遠い遠い時の果て
そこに住まう人は
皆、永遠の命を持つ世界での話
赤い実の成る木の下
生まれながらに
死の呪いがかけられた少女の話
色付いた街外れ、蒼く光る湖畔
赤い実のお菓子屋の少女
ちょっぴり寒くなった今日、
誇らしげに自信作を売りにゆく
少女
少女
時計塔の見える市、驚いた
珍しく、賑やかだった。
少女
街の隅、ひとりで売る。
少女
少女
町の人
少女
少女
“今日も声は届かないのね”
“まるで透明になったみたい”
そうして誰もが知らぬ振りをした
何故なら少女は呪われているから。
夜なべでアレンジパイ。
にっこりと笑顔をつくる
まだ少女は諦めない。
時計塔の針も空を指し、
お腹も鳴るそんなとき。
(ドンッ💥)
少女を誰かが押す。
(ドサドサッ)
甘い籠は落ちる。
(グチャッ)
少女
平気な顔でお菓子を踏み行く人達。
少女
ふともう一人の手が
ドロドロのパイを口にいれる
少年
“その声で心は溢れた”
“まるで輪郭を書いたみたい”
そうして彼は手を差し出した
何故なら少女に呪われているから。
街の人達は哀れむ。
「赤い実を食べて呪われた者を」
「永遠に生きられずに死ぬのさ」
「嗚呼、なんて可哀相な話」
ふたりは笑う
それでも笑う。
“とっても素敵な呪いね”
例え明日死んでも
『今』が確かで大切になるから
“もう声は届かないのね”
“まるで透明になったみたい”
そうして誰もが知らぬ振りをした
何故なら世界が呪われているから。
『永遠』の呪いは解かれていた
まるでふたりの方が狂ったみたいだろ
そしていつか笑うように眠る
何故ならふたりは放たれているから。
死んだ世界でただふたりだけが
幸せだった。
林檎売りの泡沫少女
🍎🍎🍎🍎🍎
最後までご覧頂き、ありがとうございます! この話は、林檎売りの泡沫少女という曲をお話(?)にしたモノです!
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