何も聞きたくない

突然、心の声が聞こえなくなった。

いつもはウザったいくらい母さんや父さんのこころの声が聞こえてきたのに。

どうして、急に？

ｼｰﾝ

聞こえてたはずの、ザワザワ音。

心の声が聞こえなくなるだけでこんなにも静かになるの？

信じていた人達を、信じるのは辛かった。

聞こえないと、本心が分からない。

この人達は何を考えてるのか、何を言っているのか、分からない。

信じていた蛍ちゃんも、たっくんもなんか、信じれない。

信じるのが怖くて、嫌で···苦しい。

いやだ。

こわい。

こわいよ、っ。

いつから俺は、自分の能力を頼りに逃げてたんだろう。

突然、見えなくなると見えてる時より怖くて、何を考えてるのか想像がつかなくなる。

見えてた時は、そんなこと考えなくても良かった。

真実が見えてたから。

なんで急に？

なんで見えなくなったの？

見えないと、怖いんだ。

信用してた人が、突然裏切る···。

そんなのは、俺、嫌だからっ。

だから···早く、見えてる時戻してよ。

おねがい、···。

この約束···守れそうにないや。

早く帰らなきゃ。

またアイツが来ちゃう。

早く。

ﾋﾞﾘﾋﾞﾘｯ

ﾄﾞｻｯ

ﾊﾟﾁｯ

ここは、どこ？

なにか、当てられた感覚がした···。

ぁれ、？ここ、見覚えある。

もし、かしてっ。

ｸﾞｲｯ

ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ

腕を上げようとした。

でも、腕には鎖が繋いであった。

もちろん、足にも。

これじゃ、逃げれない。

だって、ここはあいつの部屋なんだもん。

ぁ、嫌だ。

いやだ、いやだ。

いつもなら···コイツの心の中が見えてたはずなのに。

次何をされるのかとか、何をするのかとか、分かってたのに。

なんで、見えないの？

されるの、怖い。

見えないまま、されるのはっ。

それから俺は、モブ男にお仕置きとやらをされた。

尿道を塞がれたり、イくのを止められたり、玩具で尻や乳首、ち〇こを苛められたりした。

気持ち悪くて···でも、気持ちよくて。

身体がどんどんおかしくなる。

俺は、今何をしてるんだろうって、確認しちゃう。

今、何時なんだろうって。

ぉれは···いつ帰れるんだろう、って。

痛い。

痛い。

痛い。

吐きたい。

でも吐いたら叩かれる。

カッターで、身体に傷を付けていく。

太ももの裏に【正】という文字。

これは俺がイッた回数だと。

【肉便器】という文字も、今後みんなの相手をするため···らしい。

【俺の】とも書いてある。

【中出しOK】【変態】【メスイキ】【クズ】【1回1万円】とも。

これも、これもこれも···全部今後の為に傷を付ける。

俺が、他の相手にヤるため。

襲われるため。

イかされるため。

痛いのなんてもう、しない。

涙も出てこない。

ただ、精液が出てくるだけ···。

感じたくないのに、感じるだけ···。

ただ···コイツの相手を、するだけ···なんだ。

従わなきゃ···この後が、怖い。

従わなきゃ···家に、帰れない。

した、が、なきゃ···。

次の日。

モブ男は俺をリビングから寝室に鎖を繋ぎ直した。

そんな人達と相手をするんだろうか。

ぁあ···はやくかえりたい。

なんにん、だろう。

あまり、みえないや。

ぼやけてる。

まぁ、どうでもいいや。

はやくおわればいいんだから。

も、むり。

きもちわるい。

こんな、おっさんのち〇こをハメられてはイッて。

コイツらはカッターなんか使わない。

油性ペンでイッた回数やなんかの文字を書いていく。

1文字ずつ、ゆっくりと。

なにをかいたんだろう。

ふろ、はいりたい。

そういえば···ずっとセ〇クスばっかでご飯食べてないんだった。

今何時だろう。

何日経ったんだろう。

父さんたちどうしてるかな···？

蛍ちゃん、楽しく過ごしてるかな。

みんな、バレー頑張ってるかな···？

俺のこと···忘れてくれてるかな、？

忘れてて欲しい。

おれのことなんか···わすれて、げんきにすごしてもらえれば、それでいい。

おれは、みんなのために···ここにいるんだから。

おれは、しぬまで···ずっとここにいなきゃいけない。

けいちゃん···にあたらしい、こいびとが···できてますように。

かみさま···おれの、ねがいはこれだけ、です。

きっと、ぉれはみずからしんじゃうから···。