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夜の街はすっかり静まり返り、遠くで車のエンジン音が聞こえるだけだった。 なぎぃむの部屋は薄暗く、パソコンの画面だけが淡く光を放っていた。 その光の中で、過去と今を行き来しながら、心の中で何度も問いかけていた。
なぎぃむ。
回想:最後に会った日の屋上
夕焼けに染まる校舎の屋上。 風は穏やかで、少し冷たかった。 なぎぃむはポケットの中でスマホを握りしめながら、ノアに向かって声を震わせていた。
なぎぃむ。
ノアは笑顔でうなずき、イヤホンを差し出した。
のあ
その言葉に、なぎぃむは胸が熱くなった。 自分の歌が誰かの心に響いていると初めて感じた瞬間だった。
現実
あの日から何週間も経った今、ノアの姿はもうどこにもない。 電話もメッセージも返ってこない。 なぎぃむは夜な夜な、彼の名前をつぶやきながら、ひとり部屋で歌い続けていた。
なぎぃむ。
ファンC
なぎぃむ。
ファンD
なぎぃむ。
なぎぃむは深く息を吸い込み、マイクの前に座った。 夜の静けさが、彼の心の孤独をさらに強調する。
「届かないかもしれない。それでも歌う意味は何だろう?」 彼は自問自答した。 けれど、ノアがいたあの日々を思い出すたび、歌う力がわいてきた。
なぎぃむ。
マイクに向かって、なぎぃむは静かに歌い始めた。 その歌声は、悲しみの中にも強さを秘めていた。
外では風が少し強くなり、カーテンが揺れた。 けれど、なぎぃむの部屋には確かな光が灯っているように感じられた。
つづく。