君と最後のダンスを

出来るわけが無い

ただでさえ 寿命が短くなったのに

これよりさらに 短くさせる訳には行かない

だから僕は

他の言い訳を作った

だけど君は

勢いよく 点滴針を抜いて

明らかに痛そうにしている

腕からは少量の血も出ている

そっか

君はそんな人だったね

僕は 君の 頼み事に弱いんだぁ、笑

君はいつも通り 少し悪い顔をして僕の手を引いた

やっぱり君は 今日も可愛い

でもきっと 二度と見れなくなる日が来る

そう考えたら嫌だけど

でも今楽しまないと もう楽しめないから、 僕は全力で楽しんでやる

とても楽しそうに踊る君

それを見て つい笑ってしまった僕

そう思った

けど

君の残り時間はもう少ない

今こうやって踊ってる瞬間も どんどん動きが鈍っていく

少し踊っただけで息が切れている

そして

君の僕の手を握る力が どんどん弱くなっていく

顔色だって 表情だって 足取りだって

全部がおかしい

君は急に笑ったと思えば

こう言い放った

君は いつも通りのセリフで眠ったんだ

永遠に

だから僕も いつも通りのセリフで 言ってやる

君が僕の呼び掛けに応えることは もう二度とない

それでも僕は 黄くんがいる明日を

待ち続けるよ

僕は もう握り返すことの無い 君の手を強く握って

謝った

僕は 貴方に 二度と届くことの無い声で

謝罪と希望を託して 僕は

触れることの出来ない貴方に 手を伸ばした

本当に ごめんなさい。

君と最後のダンスを

〜完〜