叶
嘔吐物の匂いが鼻をつき、 ざらざらと舌の上を落ちていく。
しばらく何も入れていない胃の空洞がよじれて、
痛んだ。
すっぱい匂いがする。
これは、胃液だろうか。
叶
叶
苦しい。
うまく吐き出せなくて窒息しているわけでもない。
それなのに、
苦しくてたまらなかった。
見開いた目の縁に、熱いものが滲んだ。
叶
涙が溢れてきて、
うずくまって泣いた。
葛葉に憧れて
肩を並べたいと思うあまり、
自分を見失ってしまう。
そうやって何かに強く突き動かされる力に、
気付かないうちに足元が崩れていく。
ついていきたい、
肩を並べて生きたい。
それでも、
あんな小さな言葉に刺されて、 苦しんでいる自分がいた。
ガチャッ
玄関の方から音がした。
叶
足音がする。
鍵を閉めておいた記憶がない。
直感で悟った。
あぁ、終った。
…やだ
怖い、来ないでほしい。
葛葉、
叶
叶っ…!!
叶
叶
命拾いした、安堵の気持ち。
来たのが、アンチならよかった
と、思う気持ち。
2つとが混ざり合って、
喉の辺りを締め付ける。
声が出ない。
もしかしたら、僕の幻聴かもしれない。
そうであってほしいという気持ちが、
今のように聞こえさせたのかも__。
叶
気づけば、声が出ていた。
葛葉なら、 この息苦しさから救けてくれるかもしれない。
葛葉
ドアが開く。
あぁ、
見られてしまった。
「人間のヤワじゃないところ、教えてやる」
いつかの配信で約束したのにな。
叶
目が滲んで、よく見えない。
葛葉
葛葉
叶
なんだ、
葛葉の方が焦っている。
叶
叶
そういうところがかわいいんだよ、
お前は。
葛葉
叶をベッドに寝かせてから、 葛葉が言ったのはこれだった。
さすがに僕も笑った。
仕事もあるだろうに。
どうやら荷物も持ってきていたらしい。
コンビニで色々買ってきたから
とりあえずなんか食え
そう言って葛葉が温めてくれたお粥は、
久しぶりにちゃんと、
味を感じた。
昨日まであんなに寂しかった___
___怖かった夜は、
葛葉がいるという事実だけで僕を安心させた。
葛葉
叶
叶
葛葉
葛葉
あと、___。
明日、全部吐けよ。
あったこと。
はいはい。
言われなくても全部話しますよ、葛葉には。
叶
聞こえなかった、フリをした。
コメント
3件
みんな…いいね連打おつかれ^
スゥ........尊い(尊死)
書くのおつかれ!!