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falling

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falling

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2024年05月18日

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『全部がどうでも良くなって、 ぐちゃぐちゃだった頭ん中、スッキリして 気持ち良くなるよ』

『助けてあげる』

あれから僕は ジミンのくれる大麻に 救われている。

ジミンの言っていた事は正しかったみたいだ。

暗い空間の中を 様々な色に変わる照明がチカチカと派手に照らし 頭に鳴り響くのは、ガンガンとうるさいEDM。

そのリズムに合わせて勝手に動き出す体。

肩と肩がぶつかりそうなほど近い距離で 周りの人も、僕と同じように踊り狂っている。

mob

ねぇねぇ、君、ひとり?

mob

向こうで一緒にお酒飲まない?

僕に話しかけてくる男も 僕の脚に断り無しに触ってくる女も 全部無視した。

カラフルな照明に照らされるたくさんの人影も、 敏感になった耳を刺激してくる音楽も、 色々な香水が混じったような匂いも、

全部が楽しい。

腰に回された手を振り解くこともせず 自分の世界に浸り 無我夢中で踊っていたら

mob

この子、大丈夫…?

mob

クスリでもやってんじゃね?

そんな訝しげな声が聞こえたかと思うと 男は僕から離れて行った。

僕は気にせずに この高揚した気分が冷めるまで クラブで踊り続けた。

ユンギ

お前、最近どうしたの?

久しぶりに保健室に行くと 開口一番そう言われた。

ベッドの脇に勢いよく腰を下ろしてから 僕はユンギ先生に聞き返す。

ホソク

どうしたのって、どーいうことですか?

ユンギ

なんか様子おかしくねぇか?

まさか大麻のことがバレたのかと思って身構えたけど どうやら違うみたいだ。

ホソク

えー?何言ってるんですか。
普通ですよ、普通。

笑いながら答えると ユンギ先生は僕に近づいてきた。

ユンギ

ふーん…?

腰に手を当てながら 気怠そうな目を細めて僕を見つめ そしてすんすんと匂いを嗅ぐように鼻を動かした。

ユンギ

香水、強すぎ。
前までそんなモンしてなかったよな?

ホソク

…最近ハマってるんです。香水集めるの。

ユンギ

嘘ついても無駄だぞ。
お前、なんか隠してんだろ。

ホソク

別に、何も隠してませんけど、

ユンギ先生の目が、僕を鋭く射ぬく。

バレてるのか、カマをかけてるのか。

背中を冷や汗が伝うのがわかったけど それを悟られないように 僕はへらりと笑顔を作る。

ホソク

なんなんですかユンギ先生。
怖いなぁーもう。

ユンギ

パク・ジミン。

ホソク

…え?

ユンギ

1年E組のパク・ジミン。
なんとなく、あいつと同じ匂いするけど。お前。

ドクン、と 心臓が跳ねるのが分かった。

先生の口から出てくるとは思わなかった名前に 思わず笑顔が固まる。

ジミンと同じ匂い、って 大麻の匂いのこと?

やっぱり、バレてる…?

ホソク

ジミナ…。
…あぁ〜、えっと…。

目を逸らしたらだめだ。 余計に怪しまれる。

ユンギ先生は、途切れた僕の言葉の続きを 何も言わずに待っている。

ホソク

あの、あれですよ。
同じ香水、使ってる…とか?

ユンギ

やっぱりお前、なんか隠してんな。
一瞬だけ目線が右上を向いた。
それから瞬きの回数が増えた。
嘘ついてる時の仕草だ。

ホソク

…。

先生の、圧を感じる話し方 まるで尋問されてるみたいだ。

ユンギ先生は放任主義な方だと思ってたから 気を抜いてた。

そうだ、こう見えても養護教諭なんだ。 保健室、軽々しく来るんじゃなかった。

ホソク

あ〜、なんだ、バレちゃってたんだ。

少しの沈黙の後、この空気に似合わないような わざと明るい声色でそう言えば 先生はその反応が意外だったみたいで 少しだけ表情を顰めた。

先生が何か言葉を発する前に 僕は言った。

ホソク

僕、ジミナと付き合ってるんです。
ほら、ジミナの家に泊まる事もあるし、
一緒にいたら匂いも移ったりするじゃないですか。

誤魔化すしかない。

付き合ってはない。 決して付き合ってはないけど、 でも、ジミンとは今では普通に 体を重ねたりする仲にはなっちゃっている。

ホソク

ジミナのカッコいいところ語らせると
長くなりますけど良いですか?

