白
あれ、悠くんやん。珍しいなこんな時間まで

黄
おぉ…初兎。生徒会室にいるんじゃないん?

白
今日はないちゃん帰ってるみたいやしな
まろちゃん大変そうやったよ。
いむくんに手伝わさせてた

黄
あぁ~…まろならありそうやな、

白
てか、悠くんは何してるん?
こんな空き教室で

黄
歌の練習してるんよ。毎日

白
毎日、!?凄いなぁ……なんか目指してるん?

黄
大したことじゃないけどな…
目指してることはあるで。

白
おぉ~ええな、夢って

黄
夢とは言ってへんやん

白
でも、目指してるやろ?それはもう立派な夢やって

黄
そう、なんかな……

白
そうやって、それに悠くん歌上手いから
きっとその夢叶えられるんちゃう?

黄
……あのな、初兎

白
ん~?どしたん?

黄
俺がめざしてる…その、夢っていうん?
歌い手っていうんやけど…知ってるか?

白
あぁ~歌い手な、!勿論知ってるで
かっこええやん悠くん!!

黄
あ、ありがとな。…んでその歌い手始めて
もう2年半くらい経つんやけど、全然伸びないんよ

白
ん~……まぁそんなもんちゃう??
今は歌い手全盛期っていう訳でもないしな

黄
そうなんやけど…でも伸びひんくて
俺、実力ないんかも……

白
悠くんはさ、歌い手やってて楽しいん?

黄
……楽しい…

白
俺、その歌い手やってないから分からないんやけどさ
ただ歌を歌うより、まず自分が楽しいって思ってないと
相手に絶対伝わらないって俺は思うんよね

黄
……

確かに、自分の感情を意識してやったことはない
でも、ただ楽しいだけじゃ勿論駄目やし……
楽しいとスキルを両立するって事なんか…?
白
俺さ、実はラップ得意で…よく自分で書いたりしてるんよ

黄
そうなん?そりゃ凄いな

白
はは、wやっぱり自分の好きって誰にでもあるやん
音楽が好きとか、歌うのが好きとか。動画作るのが好きとか

白
ただ自分が楽しいからやるとかじゃない
でもただ上手いだけじゃダメやろ??

黄
……

初兎の言ってることは全部正しい
正しいからこそ、難しい
白
こういうのってガチでむずいよな。
悠くんとは気合いそうやわ

黄
はいはい、そうやね

白
え、てか悠くんって受験するん?
もう夏やから受験勉強本格的に始まると思うんやけど

黄
一応、音楽系の学校に行こうって考えてる

白
へぇ~、めっちゃかっこいいやん!!
それもやっぱり夢のためなん??

黄
夢のためでもあるし、俺が入りたいって言うのもある

白
そっか、ちゃんと理由持ってるのはいい事やと思うよ

黄
でも、親に言ってないんよな

白
……は?はぁぁ、!?

黄
なんやねん声大きいなぁ…

白
なんで親に言ってないん、!?志望校の提出ってもうすぐやろ!!

黄
分かったから声のボリューム下げろ…

白
あぁごめん…でも何で親に言ってないん?

黄
……怖いんよ。親の世代は
歌い手なんて知らないやろ?
歌い手として稼げる金なんてほぼ無いし
そんなの簡単に就かせると思うか?

白
……た、確かに…確かにそれはそうなんやけど
でも悠くんがやりたいことなんやろ?
それを否定する権利なんか親にはないよ

黄
初兎、俺の親は…

白
悠くん、なんでも言ってみないとわかんないやん

白
大丈夫、絶対理解してくれる。

黄
…初兎…

何を根拠に勝手なこと言ってるん、此奴
でも此奴の言ってることに間違いは無い
話せばわかってくれるのかもしれない
なら、俺のするべきことはただ1つ
黄
わかった……親に話してみるな

白
おう、頑張ってな、!
