TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ある日の部活後、それは起きた。

木兎

赤葦ってさー、木葉のこと好きなの?

赤葦

……はい?

木兎さんとのエンドレス自主練を終えて2人きりになった部室で着替えていると、木兎さんは突然俺にそう聞いた。

赤葦

何言ってるんですか急に

木兎

いやーだってさ、お前いっつも木葉と一緒にいるじゃん?

赤葦

そんなことないですよ

木兎

嘘つけ。俺と自主練しなかった日は大体2人で帰ったりさ、部活の合間もしょっちゅう話してるし

赤葦

気のせいですってば…

俺は正直苛立ち始めていた。いや、焦っていたのかもしれない。こんなこと、木葉さんにバレたら…

木兎

いーじゃんか教えろよー!

な、ほんとは好きなんだろ!?としつこく聞かれ、俺は思わず声を荒らげてしまった。

赤葦

あ“ぁもう、違うって言ってんじゃないすか!大体木葉さんはただの先輩で、好きなるわけ、

その直後俺はハッと息を呑む。

視線を上げた先には、いつのまにか木葉さんが立っていた。

木葉

赤…葦…

赤葦

………っ!

俺は乱暴に鞄をひっつかんで、木兎さんの制止も無視して部室を飛び出した。

何も考えられず、家に帰って部屋に飛び込むと、それまで堪えていた涙がボロボロと溢れてきた。

赤葦

俺はっ…俺は、あんたのこと嫌いになれればってずっと思ってた!!そしたらこんな思いしないのに…なのに、なんで…っ

…なんで、こんなに諦められないんだろう…

次の日目が覚めた俺は、携帯につけていたはずのストラップがないことに気づいた。

赤葦

あれ…

昨日逃げ帰った時に落としたのだろうか。

俺は普段より早めに家を出て部室に立ち寄ってみた。

赤葦

…はぁ……

探しながら昨日のことを思い出し、ため息をついてその場にしゃがみこむ。

赤葦

木葉さん、どう思ったかな…

静まり返る部室に、俺の独り言がやけに大きく聞こえた。

傷ついただろうか。それとも、俺なんかにどうも思われてなくても気にしないのだろうか。

多分気にしないんだろうな。木葉さんはきっと俺のことなんて好きにならない。

散々泣いたはずなのに涙が滲んできて、慌てて袖で拭ったその時だった。

木葉

…探し物はこれか?

驚いて振り返ると、そこにはストラップを持った木葉さんがいた。

この時期の早朝はまだ薄暗く、木葉さんの表情はあまり見えない。

赤葦

…な、んで…

木葉

昨日、これ部室に落ちてた

そう言って木葉さんは俺の目の前にしゃがみ、ストラップを差し出す。

赤葦

…ありがとう、ございます…

受け取ろうと手を伸ばした瞬間、木葉さんは俺の腕を掴んでグイッと引き寄せた。

鋭い瞳が近づき、俺は一瞬声を詰まらせる。

赤葦

こ…木葉さ…

木葉

赤葦。……昨日のあれ、本気?

赤葦

……っ

俺が黙っていると、俺の腕を掴む木葉さんの手に力が込もった。

木葉

赤葦はさ、俺のことただの先輩としか思えない?…俺のこと、嫌い?

…嫌いなわけ、ないじゃないですか。

そう思ったけれど、俺は全く反対のことを言う。

赤葦

本気ですよ。俺は、あなたのこと…あなたのことなんて…っ

“嫌い”と言えば、俺も気持ちに諦めがつくと思った。

それなのに、直後俺の口からこぼれたのは言葉ではなく嗚咽だった。

涙で目の前が滲み、俺はグッと唇を噛んで俯く。

木葉

……こっち見ろよ、赤葦

そんなこと言われても顔があげられない。

なんで俺こんな泣いてんだろ。たった一言嫌いって言うだけじゃないか。

ダメだなぁ俺。こんな時ばっか、自分の気持ちに嘘がつけない。

堪えきれなかった涙が一筋頬を伝う。

木葉

…赤葦。お願いだから俺見て

さっきよりも柔らかな声音で木葉さんは言った。

腕から離した手を今度は俺の頬に添え、指先でそっと涙を拭われる。

その手の温もりが優しすぎて、俺はさらに泣きそうになる。

木葉

…ごめん、逆だったな

赤葦

…?

木葉

先に俺の気持ちを聞いて欲しい。俺の本音…聞いてくれるか?

わけもわからないままに頷くと、木葉さんは試合中見せるような真剣な眼差しで俺を見た。

木葉

…あのな、赤葦。俺は…赤葦のことが好きだ

赤葦

………へ?

零れる涙もそのままに、俺は木葉さんの顔を見つめた。

木葉

赤葦がどう思うかわかんないけど、少なくとも俺は赤葦のことただの後輩だなんて思ってない

木葉

だから俺は、お前の本音を聞きたい

…教えてくれないか?と呟く木葉さんの目は僅かに潤んでいた。

すっと息を吸い込むと、何度も飲み込んできた言葉が口をついて出る。

赤葦

好き…です…

途端に、今まで抑えていた想いが涙と一緒に堰を切ったように溢れ出した。

赤葦

俺…ずっと木葉さんのことが好きでした…っ。けど、叶わないって思ってたから、嫌いになりたくてっ…なのに、やっぱり俺…

木葉

……やっと本音が聞けた

とめどなく流れる涙で床を濡らす俺を、木葉さんはふわりと抱きしめた。

朝の寒さで冷えた体が温かくなる。

その温かさは体の外からのものなのか、それとも内からのものなのかわからない。

赤葦

木葉さん…俺のこと好きって、ほんとですか…?

木葉

…。

木葉

赤葦、俺の音…聴こえる?

そう問われて耳を押し当ててみれば、木葉さんの鼓動が聞こえる。

赤葦

…ドキドキしてる

木葉

うん。…嘘じゃないよ。俺、赤葦が好き

木葉さんはそう言うと、俺の唇に口付けた。

その温度が、感触が、俺の頭を甘い優しさで溶かしていく。

やがて木葉さんはゆっくりと口を離して、じっと俺を見つめた。

木葉

赤葦。こんな俺と、付き合ってくれますか?

俺は木葉さんの手に自分の手を重ねキュッと握った。

赤葦

もちろんです

赤葦

…大好きです、木葉さん

それから俺たちはもう一度唇を重ねた。

足元では、あのストラップが朝日に照らされて銀色に光っていた。

−END−

赤葦

…そういえば、結局誕生日何が欲しかったんですか?

木葉

ん?お前

赤葦

……そっすか

この作品はいかがでしたか?

1,074

コメント

15

ユーザー

木兎!お前が聞いてなかったら多分付き合ってなかったぞ!niceだ!

ユーザー

木葉さん最後にサラッと…

ユーザー

( ´ཫ`)尊い..............

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