テラーノベル
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席替えの日は、いつも少しだけ息が詰まる。
くじを引いて、黒板に貼られた席表を見上げて、名前を探す。
それだけなのに、心臓が無駄にうるさい。
のあ
見つけた自分の名前の右隣。
そこに書いてあったのは、クラスで知らない人はいない名字だった。
ーよりによって。
うり
低くて落ち着いた声がして、顔を上げる。
窓際の席に座っていた彼が、もう椅子を引いて立っていた。
近い。
思っていたより、ずっと。
うり
それだけ言って、彼はすっと座る。
無駄な愛想も、特別な笑顔もない。
…なのに。
クラスのあちこちから、ひそひそ声が聞こえた。
わかってる。
彼がそういう人だってことくらい。
背が高くて、顔も整ってて、運動もそこそこできて、誰にでも平等に優しい。
告白されたって噂も、何回も聞いた。
だから私は、余計な期待をしないって決めた。
ただの偶然。
ただの隣の席。
それ以上でも、それ以下でもない。
授業が始まって、静かな時間が流れる。
シャーペンを動かしていると、足元で小さな音がした。
ころん、と転がる消しゴム。
のあ
拾おうと身をかがめた瞬間、先に彼の手が伸びていた。
うり
目も合わせず、消しゴムだけ差し出される。
のあ
そう言うと、彼は小さくうなずいただけだった。
…それだけなのに。
なぜか胸が、きゅっとした。
意味なんてない。
分かってる。
でも、こういうのが一番ずるい。
のあ
次の授業で、私はつい声をかけてしまった。
少しだけ、勇気をだして。
うり
彼はそう言って、ノートをこちらに寄せる。
距離が、近い。
紙越しに、彼の腕が見える。
インクの匂いと、ほんのり石鹸みたいな匂い。
心臓がうるさくて、文字が頭に入らない。
うり
不意に声をかけられて、びくっと肩が跳ねた。
うり
のあ
思わず聞き返すと、彼は少しだけ困ったように視線をそらした。
うり
前から。
いつから?
その言葉の意味を考えそうになって、慌ててやめる。
期待したら、負けだ。
のあ
それだけ言って、ノートに視線を落とした。
昼休み。
彼の席の周りには、やっぱり人が集まっていた。
楽しそうに話す女子たち。
自然に輪の中心にいる彼。
私は、その様子を横目で見ながら、お弁当を閉じる。
…やっぱり。
住む世界が違う。
隣の席なのはたまたま。
それ以上近づく理由なんて、どこにもない。
そう思って、席を立とうとしたとき。
うり
隣から声がした。
のあ
うり
なんでもない口調。
引き止める理由なんて、なさそうなのに。
のあ
そう答えて、私は教室を出た。
背中に、何か言いたそうな視線を感じた気がしたけど、振り返らなかった。
放課後。
部活も委員会もない日は、少しだけ教室に残る。
静かな空間が、好きだった。
カバンをまとめていると、後ろから椅子を引く音がする。
うり
彼だった。
のあ
そう言って立ち上がろうとした瞬間。
うり
短いその一言に、足が止まった。
振り返ると、彼は少しだけ迷った顔をしていた。
うり
言葉を探すみたいに、一瞬視線を落としてから、またこちらを見る。
うり
のあ
うり
心臓が、跳ねた。
そんなふうに思われているなんて、考えてもみなかった。
のあ
すぐに否定する。
のあ
うり
即答だった。
理由を聞かれて、言葉に詰まる。
正直に言えるわけがない。
ーどうせ私なんか、って思ったなんて。
黙ったままの私を見て、彼は小さく息を吐いた。
うり
一歩、近づく。
うり
低い声。
でも、どこか焦ったみたいな。
その距離に、胸が苦しくなる。
のあ
意味、あるの?
そう聞きたかったのに、声にならなかった。
彼は少しだけ目を伏せてから、ぽつりと言った。
うり
その言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
嫌。
それだけなのに。
胸が、熱くなる。
のあ
そう答えるのが、精一杯だった。
彼はそれを聞いて、やっと少しだけ安心した顔をした。
うり
並んで教室を出る。
隣の席。
いちばん近い他人。
ーでも、今は。
少しだけ、その距離が縮んだ気がした。
コメント
2件
初💬失礼します🙌🏻︎ めっちゃ神作すぎてヤバいです🤦🏻♀️🤦🏻♀️学パロのうりのあ大好物すぎてお腹いっぱいです😋 続き待ってます♪