テラーノベル
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朝の教室は、まだ静かだった。
窓から差し込む光が机の角を照らしていて、私はいつもより早く席に着く。
昨日のことが、頭から離れなかった。
隣の席なんだから勝手に離れんなよ。
意味なんて考えちゃだめ。
ただの言葉。深い意味はない。
そう思い込もうとしているところに、椅子を引く音がした。
うり
のあ
彼はいつもと同じ声で、同じように座る。
昨日の空気なんて、なかったみたいに。
それが少し、寂しくて。
少し、安心した。
授業中、先生が黒板に文字を書き始める。
ノートを取ろうとして、ふと気づく。
のあ
シャーペンの芯、切れてる。
替え芯を探そうとペンケースを開ける前に、横から小さな音がした。
ころん、と机の上に転がるシャーペン。
うり
短い一言。
のあ
受け取ると、彼はもう前を向いていた。
誰かに見られたら、ただの貸し借り。
でも、こういう”当たり前みたいな優しさ"が、一番困る。
休み時間。
彼の前に立った女子が、明るい声で言う。
うり
彼は即答だった。
うり
本当かどうかはわからない。
でも、その子は少し残念そうに笑って去っていった。
…用事?
気になったけど、聞けるはずもなくて、私は窓の外を見るふりをする。
うり
不意に、彼が声をかけてきた。
うり
のあ
うり
理由は言わない。
でも、断る理由も見つからなかった。
のあ
それだけ答えると、彼は小さくうなずいた。
それ以上、何も言わない。
なのに、胸がずっと落ち着かなかった。
放課後の教室。
他の生徒が帰っていく音が遠ざかって、気づけば、私達だけになる。
のあ
勇気をだして聞くと、彼は一瞬だけ黙った。
うり
そう言いながら、机に肘をつく。
うり
それだけ。
理由としては、弱い。
でも、なぜか心臓が跳ねる。
のあ
うり
目が合う。
近い。
昨日と同じ距離。
うり
彼が、少しだけ声を落とす。
うり
図星すぎて、何も言えない。
うり
そう前置きしてから、続ける。
うり
”嫌"じゃなくて、”好きじゃない"。
その言い方が、やけに優しくて、苦しい。
のあ
思わず、そう言ってしまった。
彼は少し驚いた顔をしてから、首を振る。
うり
そして、少しだけ笑う。
うり
一瞬、間があって。
うり
心臓が、どくんと鳴った。
のあ
冗談っぽく聞くと、彼は少しだけ目を細める。
うり
その一言で、全部持っていかれた。
のあ
そう答えると、彼は安心したように息を吐いた。
うり
それだけ言って、立ち上がる。
うり
並んで教室を出る。
まだ、特別な言葉はない。
でも、隣の席はもう、”ただの席"じゃなかった。
ー気づいてないのは、たぶん。
私だけ。
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