梅雨の晴れ間。 昨日までと何ら変わらない 教室の風景。
ふみは昨日のあの時から心臓が飛び出そうな鼓動をずっと感じていた。
まさか自分が恋をすることに なるなんて、思いもしなかった。
自意識過剰かもしれないけど、 あの日言われた「めずらしいね、牧屋さんいつも真面目に授業受けてるのに」。
いつも見られていたのかと思うと 少し恥ずかしくもあり、照れもある。
引田翔一
クラスの女子
クラスの女子
クラスの男子
クラスの男子
引田翔一
引田翔一
彼の声にふみはドキドキを押さえられない。
引田翔一
こんな時に話しかけられたら心臓が破裂する。
引田翔一
ほんと助かったよ!
いりな
昨日二人に何があったの?
いりなっ、お願い聞かないで……
引田翔一
引田翔一
その手があったとは。
引田翔一
彼の言い回しがすごく気が利いていて、いりなはそれに納得したみいだった。
牧屋ふみ
彼はそう告げて行ってしまった。
いりな
牧屋ふみ
牧屋ふみ
牧屋ふみ
昨日、ひとつの傘に二人入って帰ったことは 二人だけの秘密ってことかな?
なんか、嬉しい。
みんなの引田君を独り占めした みたい。 ニヤけそうな思いを 唇を噛みしめて、 必死で押さえ込む。
住一(すみいち)
引田翔一
住一(すみいち)
クラスの男子
引田翔一
クラスの男子
引田翔一
住一(すみいち)
住一(すみいち)
クラスの男子
引田翔一
遠くからでもわかる。 彼達の会話をいりなと話ながら聞いていた。
チャイムが鳴り、それぞれの席へと着いた。
昨日の余韻がまだあって、 なんとなくうっとりとしてしまう自分がいる。
でも、ふと思い出す 彼の一瞬だけ見せたあの表情。
彼は冗談だと笑って誤魔化したが、 ふみにはとても冗談だとは思えなかった。
授業の内容が頭に入ってこない。 それだけ、彼のことが気になってしまう。
自分が好意を抱いた相手。 でも、あの表情が本当に作った表情なのか。 わからない。
ふみは深いため息をついた。