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忘れられない恋 第5話

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忘れられない恋 第5話

1 - 忘れられない恋 第5話

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2019年06月18日

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梅雨の晴れ間。 昨日までと何ら変わらない 教室の風景。

ふみは昨日のあの時から心臓が飛び出そうな鼓動をずっと感じていた。

まさか自分が恋をすることに なるなんて、思いもしなかった。

自意識過剰かもしれないけど、 あの日言われた「めずらしいね、牧屋さんいつも真面目に授業受けてるのに」。

いつも見られていたのかと思うと 少し恥ずかしくもあり、照れもある。

引田翔一

おはよー

クラスの女子

おはよーひっきー!

クラスの女子

あれ?今日登校遅いよね?

クラスの男子

ほんとだ!てっきりもう来てるもんだと思ってたけど

クラスの男子

もう三時限目終わっちゃったよ

引田翔一

あー、うん。

引田翔一

ちょっとね!寝坊した(笑)

彼の声にふみはドキドキを押さえられない。

引田翔一

おはよー、牧屋さん!

こんな時に話しかけられたら心臓が破裂する。

引田翔一

昨日はありがとう、
ほんと助かったよ!

いりな

あら、なになに?
昨日二人に何があったの?

いりなっ、お願い聞かないで……

引田翔一

昨日、俺の傘盗られたみたいって騒いでたら一緒に探してくれてさー

引田翔一

みつけてくれたんだよ

その手があったとは。

引田翔一

だから、ほんと助かったんだ!ありがとね!

彼の言い回しがすごく気が利いていて、いりなはそれに納得したみいだった。

牧屋ふみ

うんん

彼はそう告げて行ってしまった。

いりな

ふみは優しいね!

牧屋ふみ

そんなことないよ

牧屋ふみ

引田君、すごく困ってたみたいだから一緒に探してあげた

牧屋ふみ

ただ、それだけ………

昨日、ひとつの傘に二人入って帰ったことは 二人だけの秘密ってことかな?

なんか、嬉しい。

みんなの引田君を独り占めした みたい。 ニヤけそうな思いを 唇を噛みしめて、 必死で押さえ込む。

住一(すみいち)

おはよー、しょう

引田翔一

おはよ、後で三時限目までのノート写させて

住一(すみいち)

了解!

クラスの男子

重役出社、ならぬ重役登校ですな

引田翔一

まあ、寝坊しただけだけどね

クラスの男子

先月も一回、遅刻してきたよな

引田翔一

たまに熟睡しすぎるんだよ

住一(すみいち)

まあ、それはいいとして

住一(すみいち)

日曜、どーする?

クラスの男子

どこで遊ぶかねー

引田翔一

そーだな………

遠くからでもわかる。 彼達の会話をいりなと話ながら聞いていた。

チャイムが鳴り、それぞれの席へと着いた。

昨日の余韻がまだあって、 なんとなくうっとりとしてしまう自分がいる。

でも、ふと思い出す 彼の一瞬だけ見せたあの表情。

彼は冗談だと笑って誤魔化したが、 ふみにはとても冗談だとは思えなかった。

授業の内容が頭に入ってこない。 それだけ、彼のことが気になってしまう。

自分が好意を抱いた相手。 でも、あの表情が本当に作った表情なのか。 わからない。

ふみは深いため息をついた。

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