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テラーノベル(Teller Novel)

俺達がゲームルームに入って来た時の扉とは、別の扉だ。

トウヤ

これは…廊下と繋がっているのか?

コハネ

…そうみたいだね。
ちょっと開けて確かめてみよう。

トウヤ

あぁ…この扉は引き戸になっているんだな。 …よし、開けてみるぞ…

と、言いながら引き戸を引いたものの…

ガタン…

トウヤ

ん? おかしいな…
少ししか開かないぞ?

ガタン…

トウヤ

建て付けが悪いみたいだな…
なんとか片腕が出せるくらいしか開かない。

コハネ

この向こうが廊下なのはわかったけど… これしか開かないってなると出入りは無理だね…。

アイリ

いや…えむちゃんなら建て付けくらい問題ないはずよ!

アイリ

あのものすごく重いマンホールの蓋を、軽々と持ち上げて投げちゃうくらいなんだから…

ツカサ

あぁ、力ずくでこの引き戸を開けるくらいは朝飯前だろうな…。

エム

朝ごはんの前にそんな事しないよ!朝ごはんを食べないとそんな力も出ないんだもん!

コハネ

…私もそう思うよ。

トウヤ

え? 朝食の話か?

コハネ

ううん…そうじゃなくて、えむちゃんはそんな事してないと思う。
だって、これを見てよ。

コハネ

引き戸のレール全体に埃が付いてるんだ。しばらく、引き戸がここから動いてない証拠だよ。

アイリ

だったら…その隙間から強引に出入りしたとかかしら?

トウヤ

それは…いくらなんでも無理だと思います。野球ボール1個分くらいの隙間しかないんですよ?

トウヤ

通っても…せいぜい片腕くらいじゃないですかね。

アイリ

やっぱりそうよね…

コハネ

……………

トウヤ

…ん? 小豆沢、どうしたんだ?

コハネ

あ、いや…ちょっと確認したい事があって。もう1度引き戸を開けてみるね。

そして、小豆沢は引き戸の隙間から廊下を覗くと、呟くように言った。

コハネ

うん…やっぱりだよ。
ほら、図書室の裏口の扉が見えるでしょ?

コハネ

つまり、この扉と図書室の裏口の扉は、ほとんど正面…向かい合うような位置関係なんだよ。

トウヤ

そうだな…だが、それがどうかしたのか?

コハネ

まだはっきりした事はわからないんだけど、少し気になるんだよね…。

気になる…って、何がだ?

プロジェクターで照らすためのスクリーンだ。電源は切れている…

コハネ

そのスクリーンを丸めれば、長い棒状になるよね…

トウヤ

確かに、そうだな。
それがどうしたんだ?

コハネ

何かに…使えそうだなって…

何かに使えそうとは…

トウヤ

小豆沢は時々わからないことを言うな…。そこも、探偵らしくていいんだがな。

コハネ

え…そ、そうかな…
ごめん…独り言と思って聞き流してくれて大丈夫だよ。

トウヤ

ポスターが入っているな…

円筒状のバケツのような入れ物に、丸めて輪ゴム止めされたポスターが数本入っている。

トウヤ

これは…映画のポスターだろうか?
どれも同じポスターみたいだが…

その内の1本を取り出して広げてみた。

絶対絶望少女2…発売決定?

ゲームか… 通りで聞いた事がないわけだな。

トウヤ

メガホンを持った女子高生と殺人鬼が主人公?…
どんなゲームなのだろうか…。

コハネ

これも、モノクマの悪ふざけかな…?

トウヤ

きっと…そうだろうな。

コハネ

ここも…一通り調べ終わったと思うよ。

トウヤ

それなら次だな。次はどうするんだ?

コハネ

とりあえず、他の人達からも話を聞いておこう。
まだ話を聞いてない人もいるしね。

トウヤ

だが…こんな回りくどい事なんてしなくても、例のカメラの写真があれば1発なんだがな…。

トウヤ

首謀者の…正体も。

コハネ

それはそうだけど…
何もしないで待ってる訳にはいかないからね。

トウヤ

あぁ…そうだよな。

【ゲームルーム】

シホ

あの2人、まだやってるの?

トウヤ

あぁ…だが、少し落ち着きそうだった。

シホ

そう。まぁ、ならいいんだけど。

コハネ

……………

トウヤ

小豆沢? どうしたんだ?

コハネ

あ、ううん。
あのえむちゃんの事もそうなんだけど…

コハネ

あのAVルームには…
気になる事がいくつかあったんだよね。

シホ

…こはね、妙に張り切ってるね。

コハネ

え…?

シホ

事件が起こると生き生きするんだ。
さすが、探偵だね。

コハネ

べ、別に、そんな事は…!

トウヤ

まぁ、小豆沢がどんどん頼もしくなっているのは間違いない。

トウヤ

だが、それは探偵だからとか事件が起こったからだとか、それだけではないと思うけどな。

コハネ

あ、青柳くん…

シホ

………………

シホ

まぁ、こはねが解決してくれるんなら、こっちも助かるけど。

シホ

名乗り出て来ない犯人のせいで、ピンチになってるんだし。

コハネ

………………

トウヤ

行こう、小豆沢。
まだ話を聞いていない人がいるだろう?

