルさんは部屋から出ていき、何やら大きなものを持ってきたようだ

ヨンイル

ほら、ここにしろ。

それは普遍的なサイズのバケツだった

ギフン

……え、

ヨンイル

ギフン、逃げるだろ?

ヨンイル

もうお前を失いたくないんだよ…分かってくれ。

確かにトイレへと誘導されるときに不意をついて逃げようと目論んでいたが、これは酷い

まさかバケツに用を足す日がくるとは。

ギフン

(まだ諦めるには早い……こうなればもう、あの手しか……!)

ギフン

……ありがとう。ヨンイルさん

にこりと笑ってみせると、ヨンイルさんはばつが悪そうな顔をした

ヨンイル

……

トイレが終わり、食事のときも同様に徹底的にヨンイルさんに笑いかけた

ギフン

……ヨンイルさん、もう仕事に行っちゃうんですか…

ギフン

この部屋にきて、1人で夜を過ごして、それからずっと寒いんです

ヨンイルさんは終始呆気にとられたような顔をしている

しかしその目は完全に管理していると信じていた

ギフン

ねえ…

ギフン

ハグ…して?

ヨンイル

……!

ヨンイルさんは顔には出さないものの見るからに動揺していた

ギフン

ヨンイルさん?

ヨンイル

……ああ、ギフン…そうだな。この部屋は寒すぎる……

ヨンイルさんの腕が体に回される

スーツから仄かに香る柔軟剤の匂いが鼻をくすぐった

ギフン

……ヨンイルさん…

ギフン

早く、帰ってきてくださいね

ヨンイル

ああ。明日にでもベッドは買ってきてやる。

腕が離され、ヨンイルさんは不可解そうに何度も振り返りながら部屋から出ていった

ギフン

……

ギフン

(昨日まではなかったカメラがある…)

ギフン

(寝てる間に取り付けたんだな)

ギフン

寂しい………

独り言にしては大きな声で呟く

ヨンイルさんのことだから今も監視しているに違いない

こうして、数日に渡ってヨンイルさんに心を許したと「思い込ませた」

ギフン

ヨンイルさんがいてくれるから、俺はまだ平気なのかも……

ギフン

もう……逃げませんよ

ギフン

…もし出て行けるなら、一緒に出たいです

ギフン

俺にはもうヨンイルさんしかいませんから…

ギフン

ヨンイルさん……いや、やっぱり何もありません

ギフン

もし、最初からこうだったらなにか……違っていたのかもしれませんね

ギフン

本当は優しい人だって分かってますから

何度目か分からない食事のとき、ヨンイルさんが重い口を開いた

ヨンイル

この部屋にはカメラもロックも厳重に設備されてある

ヨンイル

もう、ロープは要らないな

ギフン

俺は……

ギフン

ヨンイルさんがそばにいれば、それで……

確かにこの部屋には最低限の暮らしができるほどの家具が揃えられ、逃亡ができないよう常に監視されている

しかし、監視しているのは実際のところヨンイルさん自身なのだ

根本を懐柔すればいい

一時は変わりように怪訝に思ったらしく、監視が強化されたが今は違う

ヨンイル

…そうだろう?お前にはもう俺しかいない

ヨンイル

いい子だ……やっと気付いたんだな

そうしてロープがなくなり部屋の中なら自由に行動できるようになった

しかし、まだ逃亡に直結する行動はしない

ヨンイルさんの外出時にもただベッドに体を預けてヨンイルさんの帰りを待ってみたり、鼻歌を歌ってみたり、あたかも逃げるつもりはない素振りをしたりした

ヨンイル

…トイレに行ってくる

ヨンイル

部屋で待っててくれ

それだけ言い残して部屋を出ていく

ギフン

ヨンイルさんが先までいた付近の机上に、真新しい鍵があった

ギフン

(まさか……)

ギフン

……

ガチャ、と鍵を開けてヨンイルさんが顔を覗かせる

一番に机上を確認するヨンイルさんに独り合点した

ヨンイル

…鍵を忘れていた

ヨンイル

ギフン…取らなかったんだな?

ギフン

まさか!……俺はもう逃げないって言ったじゃないですか

ヨンイル

そうだな……そうだよな…

ギフン

あ、今日ヨンイルさんが夢に出てきたんですよ!

ギフン

なんて言えばいいのか…安心しました

ヨンイル

…!

ギフン

あの、ヨンイルさん…

ギフン

今日、お風呂一緒に入りたい……なんて、

ヨンイル

……どうして突然そんなことを言い出すんだ?

腕を強く掴まれる

ギフン

っ痛いです……ヨンイルさん……っ!

ヨンイル

なんで急に……何を企んでいるんだ?

