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朝の校門前は、いつも騒がしい
その中心にいるのがヤンキーで有名なα
制服は着崩し、鋭い目つき...先生に目をつけられても気にしない
だから周りは、少しづつ距離を取る
近づかない方がいい
それがこの学校の暗黙の了解だった
一方、僕は普通のΩ
成績も平均、目立つこともない
ただ、Ωを隠すために毎日きちんと抑制剤を使い...静かに学校生活を送っている
その日、廊下で事故が起きた
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僕が角を曲がった瞬間、誰かとぶつかった...教科書が床に散らばってしまった
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...顔を上げた瞬間、息が詰まった
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この人、ヤンキーで有名なαじゃん
名前は確か、いふ...だっけ
至近距離で見るいふくんは噂以上に迫力があった
α特有の存在感に心臓が嫌な音を立てる
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僕が答えに詰まっていると、いふくんは無言でしゃがみ散らばった教科書を拾い始めた
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差し出された教科書...乱暴な見た目に反して動きは意外と丁寧だった
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それだけ言って去っていった
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その日から少し、僕はいふくんが気になり始めていた
数日後
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昼放課の教室で抑制剤を切らしてしまったことに気づく
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発情期が近いし、今日は早く帰ったほうが良さそう
そう焦っていた時、教室のドアが勢いよく開いた
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入って来たのはいふくんだった、みんな逃げるかのように距離を取り始めた
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いふくんは僕から数歩下がって真っ正面向き合わないように窓の方へ顔を向けていた
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図星を突かれて、また僕は言葉が詰まった
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乱暴な言い方なのに、距離は遠い
その背中が、妙に頼もしく見えたのは気のせいであってほしい
先生
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そう言ってまた彼は何処かに行ってしまった
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昼休みが終わるチャイムが鳴り、教室が一気にざわつく
僕は慌てて立ち上がり、机の中に教科書を押し込んだ
その背中を少し離れた席からαが眺めているのも知らずに...
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あいつがΩと知ってしまってから頭から離れなくなっていた
無理に近づけば、怯えさせる。ヤンキーでα、それだけで距離を取られる理由は十分だ
放課後、教室を出ようとした瞬間。後ろから低い声がかかった
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なんだろう...どうにかして逃げ出したい
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素っ気ない言い方、でもこの距離感も居心地が悪いわけではない
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そこから数日、いふくんと少しだけ話すようになった
今日も....って思ったけど、そうもいかないみたいだ
その日の放課後、僕は1人で帰る準備をしていた
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体が重い、熱があるってわけじゃないのに頭がぼんやりする
...そろそろか
カレンダーを見なくてもわかる
Ωがとして、何度も経験して来たあの前触れ
抑制剤はまだ効いてる、でも...まだ完全に安心できるほどじゃない
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廊下の端にいふくんが立っていた、偶然を装っているのかタイミングが良すぎる
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少し警戒しながらも、いふくんは一歩近づいてすぐに止まった
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嘘ではない。ただ、全部話すほど...いふくんを信用しているわけではない
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それ以上、踏み込んでこない...近づきもしない
廊下の端に立ったまま、道を塞ぐような位置取りだけは崩さなかった
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近づけば守りたくなる。守りたくなれば欲が出る
だから今は....これでいい
俺たちは"運命"の番同士だってことは忘れて
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プチプチッ..
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次回♡500以上