コハネ

う、うん。

シホ

…………………

トウヤ

あ、花里さん、桐谷さん。
聞きたいことがあるんだが…

俺達は2人にも、ゲームルームでの出来事を聞いてみたが───

日野森さんに聞いた話と同じで、おかしな点や新しい発見もなかった…

トウヤ

…なるほどな。

ハルカ

鳳さんがAVルームにこもった事が、ちょっと怪しいかな…って思ってるんだけど…

ミノリ

わたしも!遥ちゃんに賛成だよ!
だって、遥ちゃんの意見なんだもん!

コハネ

えっと…そんな理由で?

トウヤ

ところで…2人の調査は進んでいるのか?

ハルカ

それが…全然なんだよね…。

コハネ

…え?

ハルカ

あ、ううん。何もしてない訳じゃないんだよ。

ハルカ

その…朝比奈さんが1人でいるから…怪しい行動がないか見てるんだよね。

トウヤ

そうか…捜査の時はできるだけ単独行動は控えるという話だったからな。

ハルカ

うん…だからだよ。
でも…朝比奈さんは1人でふらふらしてて…ちょっと心配で。

トウヤ

なるほど…それで朝比奈さんに付いていっているんだな。

トウヤ

花里さんは?…

ミノリ

えっ? わ、わたし?…

ミノリ

そ、それは…!遥ちゃんのお手伝いだよ!

ハルカ

…一緒にいたいみたいなんだよね。
別に、2人がかりでも大丈夫じゃないかな。お互いを見張るみたいな意味でも。

ハルカ

あんまり、人を疑うような事はしたくないんだけど…
命が懸かってるからね。

コハネ

それに…一緒に行動するのは、信じ合う為の捜査にも必要な事だよ。

トウヤ

そうだよな。
2人とも、ありがとう。

トウヤ

朝比奈さん…捜査はしないんですか?…

マフユ

あ、えっと…捜査なら私なりにひと通り終わらせたから、今はそれを踏まえて少し考え事をしてたんだ。

マフユ

1人の方が集中できるから…
そういえば単独行動は控えるって話だったのに…迷惑かけてたらごめんね。

トウヤ

も、もう捜査を終わらせたんですか?…

コハネ

さ、さすが優等生…なのかな?
優等生の中でも頭一つ抜けてるの気がするよ…

マフユ

ちゃんと解決しないと、私達は全滅になる。神代さんの死を、犯人に利用された事になる。

マフユ

だから、しっかりやらないとね。
神代さん…しっかり天国に行けてるといいんだけどな…。

トウヤ

ですが…あんな風に死んでしまって、神代さんは天国に行けるのでしょうか…

トウヤ

行ってくれたら…いいのですが…

マフユ

神代さんが安心して天国に行く為にも、犯人を突き止めよう。
ね、小豆沢さん?

コハネ

は、はい…、そうですね…!

【教室A】

カナデ

あ…小豆沢さんに青柳さん。
ちょうど聞きたい事があるんだけど…いいかな?

カナデ

小豆沢さん達が見張りに使ってた教室って、この教室なんだよね?

トウヤ

あぁ、ここだと階段で地下に行く人も見張れるし、受信機が鳴った時にすぐに図書室に行けるからな。

コハネ

それが私達のアリバイだよ。

コハネ

私達は事件が起きた時、2人ともこの教室にいたんだ。

カナデ

なるほど…なら、2人が犯人の可能性は低そうだね。 でも…

カナデ

2人は…ずっと一緒だったの?

コハネ

あ、ううん…私は途中で地下の様子を見に行く為に、少しだけ離れたけど…

コハネ

でも、それ以外はずっと一緒だったよ。受信機が鳴る瞬間までずっと。

トウヤ

あ、あぁ…そうだな。

カナデ

…うん、わかった。
話してくれてありがとう。

トウヤ

聞きたいことはそれだけか?

カナデ

あ、もう1ついいかな?
あの通気口の事なんだけど…

カナデ

あれって、この教室から図書室まで繋がってるみたいだね…

カナデ

地下の廊下にあったパイプが多分この通気口に繋がってるんだよね。

コハネ

うん、私もこの通気口は気になってたんだ。それもあって、この教室を見張り場所にしたんだ。

トウヤ

ただ、俺達がずっとここで見張っていたから、犯人があそこを使ったとは考えられないと思う。

カナデ

確かに、それならここから図書室に忍び込むのは難しそうだね。

コハネ

それに、図書室の通気口の前には、青柳くんが本を山積みにして置いてくれたんだ。

コハネ

あれが邪魔をしてるし…
なおさら図書室の通気口からの出入りは難しいと思う。

カナデ

なるほど…
うん、覚えておくよ。

カナデ

色々詮索しちゃったけど…気にしなくて大丈夫だよ。

トウヤ

あぁ。
力になれたのならよかった。

トウヤ

日野森さん、すみません。

シズク

あら? 冬弥くんにこはねちゃんじゃない! どうしたの?

