沙也加
お邪魔しまーす
沙也加
……。
沙也加
あれ、おばさんいないのかな…
玲
…!おはよー!
沙也加
玲!おはよ。おばさんは?
玲
今日父さんと母さんで旅行行ってんだよね。
沙也加
2人だけで?
玲
うん、私がプレゼントした旅行だから
沙也加
玲が!?
玲
バイトの給料貯めてさ。
沙也加
凄
玲
それほどでも〜
照れくさそうに玲が笑う。こういう所が好きなのだ。
沙也加
じゃ、作ろうか
玲
ヤッター!
私たちはキッチンへと向かった。
沙也加
(材料は…)
玲
お!ピーマン!入れてくれるの!?
沙也加
前好きって言ってたでしょ。ピーマン入りのオムライス。
玲
覚えてたんだ。
沙也加
覚えてるよ。
玲
さすが沙也加シェフ!
沙也加
ふふふ
沙也加
(好きな人の好きな物なんて忘れるわけないじゃない。)
玲
料理してるとこってなんか見入っちゃうよねー…
しばらく無言の時間がながれる。野菜を切る音だけがキッチンに響く。
沙也加
(何っだこの気まずい時間は……!)
玲
……
玲の真剣な瞳を見つめていると、
沙也加
あ痛っ
玲
あ
沙也加
指切ったー…絆創膏くれない?
玲
ちょっと待っててー
少ししてから、玲が救急箱を持ってきた。
沙也加
ありがと。
救急箱に手を伸ばすと、不意にその手を玲に掴まれる。
沙也加
!
玲
私がやる。
そう言うと玲は手際良く手当をしていく。掴まれた左手がむずがゆくなってきた。
沙也加
……ん。
玲
はーい逃げない
手を引っ込めようとすると玲に引き戻される。
沙也加
(緊張する……)
玲
はい、完成。
沙也加
あ、ありがと
玲
なんか顔赤くない?
沙也加
えあ、いや、そんなことはない!
玲
そうかな〜?
しばらくしてオムライスが完成。
沙也加
はい召し上がれ
玲
いただきまーす!
美味しそうに食べる玲を見つめる。
沙也加
好きだなぁ…
玲
あっ
沙也加
えっ
沙也加
(やば、ミスった!)
玲
ねぇ
沙也加
いや、あの、えっと
玲
沙也加食べないの?
沙也加
へぁ?
玲
オムライス。食べないの?
沙也加
(そっちか!)
沙也加
あー……私今日朝ごはん遅かったからさ。1人前食べるほどお腹空いてないんだよね。
玲
へー……
沙也加
(焦ったー……)
玲
はい、あーん
沙也加
えっ?
玲がオムライスをスプーンで掬って寄越してくる。
玲
ほら、あーん
沙也加
んむぅっ!?
半ば押し付けるようにオムライスを口に入れられる。
玲
どう?
沙也加
どうって……
沙也加
私が作ったんだから。美味しいに決まってる。
玲
おお〜
沙也加
(鈍感で良かったー……)
玲
沙也加はいいお嫁さんになるんだろうなぁ…
沙也加
……。
胸が少し痛んだ。
沙也加
(私は…)
嫁になるならあなたがいいのに。
玲
今日はありがと!美味しかったし、楽しかった!
沙也加
うん、こちらこそ。
玲
また遊びに来てね。沙也加なら何時でも大歓迎!
沙也加
ふふ、ありがとう
私は背を向けて、家へと歩き始めた。
沙也加
……はぁ…
私がこの想いを打ち明ける日は、一体いつ来るのだろうか。
恋しいという想いだけが鉛のように積み重なっていく。
玲
好き……か。
玲
ふーん……






