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1ヶ月が経った後もりつはずっと殴られていた

毎日毎日、同じ場所で…

齋藤

オラァ!!

立川

フグゥッ!!

本田

(あ、今日も殴られてる…)

立川

もう…許してくれよ…

立川

僕は間違ったことしてないじゃないか!

多瀬田

お前があいつの場所何処か言わねぇからこうなってんだよ、いちいち刃向かってくんじゃねえよぉ!!

ドスッ!!

立川

ぅうぅ…

本田

(りつ…)

本田

(いや、でも俺は知らない…あいつが勝手にやったことだ…)

本田

(だから…じゃあね…)

そのうちりつは学校にも来なくなった

今思い返すと1年生の初めは明るかった顔がだんだん嘘になっていた気がする

本田

(りつ…)

本田

(やっぱり助けるべきか…?)

本田

(で…でも怖いし)

稲田

おい!

稲田が後ろから俺の肩を思いっきり掴む

本田

ビグッ

本田

…なんだよ稲田か…

稲田

なんか最近1人で帰ってるけど何かあったの~?

本田

別に関係ないよ、お前には…

稲田

うわ~何かあったやつだ笑

俺は教室に向かう為に早歩きをして稲田から距離を置く

稲田

ね~ちょっと待ってよー

本田

何だよ

稲田

だから何かあったんでしょ?

稲田

俺に話してご覧なさい…フン

お前に何がわかるんだ

と思いながらも少しは心の荷が降りるかもしれないと思い話すことにした

本田

りつが最近学校に来ないんだ…

稲田

へ…それは何で?

本田

ッ…

本田

分からない、何故か来ないんだ…

稲田

ふ~ん

稲田

紅葉がなんかヤラカシタからじゃない?笑

本田

俺はやらかしてねぇよ

稲田

いやいや知らず知らずのうちにりつのことを傷つける言葉を放ったとか

本田

いやいや俺は傷つくような言葉は言わないよ

稲田

相手がいじめだと思ったらいじめなんです~

本田

いじめか…

稲田

あれ論破しちゃった?

本田

黙れお前は、あっち行け

本田

シッシッ

そういうジェスチャーをして稲田を遠ざける

稲田

冷たいな~じゃあね

本田

(いじめ…)

言われてみれば俺もいじめに加入してるのかもしれない

自分の行動を肯定しりつの行いを否定した

そうなると俺はいじめてるヤツらの味方…

つまり俺はいじめっ子

本田

(いや…俺はあいつらとは違う)

本田

(俺はちゃんとりつのことを思っているんだ…)

(自分の身ぐらい自分でなんとかするわ)そう言った自分を思い出す

結局りつに守られて何もしていない自分の愚かさを知った

そんな俺の何処がりつを思う人なんだろう

本当に思うのならこんな事にはなっていなかったはず…

本田

(今日りつの家に行こう…)

りつの母

最近私にも顔見せてくれないのよねぇ…

本田

そうなんですか…

りつの母

じゃあ、ここに居るからゆっくり二人で話して…

本田

はい…分かりました

コンコン

本田

りつー

本田

久しぶりー

立川

んー?もみ?

本田

そうだよ

立川

久しぶりだね

本田

あ…あのここ鍵かかってるから開けてくれない?

立川

いや、このままでいいでしょ

本田

え~何でぇ

立川

このままでも話せるし大丈夫だよ

本田

でも顔みたいよ…

立川

めんどいから無理笑

本田

そっか…

立川

っで何しに来たの?

本田

あの、俺話したいことがあって…

立川

んー?

本田

なんでりつ来てくれないのかなぁって…

立川

面倒くさいからだよ

立川

心配するな

立川

あと何か風邪気味だし

立川

体調良くなったら…

本田

俺…りつが殴られているところ見たんだ

若干震えた声でそう言った

立川

ふーん…やっぱり知ってたんだ

本田

立川

いつから?

本田

1ヶ月前からかな…

本田

いや、でももしもう1回こんな事があったら今度こそは…

立川

なんで助けてくれないの

本田

へ?

本田

いや、それは悪かったよ…ごめん

本田

だけど今度こそは…

立川

今度はもうないよ

本田

…?

立川

自分の身ぐらい自分でなんとかするって言ってたじゃん

本田

うん…だからそれを思い出してりつに謝ろうと…

立川

それで僕のこのあざが治るの…?

本田

顔見せてくれないのって…

立川

毎日毎日…

立川

毎日毎日毎日!!

本田

ビグッ

りつの怒鳴り声が廊下にも乾いた心臓にも響く

立川

何で僕ばっか多瀬田達に殴られて蹴られて…

本田

その人たちって多瀬田って言うのか…?

立川

あぁ…もみが殴った人だよ、知ってるだろ?

