救った人（かげよこ）

僕は弱かった

そしてずっと苦しかった

1番仲良いと思っていた

こいつなら信じ合えていると、

ずっと大切なお友達だと思っていた

涙を流している俺の“友達だと思っていた”人にバケツで水を被せらせた

苦しそうな顔から少し安心したような顔に変わったのが手に取るように分かった

結局は、弱い人は強い人には逆らえない

友情なんて脆くてしょうもないものだ

あの子はもう俺の目は見てくれなかった

風が冷たい季節に冷水を被せられて俺は震えていた

でも多分、ずっと震えている

またこの夢か、

高校1年生 4月

高校生活

俺は充実していた

自分なりに楽しんでいた

笑って前を見ていなかったら

ドン

誰かとぶつかって教科書を落としてしまった

驚いた顔と少し手が震えていた

身長は俺と同じぐらいだろうか

教科書を拾って、彼も拾ってくれた

俺の教科書を見て時間が止まったように固まっていた

拾ってくれた教科書を落とし

俺の肩を掴んできた

目が赤くなっていた

俺、この人と知り会いだっけ、、？

驚いて声が小さくなってしまった

何故か俺の小学校を知られていた

分からない

知らない

誰だ、？

そう思っていると我に返ったように

何故か凄く謝られた

“よこ”とは、この人のことだろうか

そういって素早く去っていった

俺は頭が整理できないまま大河の話を聞いた

話を聞いても“横原”という人間は俺の人生で関わった記憶がなかった

次、会った時に聞いてみるか

そう思った

てゆうか、、

横原って人、

めっっっちゃ

かっこよかったな〜！！！！

どタイプなんだけど！！！！

なにあのかっこよすぎる造形、、

いや、ほんと惚れそうになった、、

てかもうこれは好き、？

いやいやいやいや

流石にそれは早すぎるか？？

俺、影山拓也は

恋愛対象が男

つまりゲイだ

気づいたのは小学2年生

そして普通じゃないと気づいたのも小学2年生だった

“たくやくんおかしいよ”

俺は、おかしいんだ、

普通じゃないんだ

そうして俺の初恋は

散るどころか

踏みにじられ

俺の心はぐしゃぐしゃになった

その日は涙が止まらなかった

自分が分からなくなった

学校では

分かりやすく避けられた

直接的なことはされなかったけど

ずっとどこかで笑われているような気がして

居心地が悪かった

気づけば朝になることに怯えていた

学校が怖かった

3年生にあがるころには

みんな飽きたのかそんなことはなくなってみんな普段通り接してくれていた

毎日怖かったけど、負けたくなくて休まず行った

俺は頭が悪かったけどこれ以上ここに居たくないと思い

中学受験をし、幕を閉じた

中学でも好きな人はできた

だけど、一切想いなんか伝えなかった

同じことを起こすなんてごめんだ

そう、俺は上手く高校生活を送れている