テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE857

第1話 - あ

2023年07月08日

#スカッと

田中俊樹

レンヤ

よぉ！

レンヤ

久しぶりだな

コゴロウ

どうしたんだよ、急に

レンヤ

いやー

レンヤ

長い間見なかった間にいい女見つけてんなぁっと思ってな

コゴロウ

は？

レンヤ

さては同じ会社に勤めててハート射抜かれたな？

コゴロウ

同じ会社？

レンヤ

行きは女に車で迎えに来てもらい

レンヤ

帰りも女に同じ車で送って貰ってる

レンヤ

随分といいご身分じゃねぇか

コゴロウ

まさか！

レンヤ

お前の家、特定完了のお知らせだ

レンヤ

久しぶりに遊ぼうぜ！

レンヤ

コゴロウ？

コゴロウ

忙しくてお前に付き合ってる暇は無いんだが？

コゴロウ

それに、今更何の用だ？

コゴロウ

もう何十年も前の話だろ？

レンヤ

俺はお前を久しぶりに見かけちまったせいで

レンヤ

あの時のイライラが再燃してんだよ！

コゴロウ

俺の知ったことじゃない

レンヤ

お前からしたらそうかもしれねぇがお前は俺の忠実な舎弟だ

レンヤ

そうである以上、俺の言うことには従ってもらう

レンヤ

だからこそ、お前が俺に黙って故郷を去った落とし前

レンヤ

ここでつけてもらおうか？

コゴロウ

俺はあの時も今もお前の舎弟じゃないが？

コゴロウ

それに、そんな暇はないって言ってるだろ！

レンヤ

ふーん

レンヤ

そこまで言うならこっちで勝手にやらせてもらうわ

〜数分後〜

コゴロウ

姉ちゃん！

コゴロウ

まずいことになった！

ラン

どうしたの？

コゴロウ

レンヤに俺と秘書くんがロックオンされた！

ラン

は？

コゴロウ

このスクリーンショット見て！

ラン

え！？

ラン

なんで？

コゴロウ

多分なんかのきっかけでこの街に来たんだとは思うんだけど

コゴロウ

あまりにもピンポイント過ぎて

ラン

参ったわね

ラン

取り敢えずヘイジさんの家に秘書さんと一緒にタクシーで向かって！

コゴロウ

なんで？

ラン

とりあえずいいから！

コゴロウ

分かった

〜数分後〜

ラン

ヘイジさん！

ラン

今から弟のコゴロウと、彼の秘書さんをそっちに向かわせるから

ヘイジ

え？

ヘイジ

俺、今日有休なんだけど？

ラン

コゴロウと秘書さんが2人でいる所をレンヤが見つけちゃったのよ

ヘイジ

は！？

ヘイジ

何十年ぶりなんだよ！？

ラン

しかもその組み合わせのせいで間違った認識しちゃってるみたい

ヘイジ

え？

ラン

もしかすると誰かからの依頼って形で仕事頼むかもしれないんだけど

ラン

詳しい話はそっちに2人が着いてからで！

ヘイジ

なるほど

ヘイジ

分かった

〜数分後〜

ラン

ヘイジさんに話通しといたから

コゴロウ

助かるよ

コゴロウ

こっちはちょうど秘書君を連れ出したところだ

ラン

なら尚更都合がいいわ

ラン

これからのこっちの動きなんだけど

ラン

裏取りのためにヘイジさんの会社にレンヤの身辺調査を依頼するか協議

ラン

レンヤが沈黙もしくは納得するまで、コゴロウと秘書さんは外出禁止

コゴロウ

出社や散歩どころか外出すら禁止！？

ラン

これから利用する隠れ家であるヘイジさん家がバレてもいいの？

コゴロウ

良くありません！

ラン

よろしい

ラン

念の為、この住所にタクシー向かわせて

ラン

尾行対策で歩くから

コゴロウ

了解

〜翌日〜

レンヤ

おやぁ？

レンヤ

今日は引きこもってるのかな？