バカみたいなテンションで バカみたいな事を言う自分。

あーもう、何言ってんだろう。 帰りたい。

ユンギ

…あぁ、そういうこと。

ユンギ先生の、何かを察して冷めたような目。 苦し紛れの言い訳だと思ったけど なんとか納得してくれたみたいだ。

ユンギ

お前、他に彼氏いたんじゃなかったっけ?

ホソク

…別れたんです。
今はジミナと付き合ってます。

ユンギ

あっそう。

これは嘘だ。 こんなこと言いたくないのに。 別れてない。 ジンヒョンとは別れてない。

ジンヒョンの事が好きなのに。

スンヒョンの事も受け入れて ジミナとも大麻を通じて 自ら進んで関係を持ってる こんな汚い僕の事を ジンヒョンはどう思うだろうか。

この不安感、緊張感、嫌悪感、罪悪感 嫌だ。

帰りたい。 今すぐ。

帰って 大麻を 吸いたい。

最近、こんな事ばっかりだ。

少しでも嫌なことがあったら すぐに頭の中が 大麻で埋め尽くされる。

あと、どれぐらい残ってたっけ。

最後にジミンに貰いに行ったの、 いつだったっけ…。

ユンギ

…い、おい。
おい、チョン・ホソク!

その声に、ハッとして我に帰る。

ユンギ

急に魂抜けたような顔してどうしたんだよ。

ホソク

あ…いや、

狼狽える僕を見るユンギ先生の視線が、 ふと下に移る。 …多分、僕の手、見てる。

これ以上ここにいたらダメだ。 ユンギ先生、鋭そうだから 少しでもボロを出したら多分、バレる。

震え始めた手を隠すように後ろに回すと ベッドから腰をあげた。

そこでふと気づく。

ホソク

先生…今、僕のことチョン・ホソクって…。

ユンギ先生、僕の名前をフルネームで呼ぶ時は 前までキム・ホソクだったのに。

先生は、僕から離れると 自分の椅子に腰掛けながら言った。

ユンギ

だってお前、嫌なんだろ?
今の苗字。

あぁ、そうだ。

前に僕が先生の目の前でナムジュンをビンタした時 そんな事を言っていた気がする。

先生、覚えてたんだ…。

ユンギ

あんな感情剥き出しにしてるお前、
初めて見たから驚いたわ。

ホソク

…。

ユンギ

お前にはお前の事情があるんだろうし
下手なことは言えねぇけど。
話ぐらいはいつでも聞いてやる。

ホソク

ユンギ先生、あの…

ユンギ

今はそのカッコいいパク・ジミンと付き合ってんのに
なんでさっきから、そんな泣きそうな顔してんの。

泣きそうな顔。 そんなの、してるつもりなかった。

ユンギ先生は 笑うでも心配そうな顔をするでもなく ただ、いつものように無気力な顔で僕を見ている。

でも、先生はやっぱり僕に甘いのかもしれない。

僕を見るその目が 一瞬、遠い記憶の中にある アッパが僕を見る時の、あの優しい眼差しと重なって見えた。

心配してくれてるんだ、先生。

ホソク

…ユンギ先生って、実は優しいですよね。

ユンギ

なーに言ってんだ。
俺はいつだって優しいだろ?

そう言って小さく笑った先生につられて 僕も軽く吹き出してしまう。

ホソク

…っふふ、確かにそうかも。
でも僕、大丈夫です。

この状態を大丈夫と言っていいのかは分からないけど もう、引き返せる状態にはないと思う。 きっと僕はもう 大麻に依存してしまっているから。

ホソク

…もし僕が、先生に助けてって言ってたら
ユンギ先生…助けてくれてましたか?

ユンギ

はぁ?
当たり前だろ。

くだらない事聞くな、みたいな態度で そう言い放ったユンギ先生を見て 僕はつい、こう思ってしまった。

もし最初から、ユンギ先生に相談してたら どうなってたのかなって。

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