トウヤ

アリバイを聞きに来たんです。
その…死体発見アナウンスを聞いた時、どこにいたのか教えて貰えませんか?

シズク

なるほどね…そういう事ならわかったわ。

シズク

あのアナウンスが鳴った時、私は”食堂”でお食事を頂いていたの。

シズク

えっと…他にその場にいたのは、穂波ちゃん、一歌ちゃん、彰人くん、絵名ちゃん、寧々ちゃんにネネロボちゃんだったかしらね。

シズク

食事はモノクマーズさん達が用意してくれたの〜!
ちなみに、メニューは…

シズク

”食べ過ぎ注意!美味しいサーモンクリームおうどん〜大福とプチシューを添えて〜”だったわ!

トウヤ

うどんは美味しくても大福とシュークリームはさすがに合わないのではないか?…

シズク

それがね、とっても美味しかったの〜!
青柳くん達にも食べてほしかったわ〜

シズク

私のアリバイは以上よ!
何かの参考になればいいのだけれど…

コハネ

えっと…一緒にいた人達の様子はどうでしたか? 何か気になるところとかはありませんでしたか?

シズク

えっと…強いて言うのなら、寧々ちゃんが何か機械のようなものを持っていたのと…

シズク

彰人くんが途中でお手洗いに行ったのが気になったかしら…
でも、怪しむほど長い時間ではなかったわ。

トウヤ

お手洗い…それは少し気になるな。

トウヤ

彰人は、司先輩からの誘いも断っていたようだし…

トウヤ

何か企んでいると考えても無理はないな。

コハネ

確かに…そうかも。
後で直接聞いてみよっか。確か、現場の図書室にいたはずだよ。

トウヤ

えっと…咲希さん。
咲希さんは、死体発見アナウンスがあった時、どこで何をしていたんですか?

サキ

あ、アタシ?
え、えっと…

トウヤ

咲希さん? どうしたんですか?

サキ

えっと…実はね、アタシは1人で個室にいたから…アリバイらしいアリバイがないんだよね…。

トウヤ

そうなんですね…

カナデ

あ…それはわたしもだよ。
わたしも1人で個室にいたから…。

トウヤ

あ、宵崎さんもか…
なるほどな…。

そうか…咲希さんにも宵崎さんにもアリバイがないんだな。

だとすれば、その2人のどちらかが首謀者という可能性も…いや、そうだろうか?…

サキ

えっと…やっぱりアタシ…怪しいよね? アリバイがないから…

トウヤ

いいえ、アリバイがないというだけで疑ったりはしないですよ。

コハネ

東雲くんの件はともかくとして…
これで全員のアリバイがわかったね。

トウヤ

あれ? 暁山のアリバイを聞いていないぞ?

コハネ

聞くまでもなく、暁山さんは1人だったはずだよ。

コハネ

今まで話を聞いた人が誰も彼女を見ていないみたいだし、彼女のアリバイを証明する人は誰もいないって事でしょ?

コハネ

つまり、暁山さんも1人だったはずだよ。

トウヤ

あぁ、そうか。
なるほど、さすがは探偵だな。

コハネ

それで…東雲くんにさっきの件を聞きに行くんだよね?

トウヤ

あぁ。図書室へ行こう。

【図書室】

アキト

…………………

トウヤ

…彰人、少し聞きたい事があるんだが…

アキト

…あ、冬弥にこはねか。
あ〜…聞きたい事があるのか?なんだ?

コハネ

単刀直入に聞くんだけど…東雲くんって、 司さんの誘いを断ったんだよね?

コハネ

それって…どうしてなのかなって…。

アキト

あぁ、モノクマと戦うとか言ってたヤツか? 確かに断ったな。

アキト

どうしてって…単純に参加したくなかっただけだ。モノクマと戦うなんて無謀な事やってられっかってんだ…

トウヤ

確かに無謀かもしれないが…
食堂で何かあった時の為に残る…と言っていたのは嘘だったのか?

アキト

いや、それもあるな。
食堂に残ってたヤツら、自分の身すら守れなさそうなヤツばっかりだったからな。

アキト

あと…絵名もいたしな。

トウヤ

なるほど…お姉さんか。
行かなかった理由はよくわかった。

コハネ

お手洗いに行ったのも、特に深い意味はないんだよね?

アキト

ねぇに決まってんだろ?
ただの生理現象だよ。

コハネ

うん…わかったよ。
ありがとう。

キーンコーンカーンコーン

トウヤ

えっ…?
このチャイムは…

モノカイト

お待ちかねの学級裁判の時間だよ!

モノメグ

違うわよ〜!現像が終わったお知らせよ〜!
邪魔しないでほしいわ〜

モノメグ

という訳で、倉庫で待っているわ〜

ばーいくま!

トウヤ

小豆沢!
現像が終わったらしいぞ!

トウヤ

急いで取りに行こう…!

コハネ

…あっ! 待ってよ、青柳くん!

思わず駆け出した俺は、全速力で倉庫へと向かった。

これで真相がわかると思うと、いても立ってもいられなくなったんだ。

この作品はいかがでしたか?

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