卒業式の翌日の夜
藤堂 瑠菜
…私、彼女…なんだよね?
???
なんだよ、それ笑
???
俺にはお前しか彼女はいないけど?
藤堂 瑠菜
ふふっ♪
???
この日を待ってた…。だから──
グイッ
藤堂 瑠菜
…んっ
藤堂 瑠菜
(抱き寄せられて、キスされてる…!)
藤堂 瑠菜
んん…っ…
藤堂 瑠菜
…はぁ、…っ
???
っ…瑠菜…好きだ…
藤堂 瑠菜
…っ、ん…
ドサッ
藤堂 瑠菜
(えっ!ベッドに…押し倒されちゃった?)
藤堂 瑠菜
(ちょっと待って…まだそこまでの気持ちが…っ)
???
瑠菜のこと…好きすぎてヤバい…
藤堂 瑠菜
待って!…そのっ
???
…!ごめん、瑠菜のこと独り占めできると思ったらつい…
藤堂 瑠菜
つい…じゃないよ…もう!
???
今夜はずっとそばにいたいって言ったのは瑠菜だろ
藤堂 瑠菜
…っ。う、うん…
藤堂 瑠菜
(そばにいるってことは…そういうこと…だよね?)
???
瑠菜を俺のものにしたい
藤堂 瑠菜
私はもう…──くんのものだって…思ってるんだけど?
???
それは心、だろ?身体は今日解禁だから笑
藤堂 瑠菜
(解禁って…言い方っ!)
藤堂 瑠菜
ふふっ。まぁ…そうだね
???
朝まで寝かせられないかも…
藤堂 瑠菜
…いいよ
藤堂 瑠菜
(まさか…彼とこんな風になるなんて)
藤堂 瑠菜
(あの時は思ってもいなかったっけ…)
──10ヶ月前
ある日の朝のHR
大島 恭夜
今日から君たちの担任を受け持つことになった、大島恭夜です
大島 恭夜
よろしく
女子1
超イケメンなんだけど~!
女子2
大島先生!彼女とかいるんですか~!?
女子3
それ、私も気になる~♪
大島 恭夜
(ったく…典型的な質問だな)
大島 恭夜
プライベートのことは秘密だ
女子2
えぇ~!!
女子3
教えてくれてもいいじゃないですか~!?
女子1
先生って秘密主義!?笑
大島 恭夜
ははっ。ここで話すようなことでもないだろ
女子3
でも、聞きた~い♪
男子1
イケメンだし、いるに決まってるだろ~
男子2
お前ら、夢見すぎ~笑
女子1
あんたたちに聞いてるんじゃないし!
男子3
ったく、これだから男性教師が来るとうるさくなるんだよ
女子2
産休に入った桑島先生のときだって
女子2
男子たちうるさかったじゃん!
女子3
そうそう!!あの先生、美人だったしね~笑
男子2
そ、それとこれとは話が違うだろ!
女子2
同じじゃんか~
大島 恭夜
…………
女子1
じゃあ、質問変えま~す
女子1
先生ってキスうまい?笑
大島 恭夜
はぁ?なんでそういう話になるんだよ…
大島 恭夜
そういう質問には一切答えません笑
女子1
きゃ~っ♪余計に気になる~笑
大島 恭夜
…………
白井 陽子
瑠菜ちゃん、あの先生どう思う?
藤堂 瑠菜
どうって…別に…
藤堂 瑠菜
私は桑島先生のほうが良かったかな
藤堂 瑠菜
女の先生だし、話しやすかったしね
白井 陽子
そっか~。まぁ、私も同感かな
白井 陽子
産休に入っちゃったから、しばらく会えないのも寂しいね
白井 陽子
私たち以外の女子は、ほとんどが大島先生ウェルカム状態だけど笑
藤堂 瑠菜
そんな感じだね…
佐久間 奏
瑠菜と白井ちゃんはほんと興味なさそうだな笑
白井 陽子
ないなぁ笑
藤堂 瑠菜
うん…
藤堂 瑠菜
(まぁ…最近流行ってるしな~。年の差恋愛とか)
藤堂 瑠菜
(でも、私はそういうの興味ないや)
藤堂 瑠菜
(だって…私が好きなのは…佐久間くんだもん)
藤堂 瑠菜
(今日も一緒に話せるなんて幸せだなぁ)
藤堂 瑠菜
あっ、そうだ…忘れてた!