コゴロウ

それがどうかしたのか？

コゴロウ

今日も忙しいんだけど

レンヤ

いやぁ

レンヤ

今日も仕事の途中でお前達の家の前を通り過ぎたら

レンヤ

カーテンが閉まりっぱなしだったから

レンヤ

昨日は早く帰ってきてそれっきりなのかなって

コゴロウ

どうだろうな

コゴロウ

でもなんで急に？

レンヤ

仕事でこの地域のエリアマネージャーを任される事になってな

レンヤ

それで引っ越してきたら仕事の行き帰りとかでお前と女を見かけてな

コゴロウ

ふーん

コゴロウ

でもだからって、学生時代の話を蒸し返す必要あるか？

レンヤ

俺の気分の問題だ

コゴロウ

そうか

レンヤ

まぁせいぜい俺の監視をかいくぐることだな

レンヤ

じゃないと買い物にも行けなくて、いずれ餓死するからな

コゴロウ

それはご親切にどうも

〜数日後〜

レンヤ

なかなか渋とくなったな、お前

コゴロウ

だろ？

コゴロウ

お前のねちっこさは相変わらずみたいだけど

レンヤ

え？

コゴロウ

俺達は何時まで、お前に監視されてないといけないんだ？

レンヤ

お前があの時ちょろまかした金を払うまで

コゴロウ

は？

コゴロウ

なんで？

コゴロウ

もう時効だろ！

レンヤ

俺に収められるはずだった金だろ？

レンヤ

それなら俺ルールを適用しても問題は無いはずだ！

コゴロウ

なんだよそれ？

コゴロウ

俺の物は俺の物、お前の物も俺の物、ってか？

レンヤ

何か文句でもあるのか？

コゴロウ

別に？

コゴロウ

今の俺には関係ないし？

レンヤ

とにかく！

レンヤ

お前がきちんと払うまで、俺はお前達の不定期監視を続けるからな！

〜数週間後〜

ヘイジ

ラン

ヘイジ

準備が整った

ラン

ほんと？

ラン

ならそっちに向かうわ

ヘイジ

ただ気をつけてこいよ

ヘイジ

この地域でのあの男の縄張りが広がってきてる

ラン

おっけー

ラン

変装して向かうわ

ヘイジ

合言葉は緊急コードCを利用する

ラン

コードC了解

〜数日後〜

ラン

情報提供完了したから実行していいわよ

コゴロウ

分かった

コゴロウ

あいつじゃなくても舎弟でも大丈夫そうか？

ラン

念の為本人狙いで

コゴロウ

了解

〜数時間後〜

コゴロウ

成功した

コゴロウ

ついでに近所の公園にあいつの仮拠点見つけた

ラン

なんで分かったの？

コゴロウ

外観の造りが昔と変わってなかった

ラン

なるほど

ラン

ちょうど出先だから、先方には私から伝えておくわ

コゴロウ

助かる

〜翌日〜

レンヤ

なるほど？

レンヤ

そこが今のお前らの隠れ家か

コゴロウ

それが何か？

レンヤ

隠れるの上手くなったなぁ

レンヤ

でも流石にそこまでされるのは我慢ならねぇな！

コゴロウ

え？

レンヤ

流石に年月がたってるからな

レンヤ

俺の舎弟もあの時以上にいるんだよ

レンヤ

それが何を意味するか

レンヤ

小賢しいお前なら分かるよな？

コゴロウ

残念だけどその手は通じないよ

レンヤ

え？

コゴロウ

こっちもこっちで動いてたんだけど

コゴロウ

まさかレンヤがやばめな組織のメンバーになってるとは思わなかったよ

レンヤ

は？

レンヤ

ついに頭おかしくなったか？

コゴロウ

俺はいたって正常だよ

コゴロウ

おかしいのはお前の方

コゴロウ

仕事でエリアマネージャー任されたって言ってただろ？

レンヤ

おう

コゴロウ

それがカラスマ組の事を指してたとは驚きだよ

コゴロウ

しかも与えられた舎弟を私利私欲の為に使うなんてな