本田

ご、ごめん…

立川

ずっと痛いし辛いし何よりもこれが正しいのかって言う不安感が毎日やってくるんだよ…

立川

もうもみの事なんか庇いきれないよ…

本田

ごめん…悪かったよ…

立川

さっきからごめんごめんって無責任にそんな言葉吐くなよ!

本田

いや…そんなことは…

立川

そんな事ないならもう既に僕のこと助けてくれたはずだよね…?

震えた声でりつが言う…

立川

僕はもう嫌なんだよ…

立川

ここ数ヶ月、奴らに殴られたり蹴られたりされて…

立川

確かに僕は守るって言ったよ…

立川

でも殴られてる時ずっと、もみが言ってた(自分の身ぐらい自分でなんとかする)って言葉をずっと信じてきた…

立川

もしきっとここにもみが来たら自分の事だからもみがなんとかしてくれると思った

本田

りつ…

立川

だけどもみはそんなの虚言だったんだよね…?

立川

僕はもみがやって来てくれると思ってた、だからカッコ悪くないように庇うっていう選択をしてきた

立川

これで直ぐにもみの居場所伝えちゃうとかっこ悪いしね

立川

勝手に僕は希望を持ち勝手に失望した

立川

だから僕は勝手に友達を信じて殴られて!!それでも庇って庇って!!耐えて!!

立川

だけどこの件についての発端が僕のことを見捨てて!!

立川

はぁはぁ…

立川

友達なんだよね…?僕たち

本田

そうだよ…俺達は友達で

立川

だったら助けてくれよ!!!!

本田

立川

僕はもみに助けて欲しかった…

立川

もし、もみが助けて多瀬田たちに一緒にボコボコにされるなら

立川

それでいい…もみとなら大丈夫な気がしたんだよ…

本田

りつ…

立川

もういいよ、ごめん…少し言い過ぎた

立川

帰って

結局俺は何にもできないまま帰った

りつが怒ったのはきっと見返りを求めていたからだろう

庇ってきたのだからきっとそれ相当の幸福がやってくるはずだとりつは願ってたんだ

しかしやってきたのは(俺もその現場を見ていてフル無視していた)という不幸

本田

(とりあえず…あの多瀬田という人に会いに行って謝りにいかないと…)

立川

不在着信

不在着信

本田

あれ…?りつから電話だ…

トゥルルルルル…カチャ

本田

あ、もしもし?どうしたの?

りつの母

もしもし?りつのお母さんだけど

本田

あ、お母さんですか…

りつの母

あの…りつって今どこにいるか分かる?

本田

はい…?

本田

家にいないんですか…?

りつの母

いやぁ…りつの部屋に行ったら鍵空いてて…入ってみたら誰もいないの…

本田

へぇ…

立川

(今度はもうないよ)

本田

ッ!!

りつの母

でも紅葉くんも分からないなら仕方ないわね…ありがとね

本田

いえいえ…それじゃあ

プツ

俺は最悪のシナリオを頭の中で閃いてしまった

本田

やばいかも…!!

りつを見つけるためずっと色々なところを探し回った

そして…

本田

(りつ…一体どこに…)

本田

本田

りつ?

本田

おーいりつ!!

立川

あ!もみじゃんヤホ!

立川

出来るならひとりが良かったんだけど

立川

見られちゃったか…

本田

おいそこ踏切の中だぞ!!

本田

こっち来て!!

立川

いやぁ…あの後よく考えたんだけどさ

立川

やっぱ無理だよ僕

立川

ずっと痛いことされるのはもちろん嫌だったけど

立川

何より…もみが助けてくれなかったのが辛かったよ

その瞬間どれだけりつが精神的に苦しかったのかが分かった

数ヶ月間多瀬田達にあんな事をされてもこんな真似はしなかった

という事は本当に俺を希望と思っていたのだろう

本田

ちょっと待ってよ!!

本田

俺、絶対助けるから今からでも!!

立川

必死になってくれてありがとね…

立川

でももう遅いよ、もう覚悟は決めてるんだ

本田

え…

本田

あ、緊急停止ボタン!!

立川

そこから動くな!!

本田

ビグッ

立川

もう諦めてよ…

本田

でっでも…ダメだよ…

立川

最後くらい僕の自由にさせてよ…

本田

その言葉に何故か納得して止まる自分…

立川

最後に!

ガタンゴトン…ガタンゴトン…

本田

(まずいまずい…今は夜中、電車も人がライトで見えた時には遅いぞ!)

立川

僕の親友でいてくれてありがと

フォワーン!!!!

本田

り"つ"!!!!

バゴッ

意外と小さな音が俺の耳に大きく響く

その瞬間俺の体に衝撃的な痛みが走った

本田

り…つ…?

信長に会いに行く

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