TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

軽めの 鬱表現、暴力表現があります。 苦手な方はご注意ください。

(※1、2ヶ月でボブからロングになってますが、 気にしないでください……めっちゃミスってました……)

3タップ後に本編が始まります。

________________

ある、晴れた日のことだった。

その日は、母と父の結婚記念日。 夫婦水入らずで、温泉に行く筈だった。

私達三姉妹は、朝、 両親を見送って。

いつもの通りの、本当にいつも通りの まさかあんな事が起こるなんて思わずに、それぞれ好きな事をして過ごしていた。

だから

「両親が交通事故で死んだ」と言われて、 すぐに飲み込む事なんて出来なかった。

私も、真希も、真夏も 呆然と、両親の写真を見つめていた。

ただ、ずっと、呆然と。

天童夏希

……信じられない…わよね。

天童夏希

本当の本当に、
…………死んだのね。

葬式や諸々の手続きが終わった、数日後。

私達三姉妹は、 両親の部屋で遺品の整理をしていた。

天童夏希

私……
今でも信じられないわ。

天童夏希

……信じられない。

仲睦まじい両親の写真。 結婚記念日に全員で贈った小さなアルバム。 母がずっと大事にしていた可愛いぬいぐるみ。父が愛おしそうに見つめていたぼろぼろのハンカチ。

母と父の笑顔が蘇るたび、 涙がこぼれ落ちそうになる。

天童真夏

……ひっ…うっ…おかぁさん…おかぁさぁん……。

天童真希

ま、まなっちゃん、泣かないでよ……。

真夏は中学生、真希だって、まだ高校生だ。幼い彼女らが経験するには、両親の死は早すぎた。 大粒の涙を流す彼女らは、痛々しかった。

優しい母と頼れる父が居ない今、長女の私が二人を支えなくてはいけない。 両親が死んだ時、そう、心に決めていた。

……いつもだったら、そうだった。いつもだったら優しく傍にいて、頭を撫でてやれていた。

天童真夏

もうやだ……
もうやだよぉ……!

……その時も、 その時も私が支えなくてはいけなかった。

でも

天童夏希

……真夏……、もういい加減、泣くのはやめて。

天童真夏

……、お姉?

天童夏希

泣いても、二人は帰ってこないのよ。みっともなく泣いて、恥ずかしいわ。

天童夏希

二人だって、
天国で、私達に笑顔居てほしいって思っ___、

天童真希

__有り得ない!!

……限界だった。

私だって、成人したばかりの大学生だ。 まだまだ子供でいたかったし、もう少し、そういれると思っていた。

その考えが、駄目だった。

天童真希

……何がみっともなく泣いて、だよ……、
何が恥ずかしいだよ……!

天童真希

お母さんとお父さんが、急に死んじゃったんだよ!?

天童真希

まだ中学生なのに!一番大切な時期なのに!

天童真希

お姉はいいよね、成人済みだから、ある程度の事は自分で出来るじゃん。

天童真希

でも、私とまなっちゃんはまだ未成年なの!大人に守ってもらう年なの!

天童真夏

それなのに、急に死んじゃってさ!ろくにお別れも言えないまま!

 

天童真希

………お姉が……お姉が守ってくれなかったら、

天童真希

私達、死んじゃうよ……。

天童夏希

………!

まだ幼い彼女らの、地雷を踏んだ。

守るべき彼女らの心を傷付け、苦しめた。

本当なら、真希の言葉で気付くべきだった。 それなのに、その時の私はまた、失敗した。

天童夏希

そんな事言ったって…!
仕方ないでしょ!?

天童夏希

ウジウジ泣かれてさあ!まるで自分一人だけが苦しいみたいな顔して!

天童夏希

二人とも、
未成年だとか成人済みだとか言うけど!

天童夏希

私だって、
私だってねぇ……!

罵った。 二人に、思いっきり言葉をぶつけた。

それだけでは済まなかった。

怒鳴られて、泣き喚く真夏をぶった。 泣きながら怒る真希を押し倒した。

止まらなかった。止められなかった。 止めようとすら、思えなかった。

私は、何度も、失敗した。

___その後……

騒ぎを聞き付け駆け付けてくれた近所の人に、私は取り押さえられ、

暴力を振るった長女から遠ざけるために、真希と真夏は、祖父母の家に住む事になった。

母と父が残し、愛したこの家は

私一人のものとなった。

私は、本当に、一人になった。

ジリリリリリリリ

天童夏希

…………………。

天童夏希

あーーー……
最ッ悪な目覚めね……。

それから、1ヶ月半ほど経って、 今こうしてぼんやりと天井を眺めているのが 私、天童夏希(てんどうなつき)だ。

いや……半年ぐらい経っていたっけ? あれからずっと外に出ていなかったから、時間の流れがよく分からない。

とにかく、現在時刻が分からなくなるぐらいには、長い日が経った…気がする。

天童夏希

……あー、カップラーメン残ってたかしら。

天童夏希

(……両親が死んだ直後は、いつも二人にご飯頼りっぱだったから………。)

天童夏希

(いなくなると……こうも、苦労するのね。)

妹の真希と真夏が、今、どんな風に生活しているのか、私は何も知らない。

一応、スマホに連絡は入っているみたいだが、どうにも見る気力が出ず、そのまま放置を貫いている。

天童夏希

……………………。

天童夏希

……お腹すいたわね……。

天童夏希

今何時かしら……。動くの、面倒臭いなあ……。

天童夏希

はぁ……いっそ
二度寝しちゃ___、

ピーンポーン

天童夏希

わ、わぁ!?

天童夏希

な、何よバカッ!こんな夜に、誰が………。

天童夏希

(………まさか……
あの二人?私が全然既読を付けないから、様子を見に来たの?)

天童夏希

………………………。

天童夏希

………仕方ないわね、出てあげるわよ、全くもう……

天童夏希

___はーい……

天童夏希

………こんな深夜に、何の用ですか?

天童夏希

(あ、しまった、
ドアスコープ、覗いときゃ良かった…!)

天童夏希

(ムシャクシャして開けちゃったけど、ヤバい人だったら、私___。)

***

……お邪魔します

天童夏希

……は?

【中編に続く】

この作品はいかがでしたか?

151

コメント

35

ユーザー

ぁあかなり感情移入してしまった…!!表現が毎回上手すぎて感情移入しちゃう…夏希ちゃんのアイコンのお顔が変わってることに一瞬で気づきました!!可愛い!努力が伝わります…良…!!親が亡くなってしまうだけでこんな家庭って崩れるんですね…恐ろしい…続き楽しみにしてます!!

ユーザー

この2人の共通点って、きょうだいがいることによる苦しみなんですよね。うん、最高

ユーザー

誕生日に何てもん更新してるんだ😷 思ってたより追い詰められてて驚き 家庭は大切だね

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