レンヤ

俺が読まされてるのはお前の妄想小説かなんかか？

コゴロウ

事実じゃないのか？

レンヤ

お前の妄想小説じゃなかったら

レンヤ

どこから俺がそのカラスマ組とやらを任された話に繋がるんだ？

コゴロウ

俺の知り合いが興信所の人間でね

コゴロウ

お前の身辺調査を頼んでみたらあっさりと出てきたらしいよ

レンヤ

へ？

レンヤ

興信所って

レンヤ

探偵事務所と同義の？

コゴロウ

その興信所

レンヤ

なんでそんなとこに依頼を？

コゴロウ

お前がストーカーを再開したから

レンヤ

それだけで？

コゴロウ

俺だけじゃなくて、秘書君やラン姉ちゃんにまで

コゴロウ

被害が及んでしまう可能性が捨てきれなかったし

コゴロウ

そもそも、なんでお前が急にこの街に来た理由も気になったからな

レンヤ

え？

レンヤ

そこ気になる？

コゴロウ

そしたらあぶない情報がわんさか出てきてビビったよ

レンヤ

は？

コゴロウ

しかもお前のカラスマ組、末端も末端のゴミ箱担当らしいからな

レンヤ

え？

レンヤ

ゴミ箱担当？

コゴロウ

江戸川会の会長さんが教えてくれたよ

レンヤ

は？

コゴロウ

俺の知り合いに「エドガワ　ヘイジ」って奴がいたの覚えてるか？

レンヤ

ヘイジって

レンヤ

あの時お前たち姉弟が逃げるのを手伝ってた！？

コゴロウ

そいつ

レンヤ

そうだった

レンヤ

あいつって会長の息子さんなんだった！

レンヤ

忘れてた

コゴロウ

お前の記憶力からするとそうだろうな

コゴロウ

彼からの情報を元に

コゴロウ

「あなたの所の組長の1人がこういう問題を起こしてまして」って

コゴロウ

相談を飛ばしたら謝罪ついでに教えてくれたんだよ

レンヤ

え？

レンヤ

でもあいつって、会長に勘当されてなかったっけ？

レンヤ

なんで？

コゴロウ

なんで勘当されたヘイジの情報を元に会長さんに連絡できたか、か？

コゴロウ

連絡先が変わってない事を興信所勤務でもあるヘイジに調べてもらって

コゴロウ

俺が直接連絡を取ったから、だな

レンヤ

そんな偶然が有り得るのか！？

コゴロウ

有り得たんだよなぁ

レンヤ

でもそれがどうした？

レンヤ

1度俺を裏切ったヤツの言う事なんて簡単に信じれねぇ！

レンヤ

だからこそ、俺は諦めねぇからな！

コゴロウ

まだ分からないのか？

レンヤ

何が！？

コゴロウ

もう既に会長さんには俺から連絡が言ってるってことは

コゴロウ

つまり、お前のボスはお前の悪事を把握してるって事だぞ？

レンヤ

それがどうした？

コゴロウ

会長さんの逆鱗に触れてたぞ？

レンヤ

え？

コゴロウ

もしかするとお前には再生不可能ごみの烙印が押されてるかもな

レンヤ

は？

レンヤ

組をひとつ任されてるのに！？

コゴロウ

組を任されてたら、そこに居る組員達を私利私欲の為に使っていいのか？

レンヤ

一般人のお前に何がわかるんだ？

コゴロウ

確かに俺は一般人だな

コゴロウ

だけど

コゴロウ

今、俺の傍に会長さんもいらっしゃるとしたらどうする？

レンヤ

急に何を言い出すんだ？

コゴロウ

もし俺がリアルタイムに会長さんから解説を受けながら

コゴロウ

このやり取りをしてるってなったら

コゴロウ

お前ならどうする？

レンヤ

は？

レンヤ

デタラメ言ってるだろ？

レンヤ

会長みたいな狙われやすい人が一般人と一緒にいるか？

コゴロウ

文字で納得できないならこの写真見ろ

レンヤ

え？

レンヤ

マジで会長とお前で写ってるじゃん！

レンヤ

っていうか

