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#ジェダイフォールンオーダー
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喋るおにぎり🍙
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白い壁に囲まれた、冷たい研究施設 そこに、一人の少女がいた 灰色の髪に、青い瞳。身体にはいくつもの包帯が巻かれ、表情には感情らしいものがほとんど浮かんでいない 少女には、名前がなかった あるのは、たった一つの番号だけ
研究員
No.017
少女は静かに立ち上がった 嫌だと言ったことはない。逃げようとしたこともない。自分の気持ちを口にしたところで、何も変わらないと知っていたから 少女にとって、自分の意思を持つことは必要のないことだった
――そう、思っていた
その日、施設の外へ出た少女は、初めて自由な空気を吸った けれど、どこへ行けばいいのかも、何をすればいいのかもわからない ただ、施設から遠ざかるように歩き続けた
やがて、少女の足が止まった
No.017
返事をする人はいない 少女は俯き、自分の袖をぎゅっと握りしめた そのときだった
雨瀬 翠
聞き慣れない声に、少女の肩がびくりと震えた 顔を上げると、そこには緑色の髪をした少年が立っていた 少年は少女の姿を見て驚いたものの、無理に近づこうとはしなかった
No.017
雨瀬 翠
少年は素直に足を止めた 怒鳴ることも、無理やり連れていこうとすることもない 少女は困惑したように少年を見つめた
No.017
雨瀬 翠
No.017
雨瀬 翠
あまりにも当たり前のように返された言葉 少女には、その意味がすぐには理解できなかった
No.017
雨瀬 翠
少女は黙り込んだ そんなことを言われたのは、初めてだった しばらくして、少年はそっと微笑んだ
雨瀬 翠
No.017
雨瀬 翠
No.017
少女は小さく首を横に振った
No.017
雨瀬 翠
No.017
少女は、それが当然のことだと言うように答えた けれど、翠は悲しそうな顔をするでもなく、怒るでもなく、静かに少女を見つめた
雨瀬 翠
No.017
雨瀬 翠
少女は目を見開いた 自分のための名前 そんなものが、自分にも与えられるのだろうか 翠は少し考えてから、優しく口を開いた
雨瀬 翠
No.017
雨瀬 翠
少女は、何度もその名前を心の中で繰り返した 初めて、自分のために与えられた言葉 番号ではない、自分だけの呼び名
No.017
雨瀬 翠
少女は俯いた 袖を握る手に、少しだけ力がこもる
シオン
雨瀬 翠
シオン
雨瀬 翠
その言葉に、シオンは何も返せなかった ただ、胸の奥に生まれた小さな感情を、どう扱えばいいのかわからなかった 嬉しいのか、悲しいのか、それすらもわからない それでも
シオン
消え入りそうな声で、少女は初めて感謝を口にした 翠は微笑み、シオンに手を差し出した
雨瀬 翠
シオン
雨瀬 翠
シオンは差し出された手を見つめた すぐには触れられなかった けれど、少しだけ迷ったあと、その手にそっと自分の手を重ねた
シオン
その日、No.017は名前をもらった まだ、自分が何者なのかもわからない 誰かを信じることも、自分の気持ちを伝えることも、知らないまま それでも、少女は一歩を踏み出した
これは、名前のなかった少女が、初めて自分の人生を歩き始める物語
そして――シオンと呼ばれた、その日から始まる物語
コメント
1件
寺島あおいです🌷 「No.017」から「シオン」へ——たった一つの名前をもらうだけで、これほど胸がぎゅっとなる場面になるんだなあと感動しました。翠くんが「嫌なことは無理にしなくていいんだよ」と距離を保ったまま手を差し出した優しさが、シオンの「初めてのありがとう」にじんと響きます。冷たい施設から一歩踏み出したこの瞬間、本当に大切に描かれていて素敵でした。続きが待ち遠しいです🤍