君が私を連れて逝く…
ねぇ、覚えてる?
病室の窓から差し込む夕日がやけに眩しかったあの日
ハルト
そう言ってくれたこと
みなみ
私がそう笑いながら答えたこと
真っ白な病室、腕から伸びる点滴、時間通りの薬に食事
代わり映えしない決められたことだらけの世界で、2人交わした約束だけが私たちのリアルだった
みなみ
繋いだ手の微かな温もりがハルトの生きていた証
みなみ
みなみ
みなみ
みなみ
みなみ
みなみ
静かな病室に私の声だけが響く
みなみ
みなみ
ねぇ、ハルト
私の事、ちゃんと連れて逝ってくれるんでしょう?
みなみ
みなみ
みなみ
わかってる
もう目を覚まさない事も
ハルトが私を連れて逝ってくれなかった事も
みなみ
みなみ
ハルトが生きてたこの世界で
もうちょっとだけ生きてみるよ
みなみ
ハルトがやりたかった事代わりになんて綺麗事みたいだけど
みなみ
綺麗事でもいい、それでも私はハルトを理由に生きてみることにするよ
みなみ
ハルトも闘った病気に、この心臓が勝てるかどうか分からないけど
みなみ
あのね、ハルトが迎えに来てくれた時にはちゃんと答え聞かせてね?
みなみ
繋いだ手の温もりが消えていくのを感じながら
もう答えてくれることのない唇にそっと触れる
みなみ
さよならは言わない
私は待ってるからね?
シワシワのおばあちゃんまで生きて、ハルトが迎えに来てくれる時はウェディングドレスを着よう
そして
ハルト
分かりきったハルトの返事を聞こう
それまで、ほんの少しの間
私が生きて生き抜くまでの間
待っててね
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