I NEED U

こんなはずじゃ、無かったのに。

結局郵便受けにスマホを入れて、そのまま帰った。

憂鬱な気持ちのまま鍵を開け、中に入ると

何故か肉じゃがのいい匂いがした。

キッチンに立っていたのは

数年前に居なくなったはずの、義理の兄だった。

お皿に綺麗に盛り付けられていく肉じゃがを眺めながら、ジミンの事を思い出す。

全部、私のせいなのか…

ジンさんの作ってくれた肉じゃがは、思わず笑ってしまうほど美味しかった。

久しぶりに幸せな気持ちになった気がする。

ジミンも好きだった、パンケーキ。

一緒に食べに行くことも、出来なくなってしまったけど笑

勝手に家の鍵を取り、まるでここが自分の家のような態度をとるジンさんに呆れた顔をした。

部屋を出て、鍵を閉める。

こうやってジンさんと2人で出掛けるなんて、懐かしいな。

夢、か。

夢って何だろう

昔の私なら、美容師になるとか言ってんだろうな

でも、今は、、、

顔に出さないように、色々考えた。

そうやって辿り着いた答えは

『ジミンとまた戻りたい』

だった。

自分で決断した癖に、泣きながら後悔するなんて

ほんとに消えてしまいたい気分だ。

親が、私が1人暮らしを始めると言った時ここに住んでいたジンさんと同居を進めたのがきっかけで

私達は5年前から同居を始めた。

そして、やっと私も安定した収入を得られるようになった時

突然ジンさんは消えた。

親に相談しても、『大丈夫』と言うだけで

私はずっと心配してたのに

今更急に帰ってきやがって（