時計塔の針が空を指す頃─。
青架
叶冬
天音
優
青架
悧雄
はぁ、と悧雄が眉間に皺を寄せながら一つ息を吐いた。
青架
あれは何かあったな。
青架
悧雄
青架
青架
悧雄
青架
青架
すると、一層険しい顔になり、目を閉じた。
叶冬
天音
優
口々に言いたい放題の彼らだが、ただじっ、と悧雄の言葉を待った。
数分後、彼が重い口を開く。
悧雄
青架
青架
悧雄
青架
悧雄
そう問いかけると一層顔をしかめた。
悧雄
青架
悧雄
霊神
優
護衛としてついてきたのは良いものの、空気わっる〜……。
混彁
榴廻
あの子達が唯一の癒しだな…。
周りの空気に合わせてだろうか、コソコソと内緒話のように声を潜めて会話をしている。 その度にくすくすと喉の奥で笑ってみせた。
やっぱり魔族だって言っても、まだ子供なんだな。
そんなことをぼーっと考えていると、がくっという衝撃が襲った。咄嗟に青架が鞘に、優が立てかけていた鎌に手をかける。
無愛想なお爺さん
……乱暴な止め方だな。
青架
先に馬車を降りた青架が手綱を握る男に言った。すると、後から降りてきた彼らを一瞥して、
無愛想なお爺さん
嫌味ったらしいな。
しかし、そんなことは心底興味がなさそうに霊神はスタスタと先を行く。彼女たちも気にもとめていないようだ。彼の後について歩いている。
青架
相手にするだけ無駄だな、こりゃ。
早々に会話を打ち切り、悧雄の後ろへとつく。
青架
悧雄
青架
優
青架
優
青架
優
そもそも、あんだけ強くなきゃここまでやってけてないか。
時期、霊神たちに追いついた悧雄が仮面を手渡した。
悧雄
霊神
これはいわゆる仮面舞踏会。素顔を隠し、一夜限りの夢に浸る場所。その中で、興味本位で霊神たちの姿を拝みたいという奴らが集まり開催された。いわばここは見せ物小屋だ。
他人を嘲笑って何が楽しいんだが。
悧雄
青架
優
1歩、彼らが足を踏み入れると喧騒に包まれていた群衆が静まり返る。一斉に皆の目線が霊神たちに注がれた。
その中で、一際豪勢な衣装に身を包んだ男が歩み寄ってくる。
王様
悧雄
王様
じっ、と遠慮もなく霊神たちを舐め回すように見た。
王妃
そりゃぁ、魔王はもともとあの姿のままだし、2人は擬態してるからな。
霊神
王妃
どこぞの令嬢のようにスカートの裾を摘み、深々と頭を下げた。
そんなこともできるのか…。
先ほどの無邪気さが感じれられないほど、その立ち姿は凛として目の前の彼らを見据えていた。
霊神
王様
霊神
王妃
霊神
王妃
少し力のこもった言葉に王妃が押し黙った。踏み込んではいけない領域だと判断したのだろう。
王様
霊神
あの冷淡な声質と仮面が相まって更に怖く見えるな…。
悧雄
悧雄
青架
優
青架
混彁
榴廻
2人が元気よく返事をした。
霊神
混彁
榴廻
青架
混彁
榴廻
青架
きゃっきゃ、きゃっきゃと、ごく『普通』の女の子に挟まれた青架が雑多へと姿を消した。
優
悧雄君、上手く分けたな。
あぁ見えて、青架のやつ以外に人気者だからな。悧雄君はこの通り、モテる容姿だし。魔王様は別の意味で注目を集めてるし。
悧雄
霊神
優
悧雄
優
しばらく歩みを進め、ある一角のテーブルへと辿り着く。そこには先ほどの男と、目が痛くなるほど絢爛豪華な衣装を身に纏った者共が大勢集まっていた。
優は適度な距離を保ちつつ、いつでも飛び出せるよう臨戦体制に入る。
悧雄
王様
悧雄
王妃
霊神
流石にそこまで馬鹿ではない。この舞踏会が自分たちの『ため』だけに用意された場だというくらいは理解しているようだ。
卑しい目を向けられるのは自身だけでいいということだろう。口外しなければあの2人はただの女の子にすぎない。誰も魔族だとは分かるまい。
王妃
王妃がぎこちなく笑った。最初の1件で少々霊神に苦手意識を抱いているのだろう。
王様
重い空気の中、男が咳払いをし注目を集める。
王様
悧雄
霊神
王妃
王妃
悧雄
霊神
優
悧雄君たちが1番空気読めてねぇ……。
王様
王様
合図すると後ろから顔を出したのは、まだ幼子の顔を纏った少女2人だった。先ほどの彼女たちと同じように、深々と腰を下げる。
ディアナ
メル
王様
王様
悧雄
霊神
断り続ける彼らの言葉を無視し、半ば強引に彼女たちが2人の手を取った。
ディアナ
メル
珍しい、2人が押されてる。
悧雄
霊神
ここで断っては難癖をつけられかねない。渋々と言った感じで2人が重い足取りで広場へと消えた。 あちら側からしたら自分たちの娘を良く見せたいだけなのだろう。
優
グラスを持ち、バレない距離から悧雄たちを。そして、王の動向を見守る。
……。見惚れてばっかで誰も踊ってないじゃん。まぁ、確かにさっき王妃が言ってたことには間違いないんだろうけど。
広場へと出て、踊り始めてから数秒で全群衆の目線を奪っているのは間違いなかった。そこの空間だけ異彩を放っているようだ。
口々に感嘆の声が漏れ始める。 すると、どこからかこの場には似つかわしくない歓声が聞こえた。
優
優
2階のフロアを覗き込むと、青架と混彁、榴廻が何やら能力を使った『遊び』をしているようだ。
優
優
優
……?
ふと、目線を戻すと王と王妃の姿が見当たらないことに気がつく。
どこに消えた…?
キョロキョロと辺りを見渡すと、オープンウィンドウが微かに開いているのが見えた。ゆっくりと近づくと、誰かの話し声が聞こえる。
はっきりとは聞こえないものの、こそこそと隠れていると言うことはやましい何かがあるのだろう。
優
声が聞こえなくなった。 ……やっべ。
すると、足音がこちらに近づいてきてるではないか。慌てて周りに紛れ、その場をやり過ごす。
……行ったか? やっぱりあいつらだったよな。少し、雲行きが怪しくなってきたな。
優もそれとなくその場を離れ、元の持ち場に戻る。すると、ちょうど悧雄たちも帰ってきたようだ。飲み物をもらうふりをして、そっと耳打ちをした。
優
悧雄
霊神
霊神は静かに目を伏せた。
優
そのとき、一際大きく耳を劈くような爆発音が鳴り響く。
コメント
2件
めっちゃストーリー作るの上手い(´ڡ`❤)