藤堂 瑠菜
佐久間くん!英語の宿題ってやってきた?
佐久間 奏
もちろん!なに、瑠菜やってないの?笑
藤堂 瑠菜
やってたんだよ?やってたんだけどね…
藤堂 瑠菜
途中から難しくて私には無理だった…
佐久間 奏
なんだそれ笑
佐久間 奏
やってないのと同じじゃん!
藤堂 瑠菜
それ言われると~なにも言い返せないけど笑
佐久間 奏
仕方ねぇから見せてやるよ♪
藤堂 瑠菜
ラッキ~!
白井 陽子
(佐久間くんも私と一緒で、瑠菜ちゃんに甘いなぁ…)
白井 陽子
(瑠菜ちゃんのあの雰囲気が)
白井 陽子
(私たちをそうさせてるんだろうけど)
白井 陽子
(このふたり、いい感じかも…)
大島 恭夜
(たしか、この中にいるんだよな?)
大島 恭夜
(親父たちが言ってた、あの子…)
大島 恭夜
(藤堂瑠菜だっけ?俺の婚約者)
大島 恭夜
(名簿で見たとき、名前はすぐ見つけたけど…)
大島 恭夜
大島 恭夜
(あぁ…あの子だな)
大島 恭夜
(後ろのほうで話してる男女3人グループの…)
大島 恭夜
(なんかHR無視してノート広げ始めたけど…)
佐久間 奏
ノート写すのはいいけど、分かんないとこは聞けよ?
佐久間 奏
教えてやるから
藤堂 瑠菜
は~い♪
佐久間 奏
ったく、返事だけは一人前だよな、瑠菜は笑
白井 陽子
佐久間くんも似たようなもんじゃん笑
佐久間 奏
うっ…それを言われると…笑
藤堂 瑠菜
あはははっ
大島 恭夜
(へぇ…。あの3人はこのクラスの中でも特別仲良さそうだな)
大島 恭夜
(瑠菜って子、いいとこのお嬢様か何だか知らねぇけど)
大島 恭夜
(相手は高校生だぞ?うちの親は何考えてんだ…)
大島 恭夜
(もちろん、高校生のうちは結婚とかは言わないだろうけど…)
藤堂 瑠菜
…?
藤堂 瑠菜
(さっきから大島先生の視線を感じるんだけど…)
藤堂 瑠菜
(何なんだろう?)
藤堂 瑠菜
(私、なにか目立つようなことしたっけ!?)
藤堂 瑠菜
(もしかして、ノート広げてるから!?)
藤堂 瑠菜
陽子ちゃん、さっきからなんか…
藤堂 瑠菜
先生に睨まれてるような気がするんだけど…気のせいかな?
白井 陽子
えっ?う~ん…
白井 陽子
(睨まれてる感じではなさそうだけど…)
白井 陽子
(瑠菜ちゃんを見てなにか考えてる感じ?)
白井 陽子
きっと大丈夫だよ笑
藤堂 瑠菜
そっか。陽子ちゃんがそう言うなら…
大島 恭夜
数学も担当することになったから、よろしく
生徒たち
は~い!
女子2
先生に教えてもらえるなら頑張れそう♪
女子1
私も~!
大島 恭夜
(普段から頑張れよ…)
藤堂 瑠菜
(それにしても、あの先生、こっち見すぎなんだけど…)
藤堂 瑠菜
…っ!
藤堂 瑠菜
(やばっ!目、合っちゃった…)
大島 恭夜
…っ
藤堂 瑠菜
あっ、佐久間くん!ここの問題だけどさ~
藤堂 瑠菜
(気にしないようにしなきゃ!)
佐久間 奏
あぁ、そこの和訳は…
大島 恭夜
(さっき、目…合ったよな?)
大島 恭夜
(思いっきり逸らされたけど)
大島 恭夜
(俺、気にしすぎか…!?)
大島 恭夜
(藤堂、佐久間って男子と妙に仲いいみたいだな…)
大島 恭夜
(あの感じからすると…もしかして)
大島 恭夜
(藤堂は佐久間のことが好きなんじゃ──)