2人が歩き、その場に着いた時
リルは背筋が凍る様な感覚がし、
シルトは先程の様な
恨みの籠った目を、目の前の男に向ける
?
……おー………これは綺麗だなぁ……火属性のクリスタルか………

?
中々に良いものを持ってきた様だ……

?
いい仕事をしてくれたねぇ、ホブゴブリン♪〔と、死体となって動かない、自信が踏み付けているホブゴブリンを足で撫でる様に表面を擦って〕

シルト・アルフ
な………っ!?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
モンスターの、死体……!?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
(嘘だろ………今まで通りならモンスターは狩った後粒子になって消える筈だ……)

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
(なのになんで…………)

シルト・アルフ
お前………

シルト・アルフ
何故、"伝説の剣"を所持している……っ!!

?
………………………ん?

?
……あぁなんだ、人来てたの〔と今まで気付かなかったかの様に言い、2人の方を向いて〕

シルト・アルフ
っ………まるで、気付いて無かったかの様な反応をするんだな………

シルト・アルフ
お前程の魔族なら、探知魔術を使えば1発で分かっただろう……?

?
探知魔術?……あ〜………そう言えばそんなのあったねぇ………

?
ごめんごめん、使い方忘れちゃってたから…

?
君達の存在に1ミリも気付けなかったよ〜〔ヘラヘラと笑いながら〕

?
………………ん?〔リルを見て〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
っ!!

?
………ふーん?〔ニヤッと笑い、手を翳す〕

?
_______

この世の言語とは思えない言葉で
何かを言うと、
リルが男の前に瞬間移動し
2人
っ!?

?
よっと……〔リルの身体を掴み、マジマジと見て〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
……………っ、離せっ!〔男を突き飛ばし、直ぐさま離れ〕

?
うわわっ……と………可愛い顔に似合わず暴力的だねぇ〜君ぃ〔あはは、と笑い〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
…生憎、抱き着かれんのは嫌いでね………

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
腕を回される感覚が気持ち悪いんだわ……〔と適当な理由を付け〕

?
ふーん?それは失敬したね

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
……………(……俺、ああ言うタイプ嫌いだわ………)〔そう思い嫌な顔をしながら、シルトの所まで戻って〕

シルト・アルフ
リルさん…大丈夫でしたか……?〔本気で心配して〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
へーきへーき、唯ガン見されただけだしな……

?
いやぁしかし、面白い事になってるね〜……少し興味が沸いちゃったよ………

?
……名前は?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
人に聞く前に、お前から名乗ったらどうだ?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
礼儀ってもん弁えねぇ奴、俺ぁ好かねぇな

?
あー………それもそうだね、じゃぁ名乗ってあげよう

サノバ
僕は「サノバ」、そこのエルフから聞いてるだろうけど、魔族………

サノバ
つまり君達から忌み嫌われる存在だよ、宜しくね

サノバ
…さて、名乗ったよ……それじゃぁ君の名前を聞こうか………

サノバ
しっかり……"本名を"…ね?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
っ!〔目を見開き〕(此奴、俺のこの肉体の事知って……っ!?)

シルト・アルフ
リルさん、あんな奴に無理して名乗らなくて結構です〔杖をリルの前に、遮る様にして出し〕

シルト・アルフ
汚物の結晶と、貴方が話す必要は無いのですから

サノバ
え〜、普通に酷くなぁい?

サノバ
それに今、エルフの君じゃなく其処のオッドアイの子と話してるんだけど〜?

シルト・アルフ
黙れ、世界の汚点

シルト・アルフ
お前にリルさんと喋る権利は何処にも無い

シルト・アルフ
潔く、私に殺されろ……〔杖を構え〕

サノバ
うわー……マジギレしてるよこのエルフ…………怖いわぁ

サノバ
……生憎僕も、今この場で死ぬつもりは無いんだよね〜………

サノバ
…って事で!代わりにこの子に相手させよう

とサノバが言うと、
今までサノバの足場となっていた
ホブゴブリンから
魔法陣の様な紋様が出てきて、光り出し
サノバ
…"怒り、憎しみ、恨み……その全てを今此処で解放させる事を誓い………

サノバ
この場にて供物を捧げ、顕現せよ"

サノバは詠唱を終えると、
火属性のクリスタルを持った儘
何処かへと消え
魔法陣は強く光り、
ホブゴブリンの死体はグズグズに崩れ、
新しい肉体を形成し始める
リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
な、なんだ……!?

シルト・アルフ
……!まさか彼奴…………

シルト・アルフ
この為だけにホブゴブリンの死体を残していたと言うのか………っ!!〔ギリィ、と下唇を血が出るまで噛み〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
お、おいシルト!一体何が起こってんだ!?

シルト・アルフ
召喚です!

シルト・アルフ
サノバと名乗った魔族は、ホブゴブリンの死体を利用し…

シルト・アルフ
何らかの魔物を召喚してるんです!

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
召喚魔術なんて存在すんのかよっ!

シルト・アルフ
しますよ!どれだけ無知なんですかっ!!

シルト・アルフ
兎に角今は撤退して、ギルドの方に報告を…___

背中を向け、逃げようとしていた2人の後ろの光が収まり……
それを不思議に思った2人は
振り返ると…………
猫?
みゃー

2人
・・・は?

シルト・アルフ
え、えぇ?……猫?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
可愛いーーーーっ!!!〔目を輝かせ〕

猫?
んにゃぁ〜

シルト・アルフ
一寸リルさん、何を言って……

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
だって猫だぞ!?猫なんだぞ!?猫様なんだぞ!?!?

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
興奮しない訳ないじゃないか!!

シルト・アルフ
は、はぁ………そんなに好きなんですか?猫

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
猫"様"な!シルト!

シルト・アルフ
……………………………〔心底面倒そうに〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
は〜、どうしたんだ〜お前ぇ〜、迷子か〜?〔とデレデレな様子で猫に近付き〕

猫?
…………………〔毛繕いをしていて〕

シルト・アルフ
全く……どうなっても知りませんよ

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
大丈夫だっての〜

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
猫は皆天使の様に可愛い心の味方なんだからな〜、あはは〜〔と更に近付いて〕

猫?
…………………………〔毛繕いが終わったのか、近付いてくるリルを見つめ〕

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
さ、此方おいで〜

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
早く此処から出してあげねぇと………〔と手を伸ばし〕

猫?
……………………………………ニヒッ〔不敵な笑みを浮かべ〕

シルト・アルフ
っ!!

リル・ラーフェ(アリル・フィラーネ)
?どうしたんだ?来ないのか____

シルト・アルフ
リルさんっ!!