レンヤ

隣にいるの、お前の女だよな？

コゴロウ

は？

コゴロウ

彼女は俺の女じゃねーよ

レンヤ

え？

コゴロウ

彼女は俺の秘書くんだ

コゴロウ

お前が俺と彼女か一緒にいるのを見かけたのは

コゴロウ

俺が彼女の運転する車で送迎されてたから

レンヤ

え？

レンヤ

送迎されるだけの身分って

コゴロウ

実は俺、この地域では有名なベンチャー企業の社長でね

レンヤ

はぁ！？

コゴロウ

だからちょっと会長さんとお話し合いさせてもらったんだけど

コゴロウ

お前の組、解体になるってさ

レンヤ

は？

コゴロウ

そのゴミ箱組織、お前や舎弟たちの厚生の為だけに新設されたらしくて

コゴロウ

舎弟たちも実は破門ギリギリだったんだとよ

レンヤ

そんな

コゴロウ

ちなみに

コゴロウ

潜伏先が見つからなければこのチャット上では

コゴロウ

驚き悲しんでるフリしとけばいいや

コゴロウ

とか思ってても無駄だからな？

レンヤ

え？

コゴロウ

仮拠点の位置は提供済みだから

コゴロウ

仕組みが変わってなければ芋づる式だろ？

レンヤ

なんで？

コゴロウ

お前をLINEにおびき出すためにわざと外を出歩いた時に

コゴロウ

たまたま道路から見つけてな

コゴロウ

外観の造りが変わってなかったからもしかしたらと思って

レンヤ

マジかよ

レンヤ

しくったなぁ

コゴロウ

そろそろ外が騒がしくなってきたな

レンヤ

そうだな

コゴロウ

あっさり認めるんだな

レンヤ

何が？

コゴロウ

仮拠点にいる事

レンヤ

え？

コゴロウ

仮拠点のある公園とこの隠れ家は近い

コゴロウ

会長さん直轄の掃除部隊の音がお前も聞こえてるって事は

コゴロウ

お前がその仮拠点にいるのと同じ事だからな

レンヤ

そうだった

コゴロウ

じゃあ後は会長さん達に任せて

コゴロウ

俺達はそれぞれの家に帰らせてもらうわ

レンヤ

待てよ！

レンヤ

まだ話は終わってないだろ！

コゴロウ

話すことは無いよ

コゴロウ

盗聴器とかの確認もしてもらってるから心配な点もないしな

コゴロウ

ちなみにだけど

コゴロウ

俺達の家を監視させられてた若造君達はもう処分受けてるから

レンヤ

はぁ！？

レンヤ

じゃああの定期連絡は！？

コゴロウ

俺はその件には関与してないから知らないな

レンヤ

は？

レンヤ

え？

コゴロウ

じゃあな

レンヤ

待ってくれ！

レンヤ

置いてくな！

レンヤ

処分は嫌だー！

〜後日談〜

コゴロウ

後日、会長さんからお話を聞いたところ

コゴロウ

レンヤの仮拠点に掃除部隊が突入し、そこにいた組員を全員回収。

コゴロウ

後に彼らなりの処罰？処分？が下されたそうだ。

コゴロウ

さらに今回、俺達のいる街が選ばれたのはたまたまで、

コゴロウ

温厚な街でなら地域貢献の心を育てると共に

コゴロウ

改心させられるのでは？との思惑だったそうだ。

コゴロウ

しかしレンヤは俺を見かけて暴走、思惑は失敗に終わった。

コゴロウ

そこで会長さんの所では改心計画が練り直しとなったそうだ。

コゴロウ

迷惑を受けた俺達3人はあの後からは問題なく日常を過ごしている。

コゴロウ

念の為という事で月イチで安全確認がされるという面倒くささはあるが、

コゴロウ

あいつに監視されてた時よりは快適である。

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田中俊樹

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