ヨンイル

ここ最近変だ

ヨンイル

あんなに逃げようとしていたのに、どうしてそんな「従順」なんだ?

ギフン

ただお風呂に一緒に入りたくて……っ

ギフン

だめ、ですか……?

ヨンイル

…………そうか

ヨンイルさんは笑みを取り戻したが、その目は笑っていない

ヨンイル

なら、入ろうか。だが、念の為に言っておく

腕を掴む手に一層力が篭もる

ヨンイル

少しでも変な素振りを見せたら、次は檻の中だ。今のこの生活すら、お前には贅沢だって分からせる

ギフン

…もう、逃げませんから

バスルームに入った途端、背後からカチャリと小さな施錠音がした

ギフン

……

ヨンイル

どうした?

ヨンイル

お前は風呂に入るのに服を着たままなのか?

先に服を脱いだヨンイルさんが脱衣場とバスルームを繋ぐ扉を開ける

ギフン

…あの、恥ずかしいから……

ヨンイル

お前から風呂に誘ってきたのにか?

ヨンイル

……また逃げる気じゃないだろうな。

ギフン

違う!

ギフン

……

ヨンイルさんにじっくりと見られながらゆっくりと服を脱ぐ

全ての服を脱ぎ終えると、ヨンイルさんに肩を抱かれた

ギフン

っ!

ヨンイル

変な気を起こさないように、俺が洗ってやる。

ギフン

…ありがとう

ヨンイル

……

手際よく頭が洗われ、体に差し掛かったとき、ヨンイルさんが開口した

ヨンイル

なんで一緒に入ろうって言ったんだ?

ギフン

……それは…

ヨンイル

すぐに出てこないのは1から理由を作ってるからだ。そうだろう?

ギフン

違う…ヨンイルさん、俺を信じて

ギフン

もう逃げないって誓うから…

体を洗い終え、湯船に入るよう促される

ヨンイルさんもほどなくして湯船に浸かった

ヨンイル

…ギフン

ヨンイル

一緒にここから出ることを想像したことがあるか?

ヨンイル

俺たちだけ、どこか遠くに行って……誰も知らない土地で、2人だけで暮らす

ギフン

……いいな、それ

ヨンイル

ハハ、演技がうまいな…本当に

ギフン

演技じゃないですから!……じゃあ、明日行きましょうよ

ギフン

俺は、ヨンイルさんとなら……

ヨンイル

ヨンイル

もう上がろう

風呂を上がり、脱衣場に向かう

ヨンイル

ギフンに似合うと思って

ヨンイルさんが戸棚から取り出したのは深緑のパジャマで、どこかあのゲームを想起させる

ギフン

(趣味が悪いな……)

ギフン

ありがとうございます、ヨンイルさん

ドライヤーを探そうと目前の棚を開けた

ヨンイル

…!

ヨンイル

勝手に開けるな!

バン!!!!

棚が乱暴に閉められる

ギフン

っ!!

ギフン

すみません……

ヨンイル

……何か見たか?

ギフン

いえ、一瞬だったので、……

ヨンイル

………

ヨンイル

ドライヤーだろう?こっちの棚だ

先の棚にあったのは、ざっと見えたもので小型のナイフと手錠、どこかの鍵だった。

もしこのバスルームで脱出を企て失敗していたら……嫌な汗が背中を伝っていった

ヨンイル

座れ

ヨンイル

乾かしてやる

ギフン

…ヨンイルさんの髪も、あとで俺が乾かしますね

ヨンイル

……

ヨンイル

ギフン…今日は俺もこっちで寝ていいか?

ベッドから顔を上げると、寝巻きで立ち尽くすヨンイルさんがいた

ギフン

え?

ギフン

……ああ、全然大丈夫です

ギフン

(こんなにも信頼されたとは…)

ヨンイルさんがベッドに潜り込む

ヨンイル

前みたいに…抱きしめて寝ていいか?

ギフン

…はい

ヨンイル

…ギフンを抱いていないとうまく寝れなかった

ヨンイル

やっぱり俺はお前がいないと…

ギフン

……ヨンイルさん

ヨンイル

ギフン……愛してる

ギフン

………………

朝、ヨンイルさんは仕事に向かう

しかし今日は部屋に鍵をかけなかった

ヨンイル

……ギフン、俺はお前を信じたいんだ

ヨンイル

この部屋から出るなとは言わない

ヨンイル

俺の監視下にいるならそれでいいんだ

ヨンイル

……じゃあ、いってくる

ギフン

……

ヨンイル

愛してる、ギフン

ヨンイルさんはしばらく黙ったまま立ち尽くし、踵を返して出て行った

けぺ

ここまで見て頂きありがとうございました!

この作品はいかがでしたか?

437

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